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木々開花、良い!<1>

「ならば、(つぎ)実践(じっせん)だな。――(わたし)(むか)って『炎弾(えんだん)』を()ってみてくれ」


「えっ、ヒュリアを()つの?」


心配(しんぱい)しなくても大丈夫(だいじょうぶ)だ。(わたし)にはこれがある」


 ヒュリアは、(こし)(けん)を、(あざ)やかに()(はな)ちます。

 (あお)波紋(はもん)()つ、(うつ)しい銀色(ぎんいろ)片刃剣(かたばけん)です。


「この(けん)(わたし)師匠(ししょう)最高傑作(さいこうけっさく)(ひと)つだ。(ごう)を『クズムス』という。『斬魔導剣(ざんまどうけん)』だ」


斬魔導剣(ざんまどうけん)?」


斬魔導剣(ざんまどうけん)は、魔導(まどう)使(つか)えない(もの)魔導師(まどうし)対等(たいとう)(たたか)えるよう、魔導(まどう)攻撃(こうげき)効果(こうか)()(つぶ)すために()みだされたものだ。(はがね)に『ブルンメ(こう)』という特殊(とくしゅ)鉱物(こうぶつ)()わせて成造(せいぞう)され、『五冠(ゲブラ)』までの魔導(まどう)制圧(せいあつ)できる」


(ぼく)、『四冠(ケセド)』だけど」


 (かる)(うなず)くヒュリア。


「ああ、わかってる。だがこの(けん)最高傑作(さいこうけっさく)だと()っただろ。師匠(ししょう)は、錬成(れんせい)丹念(たんねん)(おこな)うことで、不純物(ふじゅんぶつ)八割(はちわり)まで(のぞ)いた高純度(こうじゅんど)のブルンメ(こう)精製(せいせい)し、その性質(せいしつ)劣化(れっか)させないまま(はがね)()わせることに成功(せいこう)したんだ。だから、このクズムスは普通(ふつう)斬魔導剣(ざんまどうけん)よりも強力(きょうりょく)で、『四冠(ケセド)』までの魔導(まどう)対応(たいおう)できるんだよ」


