ヲタッカーズ25 パラサイト・デブ
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!
聖都の危機にアキバのCharlie's angels
"ヲタッカーズ"が立ち上がる!
オトナのジュブナイル第25話です。
今回は、南極の観測基地で宇宙から飛来した古細菌が科学者に寄生、秋葉原への侵略を開始し、街は恐怖に震えます。
宿主を通じ相手のエネルギーを吸収する古細菌にヲタッカーズは苦戦しますが、そこへ謎のヒロインが登場して…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 ぽっちゃりした細菌
南極大陸のマカム山観測基地。
「アナン博士、お見せしたいモノが」
「南極氷床の融解が加速してる件か?この調子だとセカンドインパクトを待たずして、世界は海の底に沈むぞ」
「とにかく見てください」
助手が指す透過電子顕微鏡の画像に融解進む氷床の下から発見された隕石の表面が映し出される。
「凍った…古細菌の痕跡か?」
「生きてます。しかも…"太ってる"。細菌というより化学合成独立栄養生物で、同じ隕石の中に閉じ込められた無機化合物、即ち金属を酸化させるコトでエネルギーを得ています。つまり、今も成長を続けているワケです」
「何と!5000年前に隕石と共に飛来した地球外生命が、今も生きているのか?大発見じゃないか!」
「YES。この"メロッンキネンビ・セドゥラ"は、金属を取り込み、自ら生体内変化を実行スル能力を有する超古細菌です。目下、隕石の中に刻まれた成長の痕跡を分析中」
「で、この超古細菌に"食べられている隕石"の正体は?」
「"SWA1172"は、多金属物質で重さは約12kg。細菌の代謝活性や成長を促す金属成分に富む隕石です。加えて、多孔性も"メロッンキネンビ・セドゥラ"の生理機能を促し、生存率を高めていると考えられます」
「そして、少なくとも5000年以上、氷の中にいた…うぐっ!どふっ!」
「博士!どうされましたああぁぁぁ、ぐうぇぇぇ…」
突如、血反吐を吐くアナン博士を気遣う助手だが、その目、鼻、耳、口からも血が…
いや、出血などという生易しいモノではなく組織が崩壊して血と体液が崩れ落ちるw
「助けてくれぇぇぇ…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
秋葉原の通称地下アイドル通り裏にある"異次元人メイドカフェ"。
"リアルの裂け目"から落ちこぼれた異次元人が集う秘密クラブだ。
異次元人ではないがアキバ防衛秘密組織ジャドーのレイカ司令官と、同じく異次元人ではないが宇宙人のナウナ親衛隊長が来店中だ。
ふたりとも珍しく私服。お忍びか?
「あら。このアルデバランのキツいお酒、頼んでないけど」
「アチラから」
「えっ。あの瞳がブルーの子?女子からのオゴリはコレで4杯目ょ。私達モテるね、百合に見えるのかしら」
カウンターのヤタラ耳がとんがってる女子が振り向いて愛想笑い。可愛い。可愛いけど…
「ま、寂しさが紛れるし、何より秋葉原に居場所があるるというのは良いコトょ!」
「自分の星が滅んだというのに元気なコト。
ねぇ少し飲むのをやめて話しましょ?秋葉原で仕事を探す約束ょ?ワラッタでなくても良いから」
「もう見つけたわ」
アッサリ答えるナウナ。
「そう?どんなお仕事?」
「雑用みたいなことを色々やるの」
「良かった!じゃ訓練してあげる。ジャドーの訓練施設でスーパーパワーの制御法を学ぶの」
「制御なら出来てるし」
「まだ危険ょパワーは加減しなきゃ」
ナウナは怪訝な顔をした途端、パワーの入れ加減を誤り手にしたグラスを砕いてしまうw
「ほーら」
「え。今のは失敗だけど…レイカがコレを飲んだら訓練を受けても良いわ」
「だめょ」
「怖いの?」
挑発にのってグラスを空けるレイカ。
「スゴい。ナイス飲みっぷり。気分は?」
「フワフワする。でも浮かんでない」
「うん。レイカは座ってる」
ふたりは大爆笑。
「さぁ訓練受けてょね!明日からよっ!」
「はい、先生」
「うーん異次元人のお酒、キツいわ」
「あ、ココにおかわりを!」
ソコへムーンライトセレナーダーことミユリさんが入って来る。
あ、スーパーヒロインは異次元人メイドカフェは顔パスなんだ。
「レイカ司令官?」
「あ、ミユリさんに似てる」
「え?本人ですけど。ロレツがwチョコレートって3回続けて言ってみて」
「回ってない?チヨコレイト、チヨコレイト、チヨ…」
逝えないw
「司令官が酔っ払うの初めて見たわ」
「私も見たコトないわキャハハ」
「司令部まで送ろうか?」
「え?でも私、空は飛ばないし」
続いて万世橋警察署のラギィ刑事が入って来て、ソレを見たレイカは急にソワソワする。
「レイカ、生きてたのね」
「え。えぇゴメンね」
「何がゴメンなの?」
「私、この前ココに来て、貴女に爆弾を落とした」
前回、あろうコトか、レイカはラギィに自分はもしかしたらゲイかもとカミングアウトw
「あ、あんなのよくアル話ょ。でも、その後どう?」
「どうすべきかわからない。分別盛りのアラサーなのに、途方に暮れてる」
