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この初めての恋の苦しさを。  作者: 琥珀猫幸
この初めての恋の苦しさを。 〜城川 渚視点〜
2/3

中編


4年生になった。


そのクラスには、とってもかっこいい子がたくさんいた。

当然女子は湧き上がり、みんなが楽しそうに笑っていた。

よくわからないが。

ほーくんともまた同じクラスになった。

失恋した彼は、その好きな子も同じクラスらしく、嬉しそうな、悲しそうな、なんとも言えない複雑そうな顔をしていた。

意味が全く持ってわからなかった。

みんなはその子を慰めていたけど、今度は私は慰められなかった。

私はなにもわからないからだ。

そばにいるだけで、私はなにも役に立たなかった。

私はまた自分の可笑しさを実感した。

でも、特に気にせずに、何もしなかった。

私はまた新しく好きな人を心の中で作って、ただ、楽しく新しい日常を送っていた。

まあ、見てるだけだが。

ほーくんはやはり苦しそうだったが、私は愚かにも、全然理解して居なかった。

しようともして居なかった。

あの、狂おしいほどの悲しみに満ちた、美しいけども、残酷で無様で、真っ暗な世界のことを。

親友が、感じて居たのに。

知ろうとも、しなかったのだ。

私は、とてつもなく愚かだ。


***


5年生になった。

また好きな子ができた。

笹川 蒼紀君、と言う子。

結構仲良くなって、ソウ君、と呼んでいる。

でも、今回は何かが違った。


なぜか、いつのまにか好きだった。


彼と話したいと思った。

彼に触れたいと思った。

彼と一緒にいたいと思った。

なぜか私はすごく笑顔だった。

今まで、接触したことはなかったけど、どうやったら彼に接触できるか、方法を探した。


彼は雨が好きだった。


私は雨が好きになった。


彼はトマトが好きだった。


私はトマトが好きになった。


彼はいつも笑っていた。


私は彼のその笑顔が、大好きだった。


彼はいつも笑っていると言っても、『ツンデレ』という人種で、少し分かりづらい。

大抵の人は誰も彼が笑っていることに気づかない。

私はそのことに気づいていることに、少し優越感を抱いていた。

だから私は、今までと違うことに、全く気づかなかった。

彼にはとても仲良しな女の子がいた。

霧貝 咲と言う子。

その子は彼がいつも笑顔なことに気づいていた。

彼はその子の前では何かが違った。

それから少し経った日、彼がその子のことが好きだと言うことを知った。

なぜか胸がちくりとした。

そこからなぜかたくさん血が出たような気がした。

心が空っぽみたいになった。

なにも考えられなかった。

ただ、すごく悲しかった。

その日私は、自分が本当に彼のことを好きなことに気づいた。


好きなんだ。


ただそれだけだったと思っていた感情が、私の心に深く深く突き刺さった。

私は、こんな感情、知らなかった。

ただ、あの時のほーくんは、こんな気持ちだったんだ、と、今更ながら思った。

次の日になって、ほーくんにこのことを相談した。

なぜかどことなく嬉しそうだったところが少し癪だったけど、ただただ聞いてくれて、少しは楽になった。


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