「へぇ、すごいお師匠(ししょう)さんなんだね」


 ヒュリアはクズムスの(やいば)()つめます。


「ああ……。師匠(ししょう)でもあり、肉親(にくしん)とも()える素晴(すば)らしい方達(かたたち)だった……」


 ヒュリアの表情(ひょうじょう)急激(きゅうげき)(くも)っていきます。

 そして(ぼく)らに(ひかり)()げかける(しろ)(つき)見上(みあ)げた彼女(かのじょ)は、(ふか)溜息(ためいき)をつきました。


師匠(ししょう)奥様(おくさま)(わたし)追手(おって)から(まも)るために、(いのち)()とされた……。だからこの(けん)は、形見(かたみ)(ひと)しい……」


 しばらく(だま)ったまま(つき)(なが)めていた赤銅(しゃくどう)(ひとみ)から、一筋(ひとすじ)(なみだ)(なが)()ちました。

 彼女(かのじょ)沈黙(ちんもく)が、師匠(ししょう)夫妻(ふさい)(たい)する(おも)いを雄弁(ゆうべん)(かた)っています。

 どんな(なぐさ)めの言葉(ことば)物足(ものた)りなくて、(かな)しい沈黙(ちんもく)に、ただ()きあうことしかできませんでした。


「――よしっ! ここまでだ!」 


 (なみだ)()いて、()取直(とりなお)したヒュリア。


「さあ、実践練習(じっせんれんしゅう)といこう! 炎弾(えんだん)()ってくれ!」


 気合(きあい)(はい)りましたね。

 (すこ)しためらいましたが、ヤルタクチュと(たたか)ったときの腕前(うでまえ)()ているので、きっと大丈夫(だいじょうぶ)なんでしょう。


 まずは(こころ)(ほのお)(うつ)します。

 (つぎ)に、人差(ひとさ)(ゆび)恃気(エスラル)集中(しゅうちゅう)させます。

 すると真黒(まっくろ)指先(ゆびさき)薄青(うすあお)(ひか)りだしました。

 今回(こんかい)は、(あお)恃気(エスラル)だけで、(あか)英気(マナ)()ざってきません。


 そしてヒュリアを()やすように(ねん)じながら、指先(ゆびさき)彼女(かのじょ)()け、(たま)()()動作(どうさ)(おも)(えが)きました。

 その途端(とたん)指先(ゆびさき)から野球(やきゅう)ボールくらいの(ほのお)(たま)が、(もう)スピードで飛出(とびだ)していったのです。


 ()(かん)じだと、バッティングセンターの時速(じそく)200キロより(はや)いかもです。

 発射(はっしゃ)してすぐに、これヤバくない?って(おも)いました。


 ヒュリアは(けん)(かま)えず、ダラリとさげたままでいました。

 彼女(かのじょ)(たま)(とど)くまで、一秒(いちびょう)ぐらいだったと(おも)います。 


 (ほのお)(たま)胸元(むなもと)()たったと(おも)った瞬間(しゅんかん)(ぎん)(ひかり)一閃(いっせん)します。

 水平(すいへい)()られた(けん)上下(じょうげ)真二(まっぷた)つになった炎弾(えんだん)は、(ちから)(うしな)(けむり)のように消滅(しょうめつ)したのでした。

 ものすごい(けん)(わざ)です。


 ヒュリアは表情(ひょうじょう)()えることもなく、(かろ)やかな(うご)きで(けん)(さや)(おさ)めます。


「うむ、合格(ごうかく)だ!」


 満足(まんぞく)そうに(わら)うヒュリア。

 まぶしいなぁ、その笑顔(えがお)


「ツクモ、(きみ)(すご)いな。普通(ふつう)元素弾(げんそだん)施法(イジュラート)円滑(えんかつ)(おこな)えるまでには、何年(なんねん)修練(しゅうれん)するんだ。それを一度教(いちどおし)えただけで、やってのけるとは」


「いやいや、すごいのはヒュリアの(ほう)でしょがっ! 炎弾(えんだん)真二(まっぷた)つだよっ?!」


「あの程度(ていど)()められるほどのことでもないさ」


 高速(こうそく)()んでくる炎弾(えんだん)をあんな(ふう)()れるなんて、ちょっと人間離(にんげんばな)れしてない?

 しかも自分(じぶん)(わざ)(ほこ)ることもないなんて。

 いや、ホント、天晴(あっぱ)れですな。


「あとは繰返(くりかえ)修練(しゅうれん)し、(かんが)えなくてもできるようにするんだ。そうすれば、帝国騎士(ていこくきし)(たたか)うこともできるだろう」


「うん、わかった」


 いつのまにか(そら)(あか)るくなってきています。


「――(おし)えてくれてありがとう。なんだか(なが)(よる)だったね、(すこ)(やす)んでよ」


「そうか、ではそうさせてもらおう」


 ヒュリアは()びをして、小屋(こや)(はい)っていきました。


 こんなわけで、その()から、ヒュリアと魔導(まどう)修練(しゅうれん)をするのが日課(にっか)になったのでした。

 しばらくすると、魔導(まどう)発動(はつどう)もかなりスムーズになり、この三日間(みっかかん)で、(はし)りながら炎弾(えんだん)()てるとこまでいけたんです。

 ()まった状態(じょうたい)魔導(まどう)発動(はつどう)するよりも、(うご)きながら発動(はつどう)する(ほう)が、格段(かくだん)(むずか)しいんですよ。


 自分(じぶん)にご褒美(ほうび)

 って()いたいけど、途中(とちゅう)大問題(だいもんだい)発覚(はっかく)しまして……。


 それは、僕自身(ぼくじしん)耶代(やしろ)敷地(しきち)から()られないように、(ぼく)魔導(まどう)効果(こうか)敷地(しきち)から(そと)()ていかないってことなんです。

 どうゆうことかというと、短時間(たんじかん)だけ結界(けっかい)()いて、(そと)()って炎弾(えんだん)()つと、途中(とちゅう)(れい)()えない(かべ)にぶつかって()えてしまうんです。


