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森の童子  作者: 日向彼方
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父と母

 父の両親はまだ父と叔父二人が高校生のときに事故で他界している。

かなりの財産と保険金を残したらしく、父も叔父も生活に困ることなく、大学も卒業した。

父は大学で出会った母に一目惚れし、いきなりプロポーズしたらしい。

父の執念に押され母は受け入れるが、条件は『嘉神』の名を残すことだった。

弟がいたので、気兼ねなく父は婿養子となり一人娘だった母方の『嘉神』の姓をついだ。

明叔父さんが『野際』の建設事業をほぼすべて受け継ぎ、父は遺産の三分の一ほどで、設計事務所を起こした。

父の設計は賞賛され兄弟二人の共同事業は大きくなっていった。


 母の父親はよくわからない。

島に来る太公望であったらしい。

祖母はお偉いさんのお妾さんだったという噂も聞いた。

実際、母が成人するまで毎月多額のお金だけが送られて来ていて、母は東京の大学にも進学できたのだから、噂は本当だったのかもしれない。


大学卒業と同時に二人は結婚しすぐに私は生まれ、父は私を溺愛した。

私の為にと海の見える別荘を伊豆に作ったほどだ。

喘息の病気がなければ、お嬢様学校に入っていただろうが、

祖母の家の方が体にはいいと泣く泣く父は私を送り出した。

父が可哀想だからと母は島と東京をよく往復していた。

勿論父も仕事が一段落する度に母と島にやって来て私を離そうとしなかった。

父が一人で帰京する際は、私ではなく父が泣いていた。


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