「よければ私の経験を話してあげよっか?」
「何?」
無邪気に身を乗り出すレイカ。
「家族に自分がゲイだとカミングアウトした時のコト」
「え。反応は?」
「父は、心が広くないけど受け入れてくれた。母もょ」
「私は…でも、ホントに自分がゲイなのか、あの時は気の迷いだったカモって…」
すると、ラギィはまるで何ゴトかを切り捨てるかのようにレイカにキッパリと申し渡すw
「アレは、気の迷いナンかじゃない。貴女の気持ちはモノホンょ。そして、貴女には幸せになる権利がある。先ず家族に話すべきょ。大変だけど、貴女は独りじゃないから」
「そ、そうね!」
「カミングアウトしたら祝おう」
「え。ホントに?」
「約束するわ」
レイカは心を決める。
「私、話してみるわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
「私は大丈夫!平気よ!」
「ま、いいから座って。ほら」
「緊急事態って?」
みんなで"異次元人メイドカフェ"で羽を伸ばしてたら、案の定、非常事態が発生スルw
「レイカ司令官…酔ってる?」
「あ、ナウナに飲まされちゃって」
「なるほど」
ヲタッカーズに担ぎ込まれたレイカ司令官は足腰グニャグニャ状態。椅子に座らされるw
「異次元人のお酒はキツいから…あ、誰かお水をお願い」
「うーん。では、司令官の代行はどなたが?」
「私がやりましょう。報告を」
名乗り出たのは"神田川の英雄"ことハンナ機長で、ジャドーでは調査部別班を率いる。
「今から御覧いただくのは、南極大陸マカム山観測基地から送られて来た映像です」
司令部の正面スクリーンで女子が顔面蒼白w
「…助けて!お願い!アレは…アレは人間じゃないわっ!ああぁ…」
次の瞬間、女子はカメラに向け大量に吐血し画像は唐突に途切れる。彼女は恐らく死亡?
「このSOSの後、基地とは連絡が取れません。国連は一帯を封鎖し、首相官邸を通じて内々にジャドーに調査依頼をして来ました」
「了解。早速、南極に飛びます。よろしくて?レイカ司令官」
ムーンライトセレナーダーが振り向くと…レイカ司令官は見事に酔いつぶれ中で轟沈だw
「…ハンナ機長。一緒に逝く?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
南極大陸のマカム山観測基地。
ロケット兵装備のマリレと飛来した面々は、防寒着を着込み、拳銃片手、ライト片手に観測基地に突入…中にはミイラ化した死体が!
「このミイラは…観測隊員の成れの果て?」
「こんな死体は初めてだ」
「まるで生気を吸い取られたみたいだぞ」
その時、通路の奥から人影がヨロめき出るw
「誰?」
「出て来い!」
「…寒い。寒いんだ」
目、鼻、口…あらゆる穴から血を噴いた痕がある男がブツブツと呟いてバタリと倒れる。
「貴方は…責任者のアナン博士?」
「完全にショック状態です」
「至急ジャドーに搬送!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドーメッド。
「基地のみんなは死んだのか」
「残念です」
「博士、貴方も危険な状態でした。このママ経過観察を」
だが、意外なコトにアナン教授は意気軒昂w
「ダメだ。温暖化は着実に進行している。地球は破滅する。異次元人の侵略ではなく、人間が地球を荒らした。基地のみんなは温暖化の阻止に命を捧げた。彼等の遺志は私が継がねばならない」
「でも、お話の続きを伺いたいのですが」
「では、大学の研究室の方へ来てくれ。聖都大学アキバだ」
「わかりました」
ストレッチャーからスックと起き上がりスタスタと歩き去るアナン博士。
その博士の口から、でっぷり太ったゾウリムシが這い出て耳の穴に入るw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
しばらくして…ジャドーの地下リング。
トレーニングセンターを兼ねた施設だ。
レイカとナウナがリングインw
「やられた!でも、転んだだけょ!」
「もう一度」
「望むトコロだわ!」
レイカに全力でぶつかって逝くナウナだが、簡単に投げ飛ばされてしまう。
ソレをリングサイドで笑って見ているセキュリティ達。レイカは…本気だw
「だめ。もう一度」
今度はハデに殴り合うw
「降参?」
「まだまだ」
「もう一度」
コーナーポストに激突するナウナ。
「あぁもう、レイカ。貴女、ホントにアラフォー?貴女を酔わせた仕返しなのコレ?」
「その話はやめて」
「休憩とかはナシかしら?」
ナウナの泣きが入る。
「もうギブアップ?でも、一刻も早く自分を守る方法を覚えなきゃダメょ?」
「ねぇ私を襲うつもり?」
「訓練してるだけょ。いつか貴女が活躍出来るように」
「永遠に無理かも」
「貴女なら出来るわ」
ソコへ、アナン博士を大学へ送り出したムーンライトセレナーダーの一行が通りかかる。
「あ、ムーンライトセレナーダー。ふたりで話せるかしら?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部は地下にあるが、地表に出て少し歩くと裏アキバの芳林公園はすぐ近く。
