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余談ですが ~リリィにはメガネが似合うことが判明しました~

完結を機会に誤字脱字・てにおは修正をしています。

        ◇


 「リリィ、リリィ。ちょっと来てみて。」

「はーい、何でしょうか?」

 僕は、仕事の合間に代官所の執務室にリリィを呼んだ。洪水前に現世日本で、リリィのために買ってきたものが、渡せずにいたのだ。


 「これをかけてみて」

「何ですか、これ?」

「メガネだよ。こっちの世界でも貴族は使ってるかも‥‥。ちょっとじっとして、こう使うんだ。」

 僕は、リリィに、現世日本で買ってきたセルフレームのメガネをかけてやりながら、

「リリィは、目が悪いんだよね? 慣れるまでちょっとクラクラするかもしれないけど、これで良く見えると思うけど…、どうかな?」

「‥‥。」

「もし、今かけているヤツが、目に合わなかったら、3段階「度」を変えて買ってきてあるから、交換してみて。」

「‥‥。」

 無言のリリィに、僕は不安になって声をかけた。

「…リリィ?」


 「‥‥すごい! すごいです。ごユウ様!」

 リリィは、執務室をまじまじと見渡して興奮していた。そして視線を僕に移そうとして「えっ?」と声を上げてよろけた。

 僕は慌てて、手を取ってよろけるリリィを支えた。

「あ、ありがとうございます。…ユウ様って、こんなお顔だったんですね。」

 切れ長の目を大きく見開いたリリィに、まじまじと見つめられると照れてしまう。


 「なに見つめ合ってるですか?」

 唇を尖らせて、ヴィーが顔をのぞかせた。


 「あのね、ヴィー。ユウ様が、私の目を良く見えるようにしてくださったの。」

 リリィは、執務室に入ってきたヴィーに歩み寄ると、その頬に手を当てて、

「ヴィー、やっぱりあなた、すごく可愛い‥‥」

「えっ、‥‥何を今さら…です。」

 ヴィーは、少し照れて横を向いている。

「良く見せて。瞳が‥‥とってもキレイ、髪もサラサラで‥‥っ。」

 リリィは、声を詰まらせて涙ぐんでいる。

「あきらめていたの‥‥、物や景色が、少し離れるとぼうっとしか見えなくて‥‥、親にも、「目が悪い家系だから仕方ない」って言われていたし、それが、こんな日が来るなんて!」


 「ご主人様!ありがとうございます。」

 リリィは、振り返って僕に深々と頭を下げた。


 「良かったね。で、僕はどんな感じ?」

「はい、カワイ‥‥、いえ、カッコイイ‥‥です。ご主人様はカッコイイです。」

 2人のやり取りを横目で見ていたヴィーは、

 (あーあ、です。でもしょうがないのです。ご主人様は、カッコイイというよりは、カワイイのです。)


 そして愛想笑いでごまかしているリリィに、

「あっ、リリィ。ヴォルフは庭にいたですよ。」

「えっ? べ…別にヴォルフに用事はないですけど…、あ、そういえば、私も庭に用事があるので行ってみます。」


 いそいそと庭へ出ていくリリィの後ろ姿を、僕とヴィーは笑顔で見送った。


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