公爵令嬢婚約破棄
自分なりの悪役してない公爵令嬢書いてみました。
キャラクター達は見た目を殆ど描写してないので自分の好きに見た目や声を想像してお楽しみください。
私の名はアイリーン・エーレ・ノースサウザン。ノースサウザン公爵家の長女。幼い頃から同格の公爵家であるサウスノート家嫡男、グレゴリオ様と婚約を結んでいました。
私達の属する国であるオーレシア王国は大陸の7割を国土とする強大国でもあり、小さな小競り合いはあれど大きな戦にはならない様に官僚及び各大臣、宰相、両陛下の尽力の賜物と教育されて来ました。
幼い頃から徹底的な様々な教育と経験や考え方を教えられ、それに納得出来る物と貴族としての義務である事。そして結婚をしたらグレゴリオを支えて国を良き方向へ導く為の教育は私の中で自身の根幹となる物へ変わるのはそう長いものではありませんでした。
そして婚約者であるグレゴリオ様とは愛はなくとも互いを尊重して国の発展を願う事は同じで幼い頃から将来何をしたいかどう変えていくか等幼い私達は頭を悩ませる日々でした。
そんな状況が変わったのは13歳でオーレシア学院に入学してから二年目でした。
大陸一番の学院として存在する学院には国内外の様々な優れた人々が爵位の優劣等関係無く学ぶ為に通っています。
そんな中で平民の女性であるアリアの入学は大きな話題になりましたわ。
オーレシア学院は貴族、平民問わず優秀な成績を示さなければ入学する事は出来ません。
しかし幼い頃から徹底的な教育をされる貴族と平民の間では決定的な差がありました。
その為今迄オーレシア学院に入学して卒業までした平民の方は一人もいませんでした。
平民の方は途中から選ばれた存在だと思い込み暴走して周りを巻き込み、結果責任を取る為に退学を余儀なくされると言うことが常でした。
そんな中で数十年振りに平民の方の入学は貴族達にとって新たな発展と改革をもたらすのかそれともこれまでの平民の方と同じ様に退学する事になるのかが社交界でも話題になる程でした。
貴族は基本的に政略結婚が多く、婚約後に愛を育むか、互いを尊重して家門を守り発展させていくかと言った様な結果が大多数ですが、中にはどうしてもお互いで納得の行く話し合いが出来ない場合にのみ両家と第三者の高位貴族家が立ち会い婚約白紙撤回となる手続きをします。
婚約者でもあるグレゴリオ様は一定の距離をおいておりましたが次第に態度を軟化させていき、二年生の終わる頃には常に側に侍る様な事となりました。
学生時代の淡い恋心と思い、両親へは心配はいらないと説明をして周りの学友達へも公爵家嫡男のグレゴリオ様を信じられないのかと伝えれば、王家に次ぐ公爵家の嫡男が平民に惑わされる事は無いと納得してくれました。
ですが私の中で僅かに芽生えた疑念は育つばかりで遠回しに伝えてもグレゴリオ様には煩わしいと思われるばかりで成果も無く、学院生活は進み卒業パーティーの準備となりましたがグレゴリオ様からドレスが贈られる事は無く、双子の弟であるルクセントが怒り喜び贈ってくれました。
そしてあっという間に五年が経ち、卒業パーティー当日になってもエスコートをする相手であるグレゴリオ様からの返信はなくルクセントと共に卒業パーティーへと参加することになりました。
卒業パーティーには卒業生とその家族、在校生合わせて三千人近い人数が学院の大ホールに集まります。
ルクセントにエスコートされ大ホールに入場して暫く学友や親友との会話をしていれば不意に響く久しく聴いていない声が届いた。
「アイリーン・エーレ・ノースサウザン公爵令嬢。君との婚約を破棄する!私は真実の愛を見つけた!」
そんなグレゴリオ様の発言に周囲の人々は何故だと言う疑問とやはりと言う納得の混ざる声が密やかに交わされていく。
