彼女が生まれた日
彼女が生まれた時、ふにゃふにゃの体が印象的だった。
抱き上げ方もわからない。
のそのそとゆっくり動くその手が小さくて柔らかくて、爪すらも柔らかい。
看護師がそっと私の胸元に生まれたての彼女を運んでくれた。
時が止まったような感覚で、彼女を見つめた。
彼女の一挙手一投足が気になり、思わず、彼女の頬に触れ、指に触れる。
力強く私の指を握る姿に、うわあ………と心に込み上げてくる。
出会ったばかりなのに、心をとらえて離さない。
そんな人はおそらく、今後の人生においても彼女だけだろう。
「おめでとう。生まれてきてくれてありがとう」
思わずそう言って、彼女に微笑んだ。




