酔っ払いの行き着く先は…
こういう視点のモノが描きたくなり書いちゃいました。
描いてる時は楽しかったです!
凡人よりも少し劣った存在。それが俺の自己評価だった。
だって自己評価ってかなり主観を入れて甘々な評価にしなければならないのだろう?
だから俺は凡人よりも少しだけダメな人間。
面倒くさがりだし忘れっぽいし優柔不断だし飽きっぽいし…なんて自分の欠点を羅列すると俺の周りの奴らはこう言うのさ。
「人間大体そんなもん。自分だってそうだよ」と。
そんな誰もが持っているような欠点ならわざわざ羅列しねぇよ。
取り繕えたりほんの少し持ってるだけのなんちゃってが偉そうに言ってんじゃねぇ。
「自覚があるなら取り繕うことは出来るでしょ」て馬鹿がよぉ!
自分が天才じゃない自覚があったら天才と同じ事が出来んのか⁉︎
俺が言ってんのはそういう事だ、よく考えて発言しろや。
…悪かったな。
久しぶりに会社関係以外で酒が飲めるってはしゃいじゃったよ。
ウチってさ、吹けば飛ぶようなちっちゃい会社だろ?
まだ平成ってより昭和って感じなんだよ。
サビ残休日接待モラハラパワハラアルハラ当たり前なんだわ。
何でそんな会社に入ったかって?
本気で言ってんのか?
俺にソレを言わせんのか?
そこしか俺を拾ってくれなかったからだよばぁぁぁか!
これでも社内で新人にしては待遇良いんだよ。
昭和って言ったろ?
ペーパーレスも出来てねぇ、リモートワークに対応出来ねぇ、飲みニケーション信者ときたもんだ。
完全に時代を間違ってるね。
そこで俺だ。
数年ぶりの新人だったらしくてよ、社長直々に「新しい風が吹くのを期待してるよ」なんて肩をバンバンされてよぉ。
俺みたいな豚も煽てりゃ空を飛ぶってな。
俺が入社してもうちょいで5年か…。
………なぁ、俺さ、仕事は頑張ってたんだ。
社内中のパソコン一新させてよ、10年以上先輩や親父世代の人達の仕事にチャチャ入れて効率化はかってよ…。
殴られたりもしたし俺も胸ぐら掴んで喚いた事もあった。
それでも目に見えて成果あげるから酒の席では褒めてくれてよ、俺も泣きながらごめんなさいとありがとうしたよ。
社長なんて「もうお前は家族だ!」なんて言ってくれてよ、社長ン家にお呼ばれも何回もしてもらってよ、一回思わず「ただいま」なんて言っちまってさ、社長の奥さんとか娘さん、「おかえり」なんて返してくれてよ…。
…俺、俺なりに頑張ってんだよ。
泣いてねぇよ。酔ってるだけだ。
………「つまらない人間ね」ってさ。
「顔も性格もお金も全部平均以下」だって。
「アナタと遊んでるって周りに言わなくて正解だわ」って。
この3ヶ月散々貢いでたのにそれだよ。
彼氏扱いすらされてなかったよ。
いつの話って?
昨日だよ。
だからもう今日は潰れたくてお前を呼んだんだよ。
明日はお互い休みだろ?
やけ酒に付き合ってくれよ。
…泣いてねぇよ。飲み過ぎて目から酒が溢れてんだ。
いやぁ、自分が人より劣ってるって自覚はあったけどさ、やっぱ人から言われたらツラいな。
これでも自覚がある分頑張ってるつもりなんだが…ダメだったみたいだわ。
凡人になりきれてなかったみたいだわ。
会社の人達とは人間関係上手くいってんだけどなぁ…。
やっぱさ、向こうの器がちげぇのよ。
俺みたいなひよっこに仕事の邪魔されて怒れば口答えされてんのにどんだけ怒鳴りあっても殴りあっても最終的には「会社の為にやってるのはわかってる」なんて言って乾杯してくれんのよ。
俺も嫌われないって信じて会社第一で働くだけでいいから動きやすくてな。
最近じゃ会社の取引先にもSE紛いの事しに行ったりしてな、あの会社周りに文明開花させてんのよ俺ってばよ。
ぁん?なんぼ貢いだかって?
