進路
嘉神葉子の高校時代の話です
二ヶ月に一度、叔父さんは別荘にやって来て生活費を置いていってくれた。
私は叔父さんに感謝していた。
隣のおばさんが世話好きだったため生活に困ることはなかったし、野良猫が二匹住み込んできて淋しさも少しは紛らわすことが出来た。
勿論バイトもした。近くのコンビニだ。
コンビニの隣に美容室があって、いつも見ているうちに美容師というものに憧れを持つようになった。
そう言えば私の髪はいつも母が上手に切ってくれていた。
懐かしい記憶の一つだ。
高三の夏休み前に明叔父さんがやって来て進学はどうするのかと尋ねてきた。
私は大学には進学せず専門学校を出て美容師になりたいと話すと明らかに安堵したように
「じゃ、高校までの学費でいいな!」と言って四十万円程入った封筒を渡された。
色々忙しいのでしばらく来られないとのことだった。
三日後、郵便受けに茶封筒があり、
『学費に使ってくれ。君の母の保険金の残りだ』の手紙と五百万円ほどの貯金額が書かれた私名義の通帳と印鑑が入っていた。
叔父さんに学費有り難うとメールで御礼を伝えた。
おかげでバイトを増やさずに専門学校も卒業でき、第一希望の地元で一番大きな美容院に不思議なほどあっさり就職も決まった。
就職できた事を叔父さんに連絡したがやはり返事は帰ってこなかった。
その夜、引きこもりの従兄弟が傷害事件をおこしていたのをニュースで知った。
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