「グレゴリオ様。婚約破棄とは一体どう言う事でしょうか?」
私の心中はやはり駄目だったかと言うモノと恥辱に溢れるぐちゃぐちゃとした感情になりながらも、表情には出すことをせず淡々と聞いていく様に感情を抑える。
「白々しいな!ここにいるアリアは平民として学院に入った。そして私とアリアの交友に嫉妬し、ノースサウザン公爵令嬢を筆頭としたいじめを行い彼女を孤立させ退学へ追い込もうとしたことは調べが付いている!」
事実無根であり学院の中でそんな下らないことをする時間があるならば人脈を広げたり付き合いを深くしていく為の時間に当てている。
それは婚約者でもあるグレゴリオ様も知っている筈だが何故こう言う事態になったのかが全く分からない。
「グレゴリオ様は私が彼女をいじめて何を得ると思っているのですか?」
「俺の婚約者として愛を向けられない嫉妬からあの様な事をしたのだろう!」
そんな見当違いな事を言われるとも思わず黙ってしまえばそれが図星を当てられた様に見えたのだろう。
「だからノースサウザン公爵令嬢である君との婚約破棄とアリアに謝れ。それで許してやる!」
な、何て言いぐさなのかしら?あの方は本当にグレゴリオ様なの?いや、もう婚約者でもない堕ちたグレゴリオ。
貴方はどこまで堕ちてくのかしら?
そんな事を考えて思考が逸れていっている中でルクセントが落ち着いた表情と声で話し始めた。
「失礼ですが貴方は馬鹿ですか?アイリーン姉様はそんな低俗な事はしませんし、何より証拠はありますか?こちらは貴方とアリアに関する証言と証拠が山の様にあります。君達、来てくれ無いか?」
王族及び宰相や騎士団団長、高位貴族の子息令嬢が此方へと来る。皆は私とも交流があり将来は国の発展に欠かせない方々だ。
「私達はノースサウザン公爵令嬢の無実及びお二方の素行について調べていた生徒代表としております。」
そう言うのは宰相の嫡男のアンドレア。
「此方はアリアの素行に関する報告書となります。問題有りとして既に学院長自らからの注意警告をアリアは受けている筈です。」
「そ、それはノースサウザン公爵令嬢がワタシを学院から追い出すための目的で捏造された物です!」
「おいおい、学院長の判断を疑うことは不敬に当たるぞ?そんな事は入学前から知ってる筈だが?」
アリアの発言に呆れたように返すのは騎士団団長の息子で数十年後には騎士団長を継ぐ事になるのではと話題のアルヴィン。
歴代学院長は代々王族が務めており学院の成り立ちから全ては学院長の判断を疑うことは不敬とされている。
「これはサウスノート公爵家嫡男のグレゴリオ様の報告書です。仮面舞踏会などで女性を弄んだ等は全て報告済み。更には他の罪も有りますがここで言うことではないでしょう。それは貴方でも分かるでしょう?」
自分に向けられたものではないとは言え、刺の有る声で淡々と話すのは背筋に冷たいものが走る。その声の主は第一王女殿下でルクセントの婚約者のシャルティナ様。何時も私の事をお義姉様と呼び慕ってくれる金髪で天使の輪っかが浮かぶサラサラな髪をしている。
皆私のためにこの場に集まって頂き感謝の気持ちが沸き上がってくる。
そう、私は一人ではない。素敵な家族、友人達に恵まれている。こんな茶番劇を繰り広げる様な節操無しと身の程を弁えない馬鹿にこれ以上卒業パーティーを最低なものにさせる訳には行きませんね。
「お二人の言いたいことはそれだけですか?私からはグレゴリオへ婚約破棄を。また、貴方達二人に対する慰謝料の請求をします。これは決定事項で変えることは不可能と思ってください。」
「それに加えて私達はあなた方の関係者も含めて法に則り処罰する。そしてグレゴリオは廃嫡及び鉱山労働の刑。アリアは学院を退学後国外追放と共に各国へと正式な罪を発表する。これは国王陛下の裁可を正式に得たものです。衛兵!この二人を拘束して連れていくんだ。」
