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森の童子  作者: 日向彼方
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ヒーロー

三話に割り込みです。 

少し過去のお話になります。

 私がもうすぐ五歳となる頃、持病の喘息がひどくなり、東京から空気の良い祖母の住むこの島に療養も兼ねてやってきた。

この島に来て、最初に会った子供が陽くんだった。

私よりもひとまわりも小さく、可愛い弟のようだったので同じ歳と聞いて驚いた。

陽くんはあまり話さない子供だったが、はにかんだ笑顔はとても可愛かった。

彼の父親は神道忠陽といい、山の上の神社の神主さんだった。

嘉神家と神道家は遠縁にあたるらしく、陽くんの母・美桜さんはよく祖母の家に来ていた。

おばさんとは呼べないくらい綺麗で優しい人だった。

この島には小・中学校合同の分校に十数人、幼児が四人ほどだった。

幼稚園も保育所もなかったので、誰か保護者が一人付いていれば小さい子供たちも小学校の校庭で遊ぶのを許されていた。

あの日も私たち四人は校庭でブランコ乗りをしていた。

気がつくと、狩猟に使う大きい犬がすぐそばまでやってきて、(うな)り声を上げていた。

大人も子供も誰もが足が(すく)んで動けなかった。

そこに、幼い陽くんが犬と私達の間に入り手を広げ、犬を睨んで「クルナ!」と叫んだ。

暫く睨み合いをしていたが、犬は唸るのを止め、尻尾を下げ、とぼとぼと去っていった。

この時から陽くんは私たちのヒーローとなった。

特に私は親戚だからと言って陽くんに付いて回った。


 四月になり私達は小学生になった。

入学式には両親も来てくれた。

可愛いピンクのドレスを着せられお人形のようだと皆に言われた。

真新しい赤いランドセルはまだ私には重かった。

新入生皆が新しいランドセルとは限らなかった。陽くんのも誰かのお下がりだった。


 小中学校は、島の北西側にあり、フェリー乗り場の反対側にあった。

この島は、小中学校の前だけ砂浜があるが、あと港以外ほとんどが崖になっている。

だから港の周辺にしかお店はなかった。

あっ、文房具屋を兼ねた雑貨屋が一件学校の横にあった気がする。

島の中央は御神木を守った完全な森となっている。

陽くんの家から祖母の家は通学路の途中ということもあり、毎朝、陽くんは私を迎えに来てくれた。

重いランドセルを背負った子供の足で十五分の道のりは結構辛かったが、陽くんの優しい笑顔のおかげで頑張る事が出来た。


拙い言葉の羅列ですが、読んで頂き有り難うございます。

感想等いただけると幸いです。

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