「何かあったの?私服に着替えてお散歩なんて」
「いえ別に。ただ…打ち明けたいコトが。私自身のコトょ」
「何だって聞くわ。話して」
親身に聞く姿勢で身を乗り出すミユリさん。
「ラギィとのコトなんだけど」
「ラギィ?万世橋警察署の?」
「彼女とは何度か一緒に仕事したでしょ?それで一緒に飲むようになったの。そうしたら彼女が急に気になり始めたワケ」
「え。どういうコト?」
「つまり…少しずつ強くなったの。彼女への想いが募って」
「想い?ソレって…」
さすがにミユリさんも1呼吸、間を置く。
「そう。そういう想いょ。ラギィに言われたの。家族に打ち明けるべきだとね。だから、とりあえず貴女に話したってワケ」
「そりゃ光栄だけど…じゃ彼女はゲイ?」
「そうょ」
「じゃあレイカも?」
「ソレが…自分でもわからないの。全然気持ちの整理がつかなくて」
話すレイカの方も心もとないw
「これって…カミングアウトょね?前にもそういう気持ちが?」
「ないわ」
「交際経験は?」
「女性とはない」
「ではなぜ?ずっと彼氏はいないみたいだけど」
「あ、別に良い男がいなかったから女に走ったワケじゃない!」
慌てて打ち消しに入るレイカ。
「それはわかってる。私は理解したいだけ」
「昨夜も全然眠れなかったの。このコトでズッと悩んでた」
「じゃあ貴女とラギィは完全両想いなの?」
「わからない…この話はもうやめょ?」
「レイカ」
妻恋坂の方へと歩み去るレイカを見送りながらミユリさんは独り芳林公園に立ち尽くす。
第2章 救うのは誰か
聖都大学アキバは、秋葉原の高層タワーにあり、キャンパスも研究室もビルの中にある。
深夜、照明を落とした研究室で顕微鏡を覗きながら寄生虫に話しかけるのはアナン博士。
「君達の細胞が私の赤血球を吸収した結果、私のDNAの描き変えが完了した。コレで君達と私は遺伝子レベルで融合し完全に1つになった。より優れた、完全なる存在へと進化したのだ…」
ソコヘ大学の理事が入って来たが彼は照明の消えた研究室の不気味さに先ず圧倒される。
「や、やぁアナン。もう帰って休んだらどーだ?君は大変な目に逢ったのだから」
「そのおかげで、今は力がみなぎって仕事に励めてます」
「…今日1日早く帰宅しても、世界は終わらないぞ」
「でも、もうすぐ世界は終わる。間違いなく世界は変化している。悪い方に」
理事は、ジョークのつもりで逝ったのだが、博士の思い切り真面目?な回答にたじろぐ。
「休暇を取れ。君は、温暖化問題に執着し過ぎだ…そんなにやりたいなら、別の研究所に移るという選択肢もアル」
「私をクビにスルつもりか?」
アナン博士は顔色ひとつ変えズに尋ねる。
「…実は、君の人事は以前から理事会の話題になっていたンだ」
「そうか。しかし、我々は断る」
「我々?君の他に誰がいる?」
「我々だ」
深夜の研究室に響く断末魔の悲鳴。
だが、ソレを耳にスル者はいない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃ジャドー司令部では…
「ヲタッカーズが南極のマカム山観測基地から持ち帰ったPCに妙な動画を見つけました。アナン博士が不審な行動を…」
「スクリーンに出して」
「コレです」
司令部の分析スタッフが画像をメインスクリーンに流す。
観測基地内の画像で、例の細菌を発見した直後の様子だ。
「…宇宙から飛来し、5000年間も氷の中で生き抜いた細菌だと?!」
「しかも、デップリ肥え太ってるw」
「…きゃー!博士、博士を抑えて!博士、ヤメてください!」
直後に画面は上下左右に激しくブレ始める。
撮影者が博士に首を絞められてる?さらに…
「ヤメて!らめぇぇぇ!」
次の瞬間、画像内の全てが紫色に光り出して画面がブラックアウト…いや紫アウトかな?
「画像はココで途切れてます」
「アナン博士が撮影者を襲ったのか?というコトは…」
「博士は、何者かに乗っ取られている?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び聖都大学アキバのアナン研究室。
急行したジャドーの特殊部隊が突入。
「誰もいない?…ん?ココに死体が!」
「"何か"を吸い取られてる。南極基地の死体と同じだ」
「大学関係者のようです。アナン博士に襲われた犠牲者では?」
その時、暗闇からアナン教授の声がスル。
「私が殺した。私を解雇しようとしたのだ。コロナで再就職など不可能なのに!」
「アナン博士?貴方なのか…いや、アナン博士を乗っ取ったお前は何者だ?!」
「我々を止められないぞ。我々は進化スル。邪魔はさせない。地球は滅ぼされつつある。お前達人類は地球の生命力を吸い取る寄生虫だ。お前達から地球を救うのだ」
ん?実はモットモな話カモと思わズ躊躇う特殊部隊員に代わりヲタッカーズが前に出る。
「お黙り!寄生虫はアンタよっ!」
単純明快な論理を振りかざし、敢然と立ち向かう!ヤッパリこの地球を救うのは女子だw
マリレとエアリを左右に従えたムーンライトセレナーダーが電撃のポーズを取り…放電!
