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森の童子  作者: 日向彼方
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悪い人 (お婆ちゃんVer)

【残酷な描写】事件・暴力等の描写があります。


今回のお話(お婆ちゃんVer)は洋子の祖母の視点で描かれています。

 戦争中、可愛い男の子がこの島の親戚を頼って疎開してきた。

時々芋を蒸かして持って行くと可愛い笑顔で御礼を言ってくれた。

お互い一瞬で恋に落ちた。可愛い初恋だ。

戦争が終わっても食糧事情がまだ悪く、もしかしたらこのままずっと一緒にいられるのではと思っていた。

しかし、相手はお金持ちのお坊ちゃまで、年下だ。

世の中が落ち着くと彼はあるべき場所に帰っていく。

民宿などやっていると、色々お世話してくれる人も沢山いたけれどその気になれなかった。

四半世紀を過ごし再会した時、我を忘れてしまった。

相手は政略結婚とはいえ奥さんが居る人だった。

子供が出来たと伝えたらその子を我が家に迎えたいと言われた。

思わず頬を叩いて、二度と来ないでくれと言った。

それから逢ってはいないが、見守られていることだけは感じていた。


       *


その日の夜、絢美さんは兄を名乗る男と柄の悪い男達を連れてやって来た。

明さんが居た事に少し驚いた様子を見せた絢美さんが、

「あの子はどこ?」いきなり明さんに怒鳴りつける。

「あの子とは?」

「洋子に決まっているじゃない!」

「洋子はもうフェリーで島を出て行ったよ。午前中だったかな」

「そんなはずないわ。フェリー乗り場はちゃんと見張っていたのよ」

「知り合いの車の後部座席に隠れさせてもらったんだよ」

携帯を見せると絢美の兄が舌打ちをし明さんを殴る。

「何故洋子を?」

「お婆さん。あなたが一番分かっているはずでしょう。

 宝生家の唯一の跡取りなのだから。

こないだあっちに生れた孫の女の子はとても病弱なんですって!」

「そんな……」

男達は家の中を物色していく。

「ここにはなんにも金目の物がないぞ」

「本当にこの婆さんが会長の妾なのか?」

「ここにいないなら早めに本土に戻るぞ」

「本当に拉致って脅せば億の金が入るのか?」

男達は汚い言葉でこの家を汚す。

「そうね……でも……帰る前に森を探して!」

「なっ!」

しまった!明さんが反応してしまった。

絢美さんが不適に微笑む

「まだこの島にいるわ!森を探してそこに洋子はいるわ」

絢美さんの兄が反社と繋がっていたなんて思いもしなかった。

男達は縦社会の掟を背に抱えて行動している。

格が一番下なのだろう、絢美さんの兄は若い男にしきりに頭を下げている。

外が少しずつ白んでくる。

後ろ手に縛られた明さんが男達に殴られながら森の案内に連れて行かれた。


拙い言葉の羅列ですが、読んで頂き有り難うございます。

感想等いただけると幸いです。

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