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第十五話 それぞれの思惑

厳かな神殿のような場所で神たちが会議のために集まった。定期的に開かれる報告会のようなものだ。


「2人とも今日はよくあつまってくれた。それでは早速会議を始めさせてもらう。お互いの成果について報告せよ」


神秘的な雰囲気を纏う老年の男が口火をきった。目の前には机があり左右に2人ずつ座っている。そして、その2人の上に立つものである最高神が全体を見渡せる位置に座って会議を進行している状況だ。


「はいシヴァク様。私は現在1万人の人間を自分の眷属に掃除させました。この数字は前回の会議の時と比べると人数も上昇しており増えすぎた人類の削減と致しましては、好調であると私は判断しております」


「そうか。確かに前回よりも数値は上昇しているな。順調そうで何よりだリリス」」


「はい。ありがとうございます」


無感情にリリスを労うシヴァクと言葉には感謝を伝えるものを選んでいるが一切そういったものを感じさせないリリス。お互いになんの感情も垣間見ることのできない二人の会話はまるで機械のように淡白だった。そして、お互いになんの感情も感じさせないやり取りをした後次の話題に進んでいく。


「じゃあ次はお前だルシウス。今回は何人の使者を掃除したんだ」


ここでいう使者とは、神が使わせる人類の削減化を図るために用意された人間のことを指す。石神もその中の1人だ。


「今回は、百人ぐらいじゃったかのー。大体それぐらいじゃ」


「100人......それは本当ですか? 流石にやりすぎでは無いですか? 私がせっかく貴重な能力を渡して使者を送っているというのにそんなに減らされては困ります!」


リリスは声を荒げる。まるでルシウスのやっっている事が絶対に間違っていると言わんばかりに。

リリスとルシウスはシヴァクにお互い違う使命を託されている。リリスは、人類の数を適正な値にするために使者を送る事を任されており、ルシウスはそんなリリスが送り込んできた使者が欲に溺れていないかを見張りルシウスがダメだと判断し場合排除するという仕事を任されている。


「そうかのー? お前が使者にする人間はあまりによく深い。それ故に度を越した考えに至り人として超えてはいけないラインを超えてしまう人間が沢山生まれている。それは使者を決めるお前さんの過失では無いかの?」


ルシウスがリリスの神経を逆撫でするような心底挑発めいた声で呟く。


「私の過失? そんなわけがないでしょう。私はしっかりと自分の中にある指針にのっとって自分が適正だと判断した人間を試写にしています。あなたが厳しすぎるのではなくて? 」


お互いの間に見えない火花が散る。もう何年もこの2人のあいだにはおおきなみぞがありどれだけの年月が経とうとお互いの考えや信念に対する共感し合うことは出来てない。


「無駄な口争いはやめろ。それ以上は私が許さん」


「......」


2人とも声を発する事ができない。恐らくシヴァクと自分達との生物としての格の違いを本能が理解し、従わざるを得ない状況になっているのだろう。


「以前決めたはずだ。お互いの妥協出来る点で合意しそれを守りながら地球のことを考えると。それを忘れてしまったのか? 」


「忘れていません」


「もちろんじゃ」


2人は心の内側から湧き上がってくる恐怖の感情に何とか蓋をしてシヴァクに返事を返した。

以前リリスとシヴァクは考え方の違いにより争いを常にしていた。どんなやつでつでもどんなクソな理由でも人類の数さえ減らせればいいと考えるリリスと一定の私情は認めるが、ある程度の良心に従った掃除をするべきだという考えを持ったルシウス。


どちらも自分の意見が正しい事を信じて疑わず争いは三日三晩続いた。最初は討論という形でお互いの考えを競り合っていた両者だが、埒が開かないと考えた2人は神の力である神通力を使い、争った。


そして、決着がつかないと判断したシヴァクが2人の仲裁にった。互いの意見に折り合いをつけるために話し合い最終的にお互いが地球のためにすることは不干渉という結果に落ち着いた。


「それにしてもリリス。最近使者にした石神雄馬という子はどうなっとんじゃ。あれはおかしいじゃろ」


静寂に耐えかねたのかルシウスが突然話し出す。


「それはどういった意味でしょう?」


なぜ雄馬のことについて知っているのかという疑念がリリスの心の中でざわめく。ただそれ以上に最近自分の部分の一押しであるゆうまのことに対してイチャモンをつけてきているという事が何よりもリリスは気に食わない。


「すっとぼけよって。リリスお前もわかっとるんじゃろ?あの子が歪で壊れてしもうとるのは」


「なんのことでしょう? 彼は新人ながら立派に仕事をしてくれています」


「まあいい。とりあえずあの石神雄馬という子は処分する事に儂はした。あの子のためだ」


強い口調でルキウスは言い切る。それが本気で優馬のためになると思っている顔だ。目にははっきりとした強い意志が宿り何を言おうと引かない姿勢を感じる。


「ええそう。まああの子は貴方のような子にどうこうできるたまじゃないと思いますけどね」


一歩も引かない姿勢でリリスも言い切る。ただリリスとしては新人の雄馬がルシウスに見つかってしまうというのは大きな誤算だった。戦闘経験のない雄馬がもしなんの対策のないままルシウスのお抱えの使者に狙われれば、何も出来ずに殺されてしまうだろう。リリスは凛とした表情の下でこの後に自分が行う行動を頭をフル回転させて考えた。


「大した自信じゃなリリス。まあいいわい。私たちには約束がある。今回も自分の望まない結果になっても恨むんじゃないぞ?」


「こちらこそ。返り討ちにさせて頂きますわ」


2人の間に見えない戦いの火蓋が切れられた。すぐにでも対策を行う方が勝利するだろう。


「今日はここまでだ。それぞれ通常の業務に戻れ」


シヴァクが一言呟いたかと思うと光に包まれ一瞬のうちに姿がなくなった。これも神通力によるものだろう。そして、シヴァクが立ち去った後ルシウスとリリス、それぞれシヴァクと同じ力を使い三人の神は神聖な神殿から立ち去る。


ルシウスとリリス。それぞれの使者同士の戦いが始まろうとしていた。


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