「素晴らしいパワーだ!」
だが、電撃を満身に浴びたアナン博士は、カラダ全体を紫色に光らせて恍惚としているw
何か変だ?取り囲んだ特殊部隊の一斉射撃を浴び初めて博士はハッと我に帰った様子だ←
「あら?!電撃が効かないわ?」
「一斉射撃も効果ナシだと?」
「…では、今宵は失礼スル」
ヲタッカーズも特殊部隊も茫然と立ち尽くす中、アナン博士はテーブルで分厚い強化ガラスを割り、アキバの夜空へと姿をくらますw
「モモンガ…なの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部は大騒ぎだw
「氷の中にいた何かが博士の体内に入り寄生してる。しかも、博士は未だ生きてる。生きて奴等の栄養源になってルンだ」
「そいつの正体は超古細菌です。基地のPCを分析したトコロ、ラテン語風に言うと"メロッンキネンビ・セドゥラ"と呼ばれる宇宙の寄生生物らしい。隕石"SWA1172"に付着し氷河期の地球へ落下、以来、南極氷床に閉じ込められてたが、先日の東日本震災の余震の影響で地表に露出を…」
「宿主が接触した相手から、あらゆるエネルギーを吸い取って抜け殻にしてしまう恐ろしい寄生生物のようです」
「栄養源にするだけじゃナイわ。私の電撃のパワーを吸い取って、博士は夜空へ飛び去った。野放しは危険よ」
「ところで、ムーンライトセレナーダーは無事なの?」
「かろうじて」
「わかったわ。ダマヤ分析官、早速アルゴリズムを組んでアナン博士の次の標的候補を割り出して。ヲタッカーズは…ひとまず帰って休んで」
ソコへトンでもない人が入って来る…
「私も手伝うわ」
「サリアCEO?!マジ?モノホン?」
「充電のため、世界を放浪中と聞きましたが?」
別の意味で司令部は大騒ぎにw
「ワラッタ・ワールドワイド・メディアのサリアCEO?なぜ今、急に?」
「何ならワラッタHQまで送るけど」
「大丈夫。心配ない」
「サリア、なぜ事件のコトを?」
「メディアは匿名の情報源を持ってるモノょ」
「とにかく!出口まで送るょジャーナリストさん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ダマヤ、激おこプンプン丸←
「サリア!勘弁してよ!正気?なぜ来た?」
「だって!下手すりゃムーンライトセレナーダーが死んでたのょ?」
「わかってるょ。でも、帰ってくれ」
「ゴメンね。でも、ダマヤだって心配なハズだょね?とにかく、早く私のスーツをつくってょ」
「急いでる」
「すぐ仕上げて」
いつの間にか、怒ってたハズのダマヤがサリアに押されてるwサスガは巨大企業のCEO←
「ほ、本気か?ダメダメ。でも、君の指図は受けない。僕は君の助手じゃないしIT係でもないぞ。この手のコトは、僕が1番わかってルンだ。君につくってるスーツはハロウィンのコスプレとは違う。未完成のスーツで闘ったら死ぬぞ。死ぬんだ。人助けをする前にね」
今度は、サリアがしおらしくうなずく番だw
「わかったわ」
「良いか?」
「わかったから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御屋敷裏につくった"潜り酒場。
今宵はミユリ&レイカ貸切ナイト。
「ミユリさん、様子が変。あの話をしてから」
「そんなコトない」
「顔を見ればわかる。失望したのね。でも、コレが私なの。どうしようもない」
「失望なんてしない。ただ、レイカが話したくないって逝ったから」
「だって、ミユリが嫌がるかと」
女子同士の儀礼的?なやり取りを終え本題。
「私は、いつでも聞くわ。座って、レイカ。座って話そう?私、貴女に謝らなきゃ」
「ミユリが?なぜ?」
「だって、私、打ち明けやすい雰囲気を作れなかった。ずっと一緒だったのに、夜中に秘密を打ち明け合ったりもしたのに、いつも私の話ばかりしてた。貴女のコトを考えてなかったわ。ごめんなさい」
「ミユリが謝るコトない」
「私とは状況が違うけど、良くわかるの。自分の1部を押さえ込む気持ちが。思いを閉じ込めるのはどれだけ辛くて孤独か。でもね。レイカ、貴女は1人じゃないのよ」
突如レイカが泣き出す。
「ダメなの。1人じゃ耐えられないのょ」
「私がいるわ。ねぇラギィってどんな人?」
「…私、彼女が大好きなの。スゴく頭が良いのょ。タフで、ソレでいてスゴく綺麗なの。そう。スゴく綺麗なのょ」
「貴女もね」
レイカの髪の毛を撫でハグ…すると電話w
「あら。異次元人が電気街で民間人を襲ってるみたい」
「まぁ。でもソレは警察の範疇ね」
「私に任せて。貴女はラギィをゲットょ」
