表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

161/163

【番外編】~余談ですが~ 聖獣ノワ編➁ 我は聖獣、色々なお役目があるのだ。

番外編を追加する都合上、「連載中」の表示に戻っていますがご了承ください。

あと何話かアップする予定です。

      ◇     ◇


 ヴィー殿とユウと一緒に暮らしはじめて、しばらくした頃、

「子猫を見せて」と少年がやって来た。


 我は、子供が嫌いだ。

うるさくて乱暴なくせに、思い通りにならないとすぐ泣く。

しかし「ラング殿下」と呼ばれたその少年は、大人しそうだ。ユウとヴィー殿が気を使っている様子から、ユウが仕える主君の子供なのであろう。

ユウには、ご飯を食べさせてもらっている恩義がある。我も少し気を使うことにしよう。



 ミャア‥‥

声を掛けてやるとラング殿は、

「おいで」と手を広げて来たので、抱かれてやることにした、


 たいていの子供は、我を見つけると大騒ぎするが、ラング殿は落ち着いている。こういう子供なら、我も付き合ってやろうではないか。


 「本を読んであげるね。」

別に本など読んでくれずとも、大人しくしてくれれば良いのだが‥‥。


 「『竜騎士の冒険』にしようか。」

我を膝に乗せて、ラング殿は、本を読み始めた。


 「ある所に、とても美しいお姫様がいました。

そのお姫様は、誰にでも優しく、みんなから慕われていました。」

(ふむ、まるでヴィー殿のようだな。)

我は、ラング殿が本を読むのを、膝の上で付き合ってやることにした。


 「でも、ある日突然、お姫様は、魔物にさらわれてしまいました、」

(なに!? それは一大事ではないか!)

我が、思わずラング殿の顔を見上げると、

「大丈夫だよ、ノワ。聞いていてね。」

我を撫でながら言う。

別に我は、魔物の襲来を恐れた訳ではない。突然のことに驚いただけだ。

続きを聞こうではないか。


 「お姫様をさらわれた王様は、国中から姫を助けてくれる勇敢な者をさがしました。」

(むう‥‥我のように勇敢な者は、中々いないかもしれんぞ。)

我が、再びラング殿の顔を見上げると、

「心配だね、ノワ。誰か来てくれるといいね。」

(うむ、来てくれると良いのだが‥‥)


 「王様の元に駆け付けてくれたのは、ロバに乗った男と、羊飼いの男と、蛇使いの男でした。」

(なに!? 弱そうなヤツしかおらぬではないか?!)



 「あらぁ。ラング殿下に本を読んでもらっているですか?」

 ヴィー殿が、おやつと飲み物を持ってきてくれたことにも気付かず、我は、ラング殿との冒険の旅に集中していた。


 冒険の続きはというと、

ロバに乗った男は、実は竜騎士で、竜がロバに化けていたのだ。

そして蛇使いは、案の定、魔物の使いだった。蛇使いの使うたくさんの蛇は、全て魔物に化けて、竜騎士の行く手を阻んできた。

そして羊飼いは、途中で逃げ出した羊を追ってどこかへ行ってしまった。頼りにならん奴だ。


 物語が佳境になると、我も共に戦っているような気分になった。

最後は、竜騎士が魔物を退治して、姫を救いだし、めでたしめでたしであった。


 物語の中でラング殿と我は、共に冒険の旅をしたのだ。心地よい疲れが眠気を誘う。



 「あら、2人とも寝ちゃったですか。」

 ヴィー殿が、ラング殿と我に毛布を掛けて、優しく抱いてくれた。


 ヴィー殿に抱かれて、我とラング殿は、夢の中で冒険の続きに出かけることになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