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~異世界で貴族になったので、街を守って戦います➈~

     ◇


 ブーッ、ブーッ

 無機質なブザーの音が響く。

 「敵が動き出したぞ!」

 ユウが影の手に仕掛けさせたセンサーに反応があったのだ。

 タブレットの画面を見ると、魔物達が夜の森で移動を始めている。


 「みんな、作戦の通りに行くぞ! 俺達がファーレの街を守るんだ!」

 おう!

 ゾラの号令で気合いを入れてから、ユウの騎士団の団員たちは各自持ち場へ向かった。


 団員たちは、あらかじめ決められた城壁の所定の配置に付いた。

 しかし、城門のゲートが一箇所だけ開けてある場所がある。そのゲートの内側には少しスペースを造るようにしてバリケードで囲んである。

 「魔物を相手にするのに、城門を開けておくなんて、信じられないぜ。」

 「でも、ユウ様の言う通り、一昨日の襲撃は壁を超えて来やがったからな。どうせ壁を越えられちまうなら、どこかに集中してくれた方が良いよな。」


 ユウの作戦は、好き好んで魔物を城壁の内部に誘い込もうというものではない。出来るだけ城壁の外で仕留めるが、仕留めそこなった魔物を誘い込んで倒す、というものだ。


 「ユウ様、俺は本当にここで待っていればいいのか?」

 バリケードで囲まれた中に立って、ドルクさんは少し不満そうにしている。

 「ええ、ドルクさんはそこに居て下さい。でもドルクさんには状況によって「遊撃隊」のような役割も果たして頂きますから、忙しくなるかも知れません。」


 ピーッ、ピーッ

 「ユウ様、音が変わりました!」

 「ようし、敵は近くに来たぞ。迎撃態勢に入れ!」

 「ハイ!」

 城壁の上に配置した騎士団員達が、暗闇の中で小銃を構えた。


 夜の静寂の中で、誰かが「ふうっ」とため息をついた次の瞬間だった。


 城壁の外側の闇の中に突然、

 パッ と灯りが点いた。

 「ウゴッ!」

 点灯した明かりに照らされたオーガが、驚きの声を上げるとともに眩しさに目を覆った。

 次の瞬間、


 ドギュ、ドギュ、ドギュ

 頭と首に銃弾を受け、 

 ズズン と音を立てて倒れた。


 同じように暗闇の中で、突然点灯した明かりに照らされた黒牙狼が、銃弾を受けて倒れた。


 ユウは昼間のうちに、城壁の周りにセンサーライトを多数設置しておいたのだ。


 「ウオィ! ワナダ!」

 灯りに照らされて野太い声を上げたオーガが、銃弾を浴びて倒れた。


 黒牙狼がパニックになって走り回っているので、そこらじゅうのセンサーライトが反応している。城壁の外は、かなり明るくなって来た。


 「よし、もうライトを付けよう!」

 僕の合図で、城壁の上にいくつものバルーンライトが点灯された。

 これは現世では道路の夜間工事等でよく使われている照明だ。夜のイベントで使おうと思って僕が持ってきたもので、運河の完成式典でも使った。

 これが城壁の上にいくつも点灯し、辺りを明るく照らしているのだ。


 闇に乗じて城壁に近づき、同時多発的に城壁を乗り越えて街をパニックに陥れようというのが、魔物達のねらいだった様だが、逆に自ら罠にかかり、既にオーガは全滅してしまった。


 黒い毛で覆われて見えにくい黒牙狼が数匹残っているだけだ。黒牙狼は、低く伏せていれば見つかりにくい。しかし、明るい城壁をのり超えようとすれば、狙い撃ちにされてしまうだろう。


 おあつらえ向きに城門が開いているところがある。吸い込まれるように黒牙狼が一匹、また一匹と入って行く。

 しかし、そこには剣豪五指の留守番役・ドルクが待っていた。


 「とおっ!」

 ドルクの大剣が侵入してきた黒牙狼を確実に仕留めていく。


 最初の銃撃から、一時間程度で夜襲は終わった。

 ユウ達の完全勝利であった。


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