糸口
―― 僕が目覚めたのは二年前から悪意が洋ちゃんに向っていると感じたからだ。
民宿の方にも様子を伺いに行った。
洋ちゃんのお婆ちゃんが陰膳のようにお握りやお菓子を
置いてくれるようになった。
時々陰膳をいただいていた。
その時、《 座敷童子だ! 》と叫ばれてしまった。
お客さんが増えたのならそれでいい。
洋ちゃんが無事ならそれでいい。
悪意の正体がわからない
真実の糸口は意外な人の訪問であった。
明叔父さんがレンタカーを借りてこっそり島を訪れた。
「絢美は来ていませんか?」
誰もが首を振る。
「叔父さん、知っていることを全て教えてください」
私の強い口調に叔父さんは頷いた。
「兄貴と姉さんが死んだのは俺のせいだ。
あいつは洋子への保険金を俺の借金返済に当て、
マンションと店舗を売却してあいつが使い込んでいた」
「自分自身の罪の事は?」
陽くんが現れて明叔父さんを問いただす。
「誰だ?」
「陽くんよ!神道陽一くんよ。叔父さん」
恐怖の顔をした叔父さんは慌てて土下座をし、頭を畳に擦りつける。
「生きていたのか?すまない!すまない!」
「叔父さん、全て話して!」
「うん。十五年程前俺の建設業が経営不振となり、娘も死んで絢美と喧嘩の毎日だった。そんな時この島と大島に橋が架かる事と温泉があると聞いて俺は焦った。
何が何でも俺の物にするんだと借金までしたのに、島民の賛成を得られなかった。
殺すつもりなんてなかった。どうにかしていたんだ。
すまない……。」
「それでどうして火事に?」
「俺が自首を悩んでいると、帰ってきた絢美が突然俺の為に火を付けたと言って……
息子のために俺を犯罪者にできないと、俺は懺悔の機会を失った。
今は後悔している」
「私の両親は何故?」
「俺と兄貴はとても仲が良くて、車も同じ車にするくらいに。
絢美の兄が車の修理屋をしているから、そこから車検で帰ってきた車を交換した。
それで俺の代わりに兄貴達が事故に遭った。
実は絢美は俺を殺すつもりだったと思う。
俺に多額の保険を掛けていたのを知ったのは最近のことだけど。
そして、息子が事件を起こしてとうとうあいつはおかしくなった」
「事故は父さんのせいじゃないのね?」
「あぁ、車検の時に俺の車になんか細工したのだろう。
優しい兄貴がこんな俺のせいで死んだんだ」
あの叔父さんが大粒の涙を流している。
「息子の保釈金を洋子に払わせるって言っていたからこの島に来たんだが」
「何故洋子に?」温和な祖母が怒っている。
「二年前洋子が店を持っただろう。
あの頃から、なんか調べていたようだ。
宝生家が洋子ちゃんの血筋なんだろう?」
「洋ちゃんをどうする気?」陽くんが両手を堅く握って尋ねる。
「誘拐して宝生家から金をふんだくるつもりだ」
叔父さんの言葉に皆ががっくりと肩を落とす。
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