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第十話 温泉マナー最悪男①

結局この1週間学校に通学している間は、誰も掃除することはなかった。そして、今日は女神にあった週の土曜日という事になる。


学校で誰も掃除しなかったのは、腹が立つ奴がいなかったわけではない。未だに露骨に陰口をコソコソ言ってくる人間の存在は少し腹が立つし、自分のことを全く理解してくれない教師に関しても腹が立つ。


ただ、腹が立つと言ってもほんの少しだ。


それは恐らく自分の心に生まれた余裕によって人に優しくなっている事が原因だろう。だから、誰かに対して負の感情を抱くことはあるが、殺すほどの感情は抱いたことはない。


(最近少しずつ人生が楽しくなってきたな......)


俺は、目標ができた事によって人生に充実感を感じるようになってきたことにより他人にマイナスの感情を抱きづらくなっている。


ただ、そんな状態のまま過ごしていると報酬がもらえず自分の満たしたい欲求を叶える事ができないので焦りはある。


そんな俺はとりあえずリリスに教えてもらったサウナというものを体験するために朝起きて準備をしている。


調べた所、まずサウナというのは暖かい部屋の中に籠る事で体温を上げて発汗をさせる。そのあと水風呂に入り少し入る事で一気に体を冷やす。


そしてその事により急激に体内温度が変化する事でて体が急激にストレス反応を出し、自分の体を守るために大量の快楽物質であるドーパミンが放出されることから快感を感じるという物らしい。


(体内にストレスをかけるという所が少し気になる。まあやって見てからよかったかどうか決めよう)


俺はとりあえず体験してみてからサウナというものを評価する事に決めた。以前の俺なら体験する前に偏見で行くのをやめていただろう。


だが今は、心に余裕があり自信を持てていることから何でもやってみようという気になれている。これは休日は家から一歩もですにひたすら携帯ゲームをやっていた俺からすれば考えられないことだ。


そうこう考えながら、リュックにタオルと着替えを入れて出発をする。


出発した時間は、昼の14時くらいだ。この時間に出発した理由は単純に夜は人が多そうだからというものである。


そして今回俺が行こうと思っている所は鏑木(かぶらぎ)温泉という旅館が併設された場所であり、サウナもついているという地元では知らない人は居ないぐらいの歴史がある大変有名な温泉地だ。


まだ一度もサウナを体験した事がないということから、変な冒険はせず俺の住んでいる地域では鉄板と言われている場所を選んで行く事にした。


(まず、ここなら外さないだろう。口コミを見てもかなり評判が良かったからな)


事前にクチコミを見て評価が高かったことも確認済みである。


しばらく歩き最寄りの駅の近くに着くと、俺は普段通学に使っている定期券を準備して改札をタッチし通過していく。


鏑木温泉は、俺が学校に行くまでの間に駅に最寄りがあるということから、わざわざ改札券を買わずに住んだ。


(俺って実はかしこいかもしれないな.....)


たまたまそうだったということも忘れ、最近調子に乗っている俺はまるで自分の手柄かのように嬉しくなる。


そんな事を考えつつも電車に乗り込んだ。相変わらず車内は清潔感があり、窓から見える景色も絶景だ。それに人も少なく余裕で座る事ができたというのもポイントが高い。またどれだけ声を聞いても不快にさせない程いい声をした車内アナウンスもかかっており一層俺のテンションが上がってくる。


(これは久々の最高の休日になりそうだ。リリスにあったらいっぱい思い出を聞かせてやらないとな)


俺はもう既に誰かに今自分が感じている幸せという感情を分けたくなるほどにいい気持ちになっている。


そうして、電車に揺られながら窓から見える自然豊かな緑を感じる景色をうっとりと見つめていると静かな車内には似つかわしくないほどの声が聞こえてくる。


「今日はマジで楽しみやな!ずっと行きたいって思っとからほんまに楽しみやねん!」


「おーそうなん!それはええやん!行ったら絶対楽しいでー俺がお前のこと全力で楽しませたるわ」


若い大学生ぐらいの男2人組がかなり大きな声で車内の中で会話をしている。正直かなり不快だ。


(せっかく窓から見える景色を味わってたのにな......)


俺はその若者たちの大きな声が原因で外の景色に集中する事ができなくなってしまった。まあ仕方がない。

こういうこともある。


「てか席すわりてーよなー!」


「それなー!1人で座ってるやつとかまじどけって感じよな」


不機嫌そうに周りの座っている人たちに明らかに聞こえる声量で叫ぶ。


(何だこいつらは。大学生にもなってマナーも知らないのか......)


これが流石に目に余るな。だがまだ今の俺なら耐えられる。あと少しで着くから我慢しよう。


そんな事を考えると鏑木温泉がある最寄駅についた。俺は電車の中にいたマナーの悪い2人組から逃げるように下車し,鏑木温泉に向かう。


降りた感想は、とにかく自然豊かという事だ。街というよりかは町のような印象で田舎特有の落ち着く雰囲気が漂っている。畑や田んぼから感じる緑の匂いが自分の鼻を刺激し安らぎも与えてくれる。自然が好きな自分にとってはかなり好きかもしれない。


(とりあえずさっき感じたストレスは、景色を見る事で帳消しにできた)


俺は心の中でさっき感じた苦痛が和らいだ事を感じながら鏑木温泉へと向かう。


結果的に徒歩10分ぐらいで着く事ができたので、酷良い疲労をしたのみで、大した苦労をする事がなくついた。


(なんというか圧倒的な外観だな)


初めて見る鏑木温泉の印象は、圧倒的に伝統を感じる見た目で、全て木製で作られていることがわかる。さらに大きさもそれなりにあることから中の施設の充実度も期待する事ができそうだ。


俺は、早く入りたいという気持ちが抑えられず早速中に入ろうとした時どこかで聞き覚えのある声がする。


「ここここ!俺が言ってた所!マジで最高やから一緒に楽しもうやー俺が温泉って言うもん教えたるわ」


「めっちゃ上からくるやん。なんか腹立つしおしっこでもしたろなー」


先ほど見たマナーの悪い大学生ぐらいの男2人組がまた大きな声で笑いながら、俺と同じ目的地である鏑木温泉に入っていた。



どうやら目的地が一緒だったらしい。1番苦手な人種と一緒にお風呂に入る事になりそうだ。


俺はその事に少しショックを受けながらも新しいターゲットになるかもしれないという期待を込めながら、彼らの後を追い鏑木温泉の受付の方に入っていく。


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