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第五話 いじめる同級生③

 本当に飛び降りてしまった。トイレからでて窓から地面の様子を確認すると、不規則に歪んだ体の状態で中村が出血をしながら横たわっていた。


(こんなに強い効力があるのか......)


 まさか自分でもここまであっさりと人が死ぬとは思わずとても驚いている。それと同時にジワジワと自分の手によって人を殺したという実感が湧いてくる。


 今更だが俺は取り返しのつかないことをしたのかもしれない。もう普通の人生を歩むことはできないのかもしれない。頭の中で様々なネガティブな妄想が、次々に浮かんで憂鬱な気持ちになる。


(だがなぜこいつはこんなにも俺に対して執着をしていたんだ...... こいつに恨まれる覚えはまったくないぞ)


 俺は自分の持っている想像力を最大限に駆使して、過去の記憶を辿るが、あそこまで中村を激昂させる原因は全く思いつかない。


 だがもう今更考えても手遅れだ。中村はもうこの世にはいない。今の俺には死人を思いやる余裕はなく自分のことで手一杯だ。俺はこれ彼から先もっと沢山の人間を殺して報酬を手に入れて今の退屈でつまらない人生を変えるという使命がある。


 俺は自分の使命を思い出すとさっきまであった人を殺したことによる罪悪感や後悔という感情はなくなっていた。いやむしろ、これから先の目標の実現に向けての決意ができたのかもしれない。。。


 俺は一度心の中にさっきの出来事を仕舞い込み教室を目指して歩き続ける。教室に着くと授業が始まるほんの少し前だったので間に合ったことに安心する。


「なんだよあいつ、めちゃくちゃ傷まみれじゃねえか」


「たしかにそうだよねー。何であんな傷まみれなのかしらね?怖いわー」


 教室に入ると、自分の体や顔にできている傷を見て、クラスの人間が噂話をしている。

 完全に忘れていた。俺は先程まで中村にほぼ一方的に殴られたことで、全身にあざや切り傷ができていたことを忘れていたのだ。

 まあ仕方がない。俺は何事もないように周りから聞こえる噂をシャットダウンし、次の授業に備える。


 そうして授業が始まると、またヒソヒソと声が聞こえてくる。


「そういえば中村どこ行ったんだ?確かトイレに行くって言ったから戻って来てないぞ」


 中村がいないけどどうしてだ? このようなは話が所々で聞こえてくる


(あいつこんなに心配されてるなんて本当に人気者だったんだな)


 中村の人気ぶりに改めて関心をしながらこんな事を思い出す。


「貴方が殺した人は殺した瞬間人の目に触れないようになり、その死体は誰にも見つからないわ。だから万が一のことも全く心配しないで」


 流石女神だなと思う。そんな超常的なことが出来るなんで反則だ。俺はもう全く女神のことについて疑っていなかったが改めてあの存在の凄さに畏敬の念を抱く。


 そんなことを考えていると授業がおわった。そうして帰りのホームルームの時間になると、担任の先生が勢いよく教室に入ってきて額に汗をかきながらやや青い顔色で教室を見渡し、ややうわずった声で問いかける。


「中村をみていないか?さっきの授業もいなかったそうだし何も情報がないんだ。もし知っている人がいたら先生に教えてほしい」


 どうやら先生の間でも中村がいない事は問題になっているらしい。その問いかけを受けて生徒同士が目配せをし合いお互いが知っているかどうかを確認するがもちろん誰も知らない。


「そうか誰も知らないのか。もしあいつに関して知ってることがあればまた改めて教えてくれ。」


 教師はそう言った後適当にいつものようにまとめの話をしてさようならの挨拶をする。それに生徒が返事をして続々とそれぞれが下校を始める。そして、教室の中から次々に人が出ていき教室の中の人数は減っていく。


(俺も帰るか......)


 教科書を鞄に詰め込み教室を出ようとすると、教師が俺の目をまっすぐみながら近づいてくる。俺は内心自分がやったことがバレたのかと冷や汗を流し少し動揺するが、そんな事はありえないと結論を出し心を落ち着かせて先生からの発言を聞きいれる。


「お前も中村のことでわかることがあったら何でも教えてくれよ。お前たちは仲がいいから連絡とかは取れないのか? 」


「いえ、僕は中村くんの連絡先は知らないので連絡はできないです」


 俺はそう極めて表面上は冷静に返事をするが、内心とてつもなく心はざわめいていた。まさか教師から見れば俺たちは仲良く見えていたのか。ふざけるな。俺があいつからどれだけの苦痛を与えられてきたのか知らないくせに。


 こちらの事情など知らず能天気に話しかけてきた教師にとても苛立ちこいつも殺ってしまおうかという気分になる。だがまあいまはいいか。こんな些細な事で殺してしまっては殺人鬼と一緒だろうしな。


 自分の中で殺しの選択肢が当たり前のように出てくることに驚きそんあ自分の変化に恐怖を感じながらもそれを表には出さず会話を続ける。


「それじゃあ、先生さようなら」


「ああ、気をつけて帰るんだぞ」


 先生にさよならの挨拶をした後教室を出て廊下を進み靴箱で上靴と靴を履き替えて家を目指していく。家につくと家に寝転びいつものようにダラダラする。


(今日は初めての殺人だったな。思ってたよりも心の中に動揺はないしこれなら何とかやっていけそうだ)


 心の中で自分の中で殺人に対する抵抗感がそれほどなかったことに安堵する。

 そして俺はこれから先自分のためにどんどん人類を掃除していくことを決意してSNSをひたすら周回するといういつもと変わらず退屈で意味を感じない時間を過ごして時間が経つのを待ち続けた。


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