 これじゃ、魔導(まどう)使(つか)えても(なん)にもなりません。

 (てき)(かべ)(そと)にいたら(とど)かないってことですから。

 ヒュリアは、(たい)したことじゃないと()ってくれましたが、ショックを()けてるみたいでした。


 せっかく彼女(かのじょ)(やく)()てると(おも)ったのに……。

 あいかわらずの、がっかり野郎(やろう)ってわけです。


 でも、無意味(むいみ)かもしれないけど、魔導(まどう)修練(しゅうれん)(つづ)けようと(おも)ってます。

 魔導(まどう)使(つか)うのって面白(おもしろ)くて、(ぬま)っちゃいました。


 今朝(けさ)もヒュリアと魔導(まどう)修練(しゅうれん)をして炎弾撃(えんだんう)ちまくりぃの、率導(テシュヴィク)(あやつ)りまくりぃのでした。

 その(あと)彼女(かのじょ)(けん)修練(しゅうれん)(うつ)ったので、(ぼく)はハウスキーピングです。


 『洗滌(せんてき)』で洗濯(せんたく)、『清掃(せいそう)』で部屋(へや)掃除(そうじ)一瞬(いっしゅん)()わらせます。


 『清掃(せいそう)』の説明(せつめい)はこちら。


耶代(やしろ)敷地内(しきちない)のあらゆる空間(くうかん)環境(かんきょう)(ととの)え、衛生状態(えいせいじょうたい)(たも)つもの』


 そしてヒュリアの(あたら)しい(ふく)製作(せいさく)にとりかかるわけです。


 もちろんこれも『家事全般(かじぜんぱん)』の『裁縫(さいほう)』で(おこな)います。

 『裁縫(さいほう)』の説明(せつめい)はこんな(かん)じです。


記憶(きおく)している、もしくは製法(せいほう)取得(しゅとく)している物品(ぶっぴん)のうち、(おも)()うことで(つく)られる(もの)を、具現化(ぐげんか)することが可能(かのう)。ただし材料(ざいりょう)必要(ひつよう)である』


 ヒュリアの()ている(ふく)限界(げんかい)(むか)えたので、この機能(きのう)で、いつくか(ふく)をつくってみました。

 ただ、彼女(かのじょ)はスカートが苦手(にがて)なので、ほとんどがスキニーパンツを主体(しゅたい)としたものになってます。


 でも(ぼく)としてはスカート姿(すがた)()たいので、今度(こんど)はセーラー服的(ふくてき)なものを(つく)ってみようかなと。

 ちなみにバシャルではスカートを“エテク”、ズボンを“チョラップ”って()うみたいです。


 テーブルでヒュリアの服装(ふくそう)をあれこれ(かんが)えてると、炎摩龍(えんまりゅう)(さま)部屋(へや)のドアが(ひら)き、(はら)()きながらアティシュリが()きてきました。

 三日(みっか)ぶりのご対面(たいめん)です。


「おはようございます」


 挨拶(あいさつ)したのに、アティシュリはスルーして(おお)欠伸(あくび)です。

 三日間(みっかかん)()っぱなしのくせに、この態度(たいど)

 さすがドラゴンですな。

 そんな(おも)いを(かん)じとったのか、アティシュリは(ぼく)をキッとにらみつけました。


「おい、ツクモ、てめぇ、よくもやってくれたな」


 これは多分(たぶん)自分(じぶん)(ちから)(うば)われたことに(おこ)ってるんでしょうね。


「いや、そう()われましてもねぇ、こっちも()らなかったんですよ。まさかこんなことになるなんて」


「ちっ、一体(いってぇ)このクソ耶代(やしろ)はどうなってやがる。耶卿(やきょう)耶宰(やさい)がいるんだから、あんときみてぇに暴走(ぼうそう)してるとは(おも)えねぇんだが……」


