表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

太陽とアステリズム



 ひまわりちゃんは、いいました。

 ある()(あお)くてたかい、おおきな(そら)(した)



「もみじちゃん、ありがとう」と。



 わたしはこたえました。

 (くち)のはしをあげて、(わら)っていたから。

 えがおでこたえました。



「ありがとう。ひまわりちゃん」

「きっと、もみじちゃんもきにいるよ」



 ひまわりちゃんのほそくてきれながの、おひさま(いろ)のおめめからは、きらり、きらり、まぶしい(ひかり)がこぼれました。

 つん、として()えるのに、(わら)うと、おめめのおしりがさがるのが、とてもかわいいです。

 ひまわりちゃんのえがおにつられて、お(そら)もすごくたのしそうに()えました。



「もみじちゃんに、みてほしいの」



 わたしに()せてきた、ひまわりちゃんのりょう()には、(まえ)にかしてあげた、ちいさなもの()れがありました。

 おひさまに5かい、さよならといって、おつきさまに6かい、こんにちはをいう(まえ)のことです。


 わたしがひまわりちゃんにわたしたとき、ものいれのなかには、なにもありませんでした。

 ものいれの(そと)に、わたしの()きなかざりがたくさんついていて、そこが()()っていたからです。

 だから、なかに、なにか()れたいと(おも)ったことはないです。


 でも、いまはちがいます。

 かえしてもらった、ちいさなもの()れのなかには、なかみがあるみたいです。

 ()のひらにうけとったとき、ちょっとだけ、ずしっ、としずみました。


 ひまわりちゃんは、(わら)っています。

 にっこり、えへへ、と(わら)っています。

 なかに(はい)っているものは、すごく()いものなのでしょう。


 これから、もの()れをあけて、なかにあるものをいっしょに()ます。

 わたしは、たのしみだね、といいました。

 ひまわりちゃんは、もうすこしまってね、といいました。


 わたしは、おつきさまをまちました。

 き(いろ)くて(しろ)(まる)が、いちばんたかくのぼるのを。

 となりのひまわりちゃんは、わたしより、わくわくしています。



「ひまわりちゃん、おしゃべりしよ」



 わたしはいいました。

 ひまわりちゃんは、すてきなものを()つけるのが、じょうずです。

 いままで()つけてきたものを、いっぱいおはなししてくれました。

 わたしは、じっと、ききいっていました。


 (こころ)のなかで、むくむくと、あたたかいきもちがおおきくなっていきました。


 いつのまにか、おつきさまがのぼっています。

 (くび)をうしろにたおして、見上(みあ)げるほどたかいところにあります。


 わたしは、もの()れのふたに、ゆびをかけました。

 ひまわりちゃんは、やっぱり、きらきらと(わら)っていました。

 にっこり、くすくす、と(わら)っていました。



 もの()れのなかには、ひまわりちゃんのたのしいが、しきつめられていました。

 よるのお(そら)にかがやく、3つのおおきなほしが、とじこめてありました。


 デネブと、アルタイルと、ベガ。


 ほそながくて、おおきな三角(さんかく)になるためのせんをつなぐ、おほしさまです。

 そのおほしさまが、ひまわりちゃんのだい()きなものなのだと、おしえてくれました。


 もの()れから、おほしさまがのぼっていきます。

 おおきくて、くらいお(そら)に、すいこまれていきました。


 もの()れのなかは、(から)っぽです。

 わたしは、おほしさまがなくなったことを、()にしていました。

 でも、ひまわりちゃんは、おこりませんでした。

 


 さくらちゃんに、()いにいくよ、と(わら)っていました。



 さくらちゃんに()えたら、また、()られるようになるそうです。

 でも、おめめのはしに、きらりと(ひか)るつぶがありました。

 それだけを、わたしは、ずっとおぼえているとおもいます。


 またつぎも()えたら、ひまわりちゃんは、()せてくれるのでしょう。

 わたしのもの()れをいっぱいにする、たいせつな、なにかを。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