飛び出して逝くミユリさん。
レイカは微笑んで首を振る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
あろうコトか現場は電気街口を出た広場だ。
アキバのタイムズスクエアと呼ばれる雑踏w
「分った?」
「許して!もうしません!」
「ホント?魔王に誓う?」
そのド真ん中で、女が女を脅かしてイル。
ん?脅かしてる女は…親衛隊長のナウナw
ムーンライトセレナーダーが仲裁に入る。
「ナウナ!何をやってるの?ヤメなさい!」
「あ、ムーンライトセレナーダー。貴女も手伝ってょ。この子、借りたお金を返さないらしいのょ」
「え?ナウナ、借金の取り立てをやってるの?」
ムーンライトセレナーダーの目が点になる。
「いいえ。私は、ただ彼女の悪い癖を直してくれと頼まれただけ。だって、この子が悪いわ」
「…わ、わかったわ。はい、貴女は逝って」
「ありがと!ムーンライトセレナーダー!」
走り去る彼女は…耳がとんがってるw
恐らくデジマ法未登録の異次元人だ←
「ふざけてるの?コレが貴女のパワーの使い方?雇われて借金の取り立て?」
「単なるバイトょ?」
「あのね。バイトにパワーを使っちゃダメだから」
「えっ!そうなの?」
「当然でしょ」
「何で?」
「ソレじゃ…私達の信念が台無しになる」
するとナウナは世にも不思議な話を聞いたという顔でムーンライトセレナーダーを見る。
「私はね。貴女と違って、秋葉原を救うとかいう気はサラサラ無いの。だから、持ってるパワーでお金を稼いで何が悪いの?」
「もうわかった。貴女は自分勝手」
「どうせ、私は母星を失った風の星の民だって?」
ナウナのコンプレックスで話がねじ曲がるw
「ソンなコト、逝ってないわ」
「でも、図星でしょ?とにかく!私は、貴女と違って、わざわざトラブルに飛び込む趣味は無いの?いけない?」
「ちょっとね」
「まさか」
「貴女だって聖人じゃないわ」
「何ょ」
あぁコレはもう完全に女子の口喧嘩だw
「ヲタクを助けて純粋なフリしてるだけ。本当はチヤホヤされたいだけでしょ?貴女も自分勝手よっ」
「貴女ナンかヒロインじゃない。買いかぶってた。残念だわ」
「ムーンライトセレナーダー!」
ねぇ待ってと逝いたいが、逝えないナウナ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部にムーンライトセレナーダーがスゴい剣幕で帰って来てみんなが遠巻き←
「もぉ!誰かをブン殴りたいわっ!」
「おぉ!ソレは好都合だ!」
「えっ?何?」
空気を読まないコトに関しては定評のあるダマヤ分析官が、率直に喜び?の声を上げる。
「僕のアルゴリズムが寄生生物"メロッンキネンビ・セドゥラ"の次の標的を割り出したぞ!」
「ホント?!ターゲットの名前は?」
「ランド・ライリ。気候変動の否定論者で、聖都大学アキバの理事でもある。アナン教授の追放を画策したフシもアル」
司令部全員の視線がダマヤ分析官に集まる。
「で、彼は…今どこ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ライリ理事は、聖都大学アキバの地下駐車場で、愛車に乗り込む寸前に声をかけられる。
「ライリ理事。私は貴方に解雇されたアナン教授です」
「な、なぜココに?いずれにせよ、君の復職は無理だょ」
「いや。私は貴方が地球を破壊スルのを止めたいだけです。そのために、私は今から貴方を拉致せねば」
今や寄生生物に乗っ取られたアナン教授が、驚くライリ理事の肩に手をかける。しかし…
「アナン教授!貴方は病気。貴方こそ一緒に来て」
「えっ?お前は…」
「私はライリ理事じゃない。お生憎様!」
バイオマスクを剥ぎ取り背広を脱ぎ捨てたらムーンライトセレナーダー!囮捜査で変装w
「秋葉原は渡さないわ!」
必殺技の電撃を放つポーズ!
「地球は死にかけている。我々が救わねば」
ハメられたと悟ったアナン教授は、人間業とは思えない腕力でムーンライトセレナーダーを投げ飛ばしビルにメリ込んだ彼女に喉輪!
「ぐ、スゴい力だわ!」
「懲りずにまた現れたか?今度こそお前のパワーを1滴残らズ吸い取ってやる!」
「ムーンライトセレナーダーがピンチだ!一斉射撃!武器使用、自由!」
教授からムーンライトセレナーダーに向けて赤い電流が流れてエネルギーが流れ込む。
ジャドーの特殊部隊が飛び出し一斉射撃を浴びせると、教授は壁面をつたって逃げる。
まるで蜘蛛のようだ。もはや人間ではない?
後にエネルギーを吸い取られ横たわるのは…
彼女がムーンライトセレナーダー?