お前も遠慮がなくなってきたな…。
……50万ちょいだ。
3ヶ月でデート5回で約10万円ずつ奢らされた。
もちろんデート代は別で全部俺持ちだぜ。
デートの少なさとかデート一回10万オーバーはしんどいって言ったらその場で振られた。
………笑えよ。せめて笑えよ。
ほいほいハニトラにハマった童貞野郎を笑ってくれよ!
泣いちゃうだろ俺が…!
…悪いな、落ち着いたわ。
すまんな、俺もこんな泣けると思わなかった。
泣くとストレス発散出来るってホントだな、少しスッキリした。
…社長がさ、珍しく宅飲みの時に酔い潰れてさ、その時にこれまた珍しく愚痴ったのよ。
「ブラック企業だ社畜だなんて昔は当たり前だったんだ。時代ってのもわからんでもないが、労基法なんて律儀に守って潰れない会社なんてどれだけあるか…零細企業に配慮されてない法に従えと何故言える…!」と労基関係で何かあったのかなあと思ってんだ。
どうなんだろうなぁ…。
社長の娘さんも「こんな父は珍しい」てびっくりしてた。
ん?呑みましょう?
お前それウーロンハイと見せかけて烏龍茶だろ。
俺酔わせてどうするつもりだって。
情けなくも泣いて多少酔いも覚めてんだよ。
まあ、お前なら俺に変な事しないって信用できるからいいけどよ。
お前以外とベロベロになるまで呑めるないからなぁ。
それよりどうよ、この店!
先輩に教えてもらった店の中で一番気に入った店なんだ。
個室呑みって色々良いよな。
え?知ってた?
なんだよ、言ってくれよ。
俺のドヤ顔を返せ。
確かにお前って学生のころから良い感じの店見つけるの上手かったもんなぁ。
なあ、今度良い店教え合おうぜ。
先輩達の知らない店があれば良いけどなぁ。
あのオッサン達にドヤ顔出来るかもって思うとテンション上がる。
結局さぁ、俺がやってんのってオッサン達のサポートなんよ。
オッサン達の仕事を引き継いでぇみたいな仕事してないのよ。
カテゴライズするなら総務部IT課みたいな感じ。
社長が引退するまでは何が何でも今の会社にいるけどなぁ。
ん?さっさと呑め?
お前酔ってんのか?
烏龍茶で酔うワケないって、やっぱりそれ烏龍茶かよ。
何だよ、呑むよ呑む呑む。
なんで隣に来たんだよ、狭いよ。
わかったって、呑むから。
何だってんだ…。
あのな、お前も俺も成人して社会人なんだ。
そんな…その…距離感はな?大事だと思う。
物理的な距離感がな?
呑むからさ、狭いし、対面で座ろう。な?
女として意識したかってそりゃお前は今も昔も女だろうが。
男扱いしたことないだろ?
呑むから!あ〜んじゃねぇ!
それ俺の嫌いなヤツ!
ちょっイタイっ抓らないで?なんで?
呑むじゃダメ?
あ〜んじゃないって…それは俺が好きなヤツだな。
あ〜ん。
………美味しいなやっぱり。
最近さぁ、ワインにも挑戦しようか迷ってんだよなぁ。
ビールとか日本酒は美味しく呑めるように訓練されたけど、ワインってまたなんか違うじゃん。
呑むから、自分のペースで呑むから。
でさぁ、初心者は安物ワインのが呑みやすいって聞いてさ、まあ味も分からないのにいきなり高い酒呑む馬鹿はいないとあ〜ん……美味しい。
馬鹿はいないと思うんだけどさ、ワインって他にも言えるけどニワカってホントに好きなやっぱりからしたらウザいじゃん?
いや、まだ空になってないのに注がないで。
テキトーに呑んで舌慣らすのかなぁ。
そういうの聞くのも失礼になんのかなぁ。
なぁ、胸当たってんだよ、揉むぞ馬鹿が。
お前も俺も社会人!
責任があるんだよ。
当たってんのよ。
たにま〜。
突っ込む?ん〜…
もむ!
チュー?
のむぞう
もむもむ
柔らかいな…
うん揉むって
チュー?
なんだ
口移しか
美味しいな
もむもむ
ん
家近い?
わかった
送ってやるよ
この先輩がな!
ん?
わかったわかった
もむって
かいけいぼたんどこ?
この後同席者の好意でも悪意でも朝に頭抱える事は決定してますねハイ(笑)