二人を衛兵が囲い連れ出していく。
私からの婚約破棄と慰謝料の請求は当然としてルクセントは更にいつの間にやらその様な物を準備していたようだ。
恐らく卒業パーティーのドレス等を贈ってくることが無かった頃には決心したのだろう。
学院生活を通して何度も苦言を呈していたがそれを私は窘め続けた。ルクセントは常に私の事を大切にしてくれる。何度かシャルティナ様を優先しなさいと言ってもシャルティナ様が私の方を優先しろとルクセントへ詰め寄っていたらしい。
「な、何故だ!?一体どこで間違えてしまったんだ。私はただ愛するアリアと共に過ごしたかっただけなのに。」
「嘘嘘嘘!!私は公爵夫人になって今まで貧乏だった分贅沢をして過ごせた筈なのに!」
そんな事を言いながら二人は卒業パーティー会場を連れ出され、この後は少しの間牢屋に繋がれ、罪を償う事になるだろう事は容易に予測できる。
これでパーティーを始められるがこれまでの十数分の出来事でそれどころではない雰囲気になっている。
「ノースサウザン公爵令嬢!!大丈夫か!?」
混迷した雰囲気を吹き飛ばす様な声が聞こえた。
「お、オリエルド殿下‥問題は━この雰囲気でしょうか?」
不覚にも少しふざけたような返答をしてしまいましたわ。
「ノースサウザン公爵令嬢。どうか僕と婚約して欲しい。言い訳にしか聞こえないかもしれないが、私は恋心を抱いていたが臆病だったばかりに婚約を申し込むことを出来なかった。その結果遊学と言う形で他国を回る事にしたんだ。ノースサウザン公爵令嬢の婚約者であったサウスノート公爵家を蔑ろにすることは出来なかったからね。」
オリエルド殿下の発言には驚きましたが私は先程婚約者を失ったばかり。そんな中で私と婚約をしたいと言う物好きは現れないと思っていました。数年前から独り立ちするために事業を始めてそれは思いの外早く軌道に乗っている。その事業を展開する為に仕事と結婚するつもりでいた。
「すぐには答えを聞こうと思わないが少しでも婚約について前向きな考えが出来るのならばどうか私を選んで欲しい。」
久しぶりに会うオリエルド殿下の真剣な表情はあまり見ることは有りませんでしたが真っ直ぐ見つめられると親しい間柄でも心が動いてしまいますわ。
それでも私の返事は必ずしなければいけない。卒業パーティーが終われば晴れて貴族の正式な一員として国の為、民の為にと行動を移さなければいけない。
事業を起こして平民を雇う事によって見えてきた本当の格差と言うものや思想や文化と言ったものまで様々。
「オリエルド殿下。一月の猶予を賜りたく。その間に思いを纏めて伝えますわ。」
今の私にはこう言う他有りませんしね。
「ありがとう。例え私が選ばれなくてもノースサウザン公爵令嬢を支えて応援してくれる人は沢山いる。それは君の周りを見れば分かることだ。」
有り難い事に私には理不尽に対して立ち向かってくれる勇気有る方々が付いている。例え悲惨な末路に立とうとも立ち向かってくれる仲間がいる。そんな方達に失望などされる訳には行かない。
私にとってかけがえのない一生の中で大切な人達なんだから。
とある昼下がり。
「パパー!ママがごはんできたって!」
「ありがとう。アリーシャ。ママのご飯楽しみだね。」
「うん!わたしもおてつだいしたの!」
「それは尚楽しみだ。」
読んでくれて有難うございます!
誤字脱字報告、感想、ブックマークや評価有難うございます!
皆さんはどんなキャラクターと声を想像しましたか?
本当は転生してきた王女と王子や弟を話しに絡めるつもりがこんなことに。
「☆が綺麗に染まれば素敵な気分ですわ!」