顔がシワだらけの老女になってるw
「ムーンライトセレナーダー、負傷!」
第3章 参戦!愛の装甲擲弾兵
負傷…と逝うか老化?したムーンライトセレナーダーがジャドーメッドに運び込まれるw
「ムーンライトセレナーダーのパワーを吸収し、アナン教授はさらに進化した。寄生した"メロッンキネンビ・セドゥラ"のDNAが体内で爆発的に増殖したと思われる」
「ムーンライトセレナーダーは重篤なのか?」
「彼女は、太陽光線を浴びるコトにより回復の兆しが見られる…が、老婆からアラサーに戻るには時間がかかる」
ココで空気を読まないコトに関しては定評のあるダマヤ分析官が逝いそうなジョークは…
「アラサーは立派な老婆だ」
ナンだが…不思議なコトに聞こえて来ない。
ややっ?自重ではなくて姿が見えないのだw
「おい、ダマヤ分析官は?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃ダマヤは…後に"ワラッタ洞窟"と呼ばれるコトになる秘密基地にいる。
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワー地下の"南秋葉原条約機構"。
「もう待てないわ」
「モノホンのライリ理事は、今宵は国際環境会議のレセプションに出席予定だ。この会議は、実は温暖化規制反対派の集まりで、その基調講演で、理事は温暖化の懐疑論をぶつコトになっている。アナン教授は、彼を妨害しに必ず姿を現わすだろう」
「私の出番ね」
ジャドーのダマヤ分析官は成り行きでSATOではハンドラーを務めるコトになっている。
あ、SATOは巨大企業ワラッタのサリアCEOが金に糸目をつけズ立ち上げた私設軍隊だ。
とは逝っても目下3名の軍隊だけどw
「待てょサリア。確認したい。ホントに良いのか?いったん始めたら、もう昨日までのサリアには戻れない。引き返せないぞ。犠牲も伴う」
「私の覚悟を聞いてるの?ヲタッカーズを知った時から、私は心を決めている。私も闘う。メディアの影に隠れズ、私自身が前に出る。犠牲が必要なら迷わず払うまで」
「OK。素晴らしい答えじゃないか」
ダマヤは、コンテナを開けて中身を示す。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下アイドル通り裏にある通称"異次元人メイドカフェ"にメイド姿のレイカ司令官が…
「うわ、レイカ!何でメイド服?…で、でも良いょ萌え萌えだぉ」
「ナウナ?この大事な時にお酒ナンか飲んでるの?」
「まぁね。飲めば酔っぱらえるし…貴女こそ大事な時とやらに何でメイドのコスプレ?で、でも萌えるわぁ…」
実は、レイカ司令官のメイド姿はミユリさんの次に絶品なのだ。
過去にマッドサイエンティストがメロメロになったコトもある。
「ソ、ソレはともかく…あのね!今、秋葉原にはヒロインが必要なの」
「また?私、ならず者と闘うのは嫌ょ」
「でも、バイトで人を脅すのは得意だそうじゃない?」
すると、ナウナはウルサいハエを追い払うように、レイカ司令官にシッシの仕草をスルw
「スーパーヒロインが必要なら他を当たってね」
「ホント、貴女ってダメ女ね。しかも、臆病者だわ。危険と見れば真っ先に逃げ出す。でも、ムーンライトセレナーダーは貴女を信じてる。だから、いつも貴女に厳しいのよ。貴女の可能性を信じてるから。自分みたいに、いつかヲタクのために闘うスーパーヒロインになると思ってね」
「無理ょ。私には出来っこない」
レイカ司令官は、ゆっくりと大きく息を吸ってから、静かな声で諭すように話しかける。
「やりもしないで決めないで。先ず、立ち上がって。私達みたいに」
そう逝い残しレイカは店を出て逝く。
ソレを見送りながら、ナウナは呟く。
「で、何でメイド服だったの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夕暮れの中央通りを疾駆するリムジン。
車内ではライリ理事がスピーチ練習中w
「…みなさん!今や地球は危機にある。温暖化ではなく、一部の科学者の妄想のせいで、世界の終わりだと騒ぐメディアのせいで!」
絶好調の途中で急ブレーキ!
前につんのめるライリ理事←
「危ない!何をやってる?!」
運転手は、慌てて弁解しようと口を開いた次の瞬間…突如、姿がかき消える←
何者かの触手が彼の首に巻きつき、車外に引きずり出し宙に放り棄てたのだw
「うわああぁぁ…」
遠ざかる運転手の悲鳴を耳にしつつ、車外へ逃げ出した理事の首にもヌメヌメの触手が…
「助けてくれぇ!」
逃げようにも腰の抜けた理事は、路上にヘタリ込んで動けない。ヌメヌメの触手が伸び…
「ぎゃあおおぅ!」
その悲鳴はライリ理事?いや、彼は既に失禁じゃなかった失神して…え?失禁もしてる?
とにかく!悲鳴を上げたのは、手足が触手化したアナン教授?ヤタラ横方向に太ってるw
しかも、手だか脚だかが合計6本アルけど?
