表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

リアル御百度参りの最果てに 〜不思議な体験をした話〜

作者: 栗山nico.

「はぁはぁはぁ」


私は階段を登っていた。


足が上がらない。

うんん、何か考えるぐらいなら、足を動かせ。

考えるな。

足を動かせ。


階段も半ばを過ぎて、残り半分だ。


足を動かせ。

足を動かせ。

毛虫が歩いている。

足を動かせ。


大嫌いな毛虫を、無感情で視認できるなんて、数時間前の私ではありえないことだろう。

それほどに、今、私は、極限の状態で階段を登っている。


足を動かせ。

足を動かせ。

眼鏡内側にに汗がつく。

どうでもいい。

足を動かせ。


私は吹き出すような汗をかいていた。

50往復目くらいに飲み物を持ってくれば良かったと思ったが、100往復目の今となっては、水分を欲していたことさえ忘れていた。


足を動かせ。

その時、足がガクッとなって、一度、立ち止まった。

足を動かせ...

動かない...


立ち止まったせいか足が動かなくなってしまった。


私が頑張らなきゃ、これまでの99往復分の努力が無駄になる...


しかし、そう思った瞬間、足はさらに重くなってしまった。


重たいよ...プレッシャーが...

99人の私が私の重みになる...


私は今、リアル御百度参りという無謀なチャレンジをしている。

近所の神社の長い階段を登って、境内を確認してまた降りる。

そして、また、長い階段を登って、降りるのだ。


そんな無謀チャレンジを体力のない私がしているのには理由がある。


私は志望校の模試の結果が散々だったのだ。

そこで思いついたのが御百度参り。

困ったら神頼みとはよく言ったものだ。

それも普通にしてはダメだと思って、私は階段を100往復することにしたのだ。


こんなことをするなら、いつもなら、受験勉強をしたはずだ。

それほどまでに私は追い込まれていたのだ。


足を動かせ...

足を動かせ...

足を動かせ...

私の努力は無駄になってしまうよ...

99回はしんどいの我慢したじゃん!

あと1回だけだよ!


私はその場にしゃがみ込んで、泣き出してしまった。


何で、頑張れないの?

何で、努力できないの?

私は私は私は!


『泣かないで!』


私は突然、背中をポンポンとされて、そんなことを言われる。

私はすぐに振り向く。


「誰なの...?」


逆光で、その人は女の人だとは分かったが、顔はわからない。

私の質問に笑う。


『ふふふ、あなた、今、99人のプレッシャーがかかってるって思ったわよね』


私は泣きながら頷く。


『99人のあなたはプレッシャーを与えたいのではなくて、応援したいのではないかしら』

「え?」

『あなたの努力で、あなたは今、99人に応援される立場なのよ』

「その応援が重いんです!」

『あなたが頑張ると期待も大きくなるものよ。応援団はあなたの敵じゃない!味方よ!』

「そんなこと...どうやって...」

『頑張れ!』


意味わかんないよ。

なによ、99人の応援団って。


なによ...変でしょそれ...

ふふふ。

私は思わず笑ってしまった。


目を少し離したすきに、その女の人はどこかに行ってしまった。

プレッシャーにとらえるんじゃなくて、応援団としてとらえてみる。


私の足の枷は外れる。

また、足が動き始める。


足を動かせ!

足を動かせ!

毛虫さん!

応援ありがと!

足を動かせ!


私は、次に、立ち止まった私がいたら、今度は()()()私が励ましてあげようと心に決めた。


私の夏は、また、ゆっくりとではあるが進み始めた。

作者の近所に神社がありまして、その長い階段を登っているときに思いついたお話です。

作者は、1往復でノックアウトです...tohoho

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
やっぱりこっちはコメントしても通知いってなさそう( *´艸`) いろんなところにコメントするみや笑 今年はmたんにいい結果報告できるといいなっ! mたんが居てくれるから今のみやがある訳だし〜、応…
こうやって、後出しするのせこーい!! mたんの癖みたいなのが出てたよ〜( *´艸`) ん? 感想ってもしかして、みやが、あ!バレた(´>∀<`)ゝ 一番乗り?いぇーい(*>ω<)b こうやって書いたも…
2025/07/21 23:05 mたんのファン笑
[一言]  お百度参りをした人っているのかな?体験したら貴重でしょうね。  自分の人生において、そこまで願かけしたいと思ったことがあったかなと、ふと思いました。  確か人に見られてはいけないでしたっけ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