 アティシュリは、ぶつぶつ()いながら椅子(いす)(こし)をおろします。

 そして(てのひら)でテーブルを(たた)きました。


「ほら、(はや)く、()すもん、()せよ」


「へっ?」


「とぼけんな! シュークリームとキャラメル三日分(みっかぶん)! (わす)れたとは()わせねぇぞ!」


 おおっ、そうでした、そうでした。

 盟友登録(めいゆうとうろく)報酬(ほうしゅう)ですね。

 でもシュークリームとキャラメルで、治癒(ちゆ)炎摩導(えんまどう)使(つか)えるようになったんだから、ホント(やす)いもんです。


 まずは(さら)(うえ)にシュークリームを具現化(ぐげんか)し、お(ちゃ)一緒(いっしょ)にアティシュリの(まえ)()しました。


「はい、どうぞ」


「かかっ、これ、これ、これを()ってたのよ!」


 (いま)までの不機嫌(ふきげん)が、(うそ)かってくらいの満面(まんめん)()みです。

 チョロいという言葉(ことば)が、お似合(にあ)いですな。


 シュークリームに、かじりついたアティシュリは、しばらくすると()をハートにして(はな)から(ほのお)吹出(ふきだ)しました。


 うへぇ、テーブルが()げちゃったよ……。


「うまっ、うまっ、にぃひひひひっ……」


 あの(みょう)な、つぶやきが進化(しんか)したようです。


 玄関(げんかん)から、(けん)修練(しゅうれん)()えたヒュリアが(もど)ってきました。

 『裁縫(さいほう)』で(つく)ったTシャツとハーフパンツを()て、(かた)にタオルをかけてます。

 まさに体育(たいいく)授業終(じゅぎょうお)わりのJKといってもいい堂々(どうどう)たる姿(すがた)です。

 アティシュリに()づいた彼女(かのじょ)は、素早(すばや)(そば)(ひざまず)くと、(うやうや)しく(あたま)()げました。


「アティシュリ(さま)、ようやくのお目覚(めざ)め、祝着(しゅうちゃく)にございます」


「うむ、さすがお(めぇ)は、このアホと(ちが)って礼儀(れいぎ)ってもんを心得(こころえ)てるな」


 きたぞぉ、アホ()ばわり。


 (あせ)だくのヒュリアは、その(あし)風呂場(ふろば)()き、(あせ)(なが)した(あと)素裸(すっぱだか)(もど)ってきます。

 そして、何食(なにく)わぬ(かお)でテーブルにつきました。


「――あのね、ヒュリア、下着(したぎ)くらいは、つけようや」


 一応(いちおう)(かお)をそむけながら、注意(ちゅうい)します。


(いや)だ。どうせすぐに(あせ)()れる」


 ここはひとつ、世界(せかい)守護者様(しゅごしゃさま)援護(えんご)(もと)めてみましょう。


「アティシュリ(さま)も、(はだか)()せられて不愉快(ふゆかい)じゃありませんか?」


(べつ)にぃ。(おれ)たちにとっちゃ、人間(にんげん)(はだか)だろうが(ふく)()ていようが、関係(かんけい)ねぇからよ。ただまあ、皇女(おうじょ)なんだからよ、公式(こうしき)儀式(ぎしき)典礼(てんれい)なんかじゃあ、やらない(ほう)がいいだろうぜ」


「はっ、(きも)(めい)じます」


 起立(きりつ)してお辞儀(じぎ)するヒュリア。

 全裸(ぜんら)ですることかっ?!


「けどよ、ここは自宅(じたく)みたいなもんなんだろ。全裸(ぜんら)ぐれぇいいじゃねぇか」


()いたか、ツクモ。アティシュリ(さま)も、こうおっしゃっているぞ。(わたし)とて公衆(こうしゅう)面前(めんぜん)全裸(ぜんら)になる()はないからな」


 あたりまえっしょ!

 (おお)きな溜息(ためいき)()ちゃいます。


 もう呼吸(こきゅう)してないだろうというツッコミが、あちこちから()こえてくるようです。


 えー、これは呼吸(こきゅう)じゃありません。

 地縛霊(じばくれい)の“(あき)(かん)”を表現(ひょうげん)するマイムなのです。


「なんだ、ツクモ。もしかして、てめぇ、(はだか)苦手(にがて)なのか? 人間(にんげん)(おとこ)どもは、どいつも(おんな)(はだか)好物(こうぶつ)のはずだろうが?」


 いや、好物(こうぶつ)って。

 デミソースたっぷりのオムライスじゃないんだから。


「かかっ、そんなら、これでどうだ」


 そう()ったとたん、(ふく)消失(しょうしつ)し、アティシュリも全裸(ぜんら)になっちゃいました。


「どうだ、ほら()てみろ、(はだか)だぞ」 


 可愛(かわい)らしい(おんな)()?が二人(ふたり)とも素裸(すっぱだか)()(まえ)にいるという、(かんが)えられない状況(じょうきょう)になっとります。


「な、(なに)してんすかっ! 服着(ふくき)てくださいよっ!」


「ほら、ほら、どうだぁ、ツクモぉ」


 アティシュリが乳寄(ちちよ)せしながら、にじり()ってきます。

 (いや)がらせのつもりなんでしょうけど、ズレまくってますね。 


 ヒュリアのスタイルは均整(きんせい)()れてて、神々(こうごう)しくて、写真集(しゃしんしゅう)ならアート(けい)でしょうか。

 アティシュリの(ほう)野獣系(やじゅうけい)のグラビアアイドルですかね。

 ヒュリアと(くら)べて()るところは()てて、(むね)もかなり(おお)きいっす。 


 いや、(なに)(くわ)しく説明(せつめい)しとるのよ。


 (ぼく)全精神力(ぜんせいしんりょく)をふりしぼり、化学(かがく)周期表(しゅうきひょう)語呂合(ごろあわ)わせを(おも)()すことで理性(りせい)(たも)つのでした。


