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第二話 自分に与えられた能力

「掃除というのは具体的にどういう人間を消していけばいいんだ?」


 俺はシンプルにそのことについて疑問に思う。やはり犯罪者などの悪人でなければいけないのか? とても気になるところだ。


「基本的には誰でもいいわ。私が仕事をお願いしている人の中には目があったから、肩があたったからとかそれだけの理由で殺している人もいるわ。」


 ま、まじか。そんなしょうもない理由だけで人のことを殺している人がいるのか。俺はその話を聞くと共にとても恐怖を感じた。しかし、それと同時にそんな理由で人を殺してもいいんだという安心感も得ることができた。


「分かった。とりあえず自分の気分を少しでも害した人間を掃除していけばいいんだな? 」


 そう俺は女神に対して確認を取る。


「そうよ、とりあえずそういう方向性でいいと思うわ。もし心のそこから誰でもいいから殺したいと思って無差別に殺人をしても私は責めないわ。」


 女神はとても口の端を釣り上げ悪い顔をしながら俺の問いに答える。とりあえず自分の中でもそのことについての疑問は解消をすることができたので次の気になる事を聞いてみる。


「仕事の報酬としてくれると言っていた十万円はいつ受け取ることができるんだ?」


 俺はお金に対しての率直な疑問を女神にぶつけてみる。


「基本的には貴方が掃除掃除(さつじん)をした次の日に振り込むわ」


 女神の話によると、自分が掃除《殺人》をした次の日に10万円を振り込んでくれるらしい。これはバイトばかりで経済的に苦しい自分にとってとてもありがたい条件だ。

 家計にも余裕が生まれるし、お金があるということはそれだけで心にゆとりを持てることだと思っているから。


「分かった。報酬金は明日に振り込まれるということか。それは助かる、俺は家計がとても苦しいからな」


 俺は日頃のお金がないことから来る苦労や辛い気持ち、周りの呑気に生活している人間の憎たらしい顔を思い出しながら答える。


「そう? それは良かったわ。報酬金は貴方が使いたいと思ったことに自由に使ってね」


 女神は優しい顔で答える。


「後もう一つ質問だ。俺はその掃除する人間というものをどうやって殺せばいいんだ? 俺は非力で頭も悪い。人を殺すほどの知識もないぞ。」


「それについても心配ないわ。私たちが仕事を依頼する人それぞれに掃除する能力をあげるから。」


 どうやら女神は何か能力をくれるらしい。どういう能力をくれるかは分からないが、そういう厨二病的な物は好きなので興奮しながら話を聞いてみる。


「この丸い錠剤を飲めば、その人に合った能力を身につけることが出来るわ。とても簡単でしょ? 」


 そういい女神の声が聞こえる黒いモヤから一つの錠剤が降ってくる。

 白い風邪薬のようかの錠剤で一見ただの薬のようにしか見えない。ただ俺はこれまでの超常現象を見ているので疑いもなく信じる。


「分かった。お前のいう通り飲んで見よう。」


 そういい、俺はその錠剤を一飲みする。すると、一瞬にして体がポカポカしていき、自分の体の中に新しい感覚が生まれていくのがわかる。


「成功したようね。今のあなたには新しい能力が備わっているはずだわ」


「それを確認するためにこのカードをあなたに渡すわ。」


 そういい女神は長方形の何も記述のない不思議な四角形の紙を俺に渡してきた。

 すると、俺に触れたその紙は、俺の体に触れた瞬間、一気に文字が書き込まれていき、ビッシリと自分の情報が書き込まれていった。


「石神雄馬 16歳 160cm あなたの能力は自分の言葉に強い影響力を持たせ、相手にその影響をもたらせるものです。」


 そう記述されている紙が完成した。それをみた俺が思ったのは能力と欄についてだ。冒頭の自分の情報についてはまだ分かる。


(ただ、この能力は、一体どういう意味なんだ?......)


「あら、とても珍しい能力が生まれたわね。これは結構レアな能力よ。いわゆるチート系能力だと思うわ」


 女神は俺の能力に対して驚きながら俺の能力の概要について教えてくれる。


「その能力は、例えば相手に死んで欲しいと思えば殺せるし、何処から飛び降りろと言えば飛び降ろさせることができる能力なようなものよ。」


 そんなに強力なものなのか。それはいわゆる無敵というものではないのか? もしかすると自分はとんでもなく強力な能力を手に入れたのかもしれない。そう思うと心の底から自信とワクワクが生まれる。


「ありがとう、俺はこの能力を使って暇で退屈な人生を変え、お金を手に入れることで人生を変えれそうだ」


「喜んでもらえて何よりだわ。ただし報奨金については、あなたが掃除(さつじん)をした時だけ貰えるから注意してね。


「わかった。とりあえず自分の能力が具体的にどんな物かが分からないから試し運転で色々使ってみる」


 女神に俺は返事をする。俺の方針としては、具体的にこの能力について理解できているわけではないので徐々にならしていくつもりだ。


「分かったわ。また1週間後にあなたの夢で現れるからその時にまた色々聞かせてね。」


 そう女神が言ったと思うとまた俺の意識は闇に消えていく。

 とりあえず俺のやるべき事は貰った能力について理解を深める事だ。しっかり使って使いこなしてやる。


 その決意を胸に意識は沈んでいく。

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