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この初めての恋の苦しさを。  作者: 琥珀猫幸
この初めての恋の苦しさを。 〜城川 渚視点〜
1/3

前編


忘れられない、恋をした。


初めて、本当の恋を知った。


好きだったんだ。


ただ、それだけだったんだ。


この気持ちを、私は知らなかった。


辛かった。


それでも、美しい世界に惹かれて。


私は、その感情に、触れてしまった。


***



小学生の頃、私は恋に恋してた。


私は城川 渚。

かっこいい人好きになって、1年経ったらその気持ちはすぐに消える。

と言うのを、繰り返していた。

こう言うの、面食い、とも言うんだっけ。

気持ちなんて伝えずに、ただ見てるだけだけど、私はこの気持ちを結構楽しんでいた。

好きだとか、嫌いだとか。

それ自体を楽しむ私は、きっとすごく酷い人だったんだと思う。

それでも私は、その中にいるちょっとした人になるため、性格を偽った。

明るい性格を、おとなしいはっきりしない性格に変えた。

そうすると、情報はいくらでも集まる。

こんな自分が何かするなんて、誰も思っていないからだ。

誰かが、私の好きな人は好きなひとがいると言った。

でも私はそれに特になにも感じなかった。

そんな自分が、心の底から嫌いだったけど、こんなもんだな。と、諦めてる自分もいた。


私は可笑しかった。


いつの間にか、親友ができた。

桜河 穂崇。

私と同い年の男の子。

ほーくんと呼んでいる。

私なんかと仲良くなるなんて、彼も結構不幸なものだ。

優しくて、カッコよくて、勉強も運動も得意な文武両道で、みんなからのあだ名は王子様。

そんな完璧人間の欠点の一つになれるとは、もはや光栄ものだ。

ある日、私がたまたま好きな人がいると口にした事があった。

それからしばらく、彼は学校を休んだ。

休んでいた彼が帰ってきた時、それはそれはとても辛そうにしていた。

いつも完璧王子だった彼の姿を見て、周囲はとても驚いて居た。

クラスメイトの一人が、なぜか、と聞くと、


失恋したと、口にした。


クラス中に激震が走った。

青天の霹靂とはこの事だろうとみんなが思わずと言った感じで言葉を交わす。

そして、なんかよくわからないが、それから1週間ほど全員に睨まれ続けられた。

なんか理不尽だ。

私はそういう性格に偽っていたから、慰めるにことにしたけど、正直言って、なんでそんな気持ちになるのか、全く分からなかった。

私はなにも、知らなかった。

私はどうしようもなく、子供だったのだ。

まぁ、私はそれに気づくことなく、ただただ幸せである思い人を心の中で想うだけに徹した。

バカなものだ。

いつもいつも、ほーくんは私を、『あの目』で、見つめて居たのに。

でも、私はその違和感に気づくこともなく、淡々と低学年としての生活を送った。

この時の私には、『好き』なんていう感情の本当を、知ることもなかった。

今なら言える。


私はとてつもなく、愚かだったと。


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