「うわっ!誰だょアンタ?やっぱり顔を出すンじゃなかったわ!」
率直な感想を述べるのはナウナだ。道路から引き抜いた交通標識で蜘蛛化したアナン教授を背後から思い切り殴りつけたトコロだが…
「新手のスーパーヒロインか?では、お前から料理してやる!」
アナン教授は、投げつけられた交通標識を弾き返し6本脚で素早くナウナに襲いかかる!
4本の脚でナウナの両手両足の動きを封じ、残る2本の脚でネックハンギングツリーだw
「ワレワレは"パラサイト・デブ"だ」
そう名乗った寄生生物は、真っ赤な電流を発してナウナのエネルギーを吸い取り始めるw
ナウナはエネルギーを吸い取られ、このママでは老婆になってしまう!やっ?赤い点が…
ナウナに人間絞首刑をキメたパラサイト・デブの胸に赤いドットが現れる。
レーザーポインター?次の瞬間、ソレを目掛けロケット弾が次々命中スル…
どっかーん!
爆煙が晴れた時、ソコに立つ謎の女子!
「誰?また新手のスーパーヒロイン?で、味方なの?」
「私はグレナディア。…聞こえる?」
「バッチリだょベイビー。7時の方向、8tハーフトラックでスタンバイしてる」
謎女子が振り向くと、後部がヤタラと特徴的な形をしたハーフトラックが停車している。
てっぺんのハッチが開き、ヘッドホンをつけた誰かが、謎女子に向けて手を振っている。
「"パラサイト・デブ"は戻って来るぞ。例の新兵器、使っちゃって!」
「良いの?」
「もちろん!」
「では、御命令を。御主人様」
「3, 2, 1…今!」
その瞬間、グレナディアの腕からローマ兵の持つような光る盾が現れるw
ビルの壁面から飛び掛かったパラサイト・デブのコトを見事に跳ね返す!
「ぎやぁうぁ!」
「スゴい!うまくいったわ!」
「ざまぁみやがれ、寄生虫野郎!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。
ジャドー司令部メッドで、ムーンライトセレナーダーが息を吹き返す。
ストレッチャーの上でガバッと起き上がり、周囲を見回す。その顔は…
若い!とは逝え元々アラサーだけどw
「大丈夫?じっとして」
「寄生生物は?」
「パラサイト・デブを名乗り、国際環境会議のレセプションを襲撃した。目下、ナウナが応戦中」
「独りで?」
ムーンライトセレナーダーが動く度に電極や医療機器が外れては警報が鳴り出し大騒ぎ。
「現場は?」
「中央通りからホテル"ザ・24"へ移動中だが…ダメだ、ムーンライトセレナーダー!残った力まで吸い取られるぞ!」
「あのね。私には、誰にも奪うコトの出来ないパワーがアルの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
現場は戦場だ!
パラサイト・デブは、卑怯にも通りかかった子供に向けて車を投げつける!
ナウナが子供の前に飛び出し、車をガッシリと受け止めてニッコリ微笑むw
「車の近くで遊んじゃダメ絶対!」
そのナウナに6本脚を駆使し襲いかかるパラサイト・デブ…に電撃が直撃!誰?
キメのポーズでムーンライトセレナーダーの登場だ!真打ちがギリギリで到着!
で、彼女は傍らにいる僕に囁く。
僕は…あるモノを肩に担いでる←
「でも、テリィ様。さすがに私、微妙です。この作戦、チェルノブイリの二の舞になるのでは?」
「大丈夫だょミユリさん。信じてもらうしかないな」
「わかりました…ねぇパラサイト・デブ。世界を変えたいの?あるべき姿になるのなら、変化も悪くない。でも、ソレが貴女のあるべき姿なの?コレが最後の警告ょ。貴方を死なせたくない」
手招きするムーンライトセレナーダーに挑みかかって逝くパラサイト・デブ。
巧みに身を交わしたムーンライトセレナーダーが背後に回ってフルネルソン!
「テリィ様、今です!」
「は、離せ!」
「喰らえ!」
片膝をつき、僕は肩に担いでた対戦車ロケット弾を狙いを定めて発射スル!
