中編
4年生になった。
そのクラスには、とってもかっこいい子がたくさんいた。
当然女子は湧き上がり、みんなが楽しそうに笑っていた。
よくわからないが。
ほーくんともまた同じクラスになった。
失恋した彼は、その好きな子も同じクラスらしく、嬉しそうな、悲しそうな、なんとも言えない複雑そうな顔をしていた。
意味が全く持ってわからなかった。
みんなはその子を慰めていたけど、今度は私は慰められなかった。
私はなにもわからないからだ。
そばにいるだけで、私はなにも役に立たなかった。
私はまた自分の可笑しさを実感した。
でも、特に気にせずに、何もしなかった。
私はまた新しく好きな人を心の中で作って、ただ、楽しく新しい日常を送っていた。
まあ、見てるだけだが。
ほーくんはやはり苦しそうだったが、私は愚かにも、全然理解して居なかった。
しようともして居なかった。
あの、狂おしいほどの悲しみに満ちた、美しいけども、残酷で無様で、真っ暗な世界のことを。
親友が、感じて居たのに。
知ろうとも、しなかったのだ。
私は、とてつもなく愚かだ。
***
5年生になった。
また好きな子ができた。
笹川 蒼紀君、と言う子。
結構仲良くなって、ソウ君、と呼んでいる。
でも、今回は何かが違った。
なぜか、いつのまにか好きだった。
彼と話したいと思った。
彼に触れたいと思った。
彼と一緒にいたいと思った。
なぜか私はすごく笑顔だった。
今まで、接触したことはなかったけど、どうやったら彼に接触できるか、方法を探した。
彼は雨が好きだった。
私は雨が好きになった。
彼はトマトが好きだった。
私はトマトが好きになった。
彼はいつも笑っていた。
私は彼のその笑顔が、大好きだった。
彼はいつも笑っていると言っても、『ツンデレ』という人種で、少し分かりづらい。
大抵の人は誰も彼が笑っていることに気づかない。
私はそのことに気づいていることに、少し優越感を抱いていた。
だから私は、今までと違うことに、全く気づかなかった。
彼にはとても仲良しな女の子がいた。
霧貝 咲と言う子。
その子は彼がいつも笑顔なことに気づいていた。
彼はその子の前では何かが違った。
それから少し経った日、彼がその子のことが好きだと言うことを知った。
なぜか胸がちくりとした。
そこからなぜかたくさん血が出たような気がした。
心が空っぽみたいになった。
なにも考えられなかった。
ただ、すごく悲しかった。
その日私は、自分が本当に彼のことを好きなことに気づいた。
好きなんだ。
ただそれだけだったと思っていた感情が、私の心に深く深く突き刺さった。
私は、こんな感情、知らなかった。
ただ、あの時のほーくんは、こんな気持ちだったんだ、と、今更ながら思った。
次の日になって、ほーくんにこのことを相談した。
なぜかどことなく嬉しそうだったところが少し癪だったけど、ただただ聞いてくれて、少しは楽になった。