 水兵(すいへい)リーベ(ぼく)(ふね)名前(なまえ)あるシップスクラークか……。


「――あ、あんまりふざけると、キャラメル()しませんよ!」


「ちっ、ムカつく野郎(やろう)だぜっ!」


 吐捨(はきす)てるように()うと、アティシュリは一瞬(いっしゅん)(もと)のへそ()しコーデに(もど)ります。


「すごいですね! 自由(じゆう)(ふく)()せるのですか?!」


 ヒュリアが()(まる)くしてます。


「かかっ、(ふく)()てる姿(すがた)も、()てねぇ姿(すがた)も、俺達(おれたち)にとっちゃ()わらねぇんだよ。どっちも表皮(ひょうひ)だからな。()()なんて、どうにでもなんだよ」


 正体(しょうたい)はドラゴンですもんね。


「はいはい、もう(はだか)はいいですから。お(ひる)ごはんにしますよ」 


 ヒュリアの(ひる)ごはんは、白身魚(しろみざかな)のムニエルです。

 香草(こうそう)とバターソースで(あじ)つけしてあります。

 有名三星(ゆうめいみつぼし)フレンチを再現(さいげん)してみました。

 アティシュリにはキャラメルです。


「――なにぃ! (おれ)を『盟友登録(めいゆうとうろく)』したことで、魔導(まどう)使(つか)えるようになっただと!」


 食後(しょくご)のティータイムで、アティシュリが(いま)にも()()きそうな剣幕(けんまく)怒鳴(どな)りました。

 魔導(まどう)取得(しゅとく)したって()ったせいです。


「ええ、そうなんす。ホント、ありがとございやぁしたぁっ!」


 (かる)(あたま)()げときます。


「くそっ、てめぇばっかり、()(おも)いをしてる()がするぜ」


「そんなことないでしょう。アティシュリ(さま)だって、ちゃんとシュークリーム()べたじゃないですかぁ」


「ちっ、世界(せかい)守護者(しゅごしゃ)(かる)(あつか)いやがって……」


「そんなにふてくされないで。ほらほらぁ、キャラメルですよぉ」


 (さら)(うえ)二日目分(ふつかめぶん)のキャラメルを具現化(ぐげんか)します。


「にゃふっ、キャラメルっ♡」


 すぐに機嫌(きげん)()くなる現金(げんきん)ドラゴン。

 世界(せかい)守護者(しゅごしゃ)ねぇ……。


 ティータイムが()わって、一段落(ひとだんらく)です。

 ヒュリアは、やっと(ふく)()てくれて、アティシュリは一粒(ひとつぶ)ずつキャラメルを()みしめてます。

 そして(ぼく)食器(しょっき)の『洗滌(せんてき)』と片付(かたづ)けです。


 なんて平和(へいわ)日々(ひび)

 ビューティフルシャイニイデイズ!

 (しろ)(くち)ひげをつけたくなりますなっ!


 家事(かじ)をテキパキとこなす姿(すがた)は、家政夫(かせいふ)(かがみ)といえましょう。

 鼻歌(はなうた)をうたいながら片付(かたづ)けをしていると、突然(とつぜん)チャイム(おん)()って『羅針眼(らしんがん)』が立上(たちあ)がりました。


任務(にんむ):ヤルタクチュを無力化(むりょくか)する。ただし絶滅(ぜつめつ)はさける』


 『任務(にんむ)』の項目(こうもく)にあった指示(しじ)が、中央(ちゅうおう)(あか)文字(もじ)になって(あらわれ)れ、点滅(てんめつ)しています。


 うーむ、これは……。

 (はや)くやれって催促(さいそく)かな。

 とは()ってもねぇ。

 解決策(かいけつさく)見当(みあ)たらないんだよなぁ。

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