綺麗な放物線を描き飛んで逝った弾頭は、パラサイト・デブに見事に命中w
着弾の瞬間、赤い稲妻が走り膨大なエネルギーが現出、寄生生物の横幅がイキナリ倍にw
「全部吸い取れるか?その弾頭はプルトニウム239だぞ!」
「ブブビバブベブビビッ!」
「ごめんね…」
今や、赤い電流を全身に走らせて、苦しげにのたうつパラサイト・デブ。
体内に流れ込むエネルギーの奔流に為す術もなく空を仰ぎ悲しげな咆哮。
そして…横に伸び切ったカラダが爆散スルw
「やった…のか?」
「死んだの?」
「良くわからないけど」
ムーンライトセレナーダーは同じく立ち尽くしてる謎女子のグレナディアに語り掛ける。
「ありがと。誰だか知らないけれど」
「貴女もね」
「…お顔が透視出来ないわ。鉛の装甲ね?」
「ええ…今は未だ正体を明かせない。マスコミが来る前に消えるわ」
「誰なの?」
「…貴女の味方ょ」
そう逝い残して、夜の中央通りを颯爽とバイクで走り去る謎のヒロイン、グレナディア。
第4章 失恋と誘拐のルンバ
「秋葉原の中央通りから、ワラッタ・インターナショナルのドリス・デラックスがお伝えします。ムーンライトセレナーダー、またまたテリィたんとコンビで大活躍ね!」
「えぇ。聖都、秋葉原の防衛には、ヲタクとの連携が欠かせません」
「ソレにしても抜群のコンビネーションだわ。秘訣は?」
「私達スーパーヒロインの立ち位置は、秋葉原のメイドさんに似てる。御主人様あっての私達なの」
「満点回答だわ!秋葉原中央通りからドリス・デラックスが…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
花形レポーターのドリスが特ダネインタビューをモノにしている頃、会社の幹部達は…
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワービル地下にある"南秋葉原条約機構"。
「…秋葉原は、新たなヒロインの話題で持ち切りです。"愛の装甲擲弾兵グレナディア"とは何者?ドリス、現場はどんな感じ?」
ライブでニュースショーがオンエア中。画像の中でスタジオのアンカーが吠えまくりだ。
「グレナディアか。悪くない名前だ」
「だって、秋葉原を守る装甲の乙女ょ?ピッタリだと思わない?」
「昨夜はご苦労様。人食い宇宙細菌を退治したね」
「貴方も8tハーフトラックの中で頑張った」
場にいるのはグレナディアことサリアとハンドラーのダマヤ、そしてスズキくんの3人。
あ、スズキくんとサリアは結婚して、離婚して、あれ?今はどーゆー関係ナンだっけ?
「グレナディア、コレからもヒロインを続けるつもりか?」
「もちろんょ。おふたりさんは?」
「そうだね。僕達3人は、きっとどうかしてルンだ」
「でも、グレナディアはヲタクのヒロインだ。ヲタッカーズと同じさ。コレが僕達の進む道ナンだと思う」
サリアはふたりに尋ねる。
「ヲタッカーズやジャドーに秘密にしておくべき?嘘はつきたくないけど」
「わかるょ。でも、軌道に乗るまでは黙ってるべきだろう。話せば絶対に止められる。スーパーヒロインに反対されちゃ敵わない」
「グレナディアは、ヲタクの、ヲタクによる、ヲタクのためのヒロインだからな」
「ヲタクヒロインね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。地下アイドル通り裏の"異次元人メイドカフェ"で大切な告白が行われている。
「ラギィ」
「レイカ?あら、可愛いメイド服」
「ねぇ。今宵はお祝いにお酒をおごって」
ラギィがレイカを見詰める。
「話したの!家族よりも親しい友達に」
「やったね、レイカ!おめでと」
「ね?今宵は飲も?」
メイド服を着たレイカは、少しウカれてラギィと手をつなぎ、振り向かせてキスを迫るw
「ずっと…キスしたかった」
「そうみたいね」
「え。ダメ…なの?」
ラギィは首を振る。
「いいえ」
「じゃあ何?」
「今の貴女は、私とは立場が違うの。今から新しい世界へ入って行くのょ。何もかも新鮮で輝いてる。でもね。ソレは貴女が自分1人で味わうべきモノなの。私とじゃなくてね。ソレに、私は新人とは上手くいかないの。でも、私はソバにイル。友達としてね?それで良い?」
メイド服のレイカは透明な壁にぶつかったように立ち尽くす。ナゼ涙が溢れるのだろう?
「…ええ。わかるわ」
「ホント?」
「もちろん。…じゃ、またね」
「待って。レイカ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。司令官室のドアが堅く閉ざされ、レイカがメイド服のママ閉じこもるw
「レイカ、開けて!いるんでしょ?透視で見えてるから」←
「来ないで、ムーンライトセレナーダー」
「どうしたの?」
「何もないわ、ほっといて」
まぁ察しはついているのだが…
「ねぇ。絶対にヘンだから」
「大丈夫ょ」
「私にカミングアウトしたコト?」
「違う。でも、私が言ったコトは全部忘れて」
「じゃなぜ?どういうコト?」
「私がバカだった。間違ってたの。何も言わず胸に秘めておくべきだった」
「一体何が?」
「フラれたの。あっさり」
ムーンライトセレナーダーは溜め息をつく。
「レイカ。ねぇハグしょ?」
「スゴく惨めだわ」
「そんなコトない。がんばったょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、パーツ通りで。
「やぁ。冷えるけど大丈夫?私、今は何だかスゴく人助けしたい気分なの」
電柱の影で震えてるホームレスに声をかけるナウナ。
ホームレスの耳は、微かに尖っていて…異次元人か?
「えっ…」
瞬間、青白い火花が走り、ナウナは失神して倒れるw
スタンガン?恐るべき手際で、バンに放り込まれる。
「"脳髄帝國"へようこそ」
ウィンドウを上げながら、女科学者が呟く。
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"宇宙から来た寄生生物"を軸に、宿主となる科学者、防衛組織の司令官、事件を追う女刑事、巨大化した寄生生物と立ち向かう宇宙人や新たなヒロインなどが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、第2次コロナ宣言延長下の秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。