暇なら行くか天界へ
「お?なら今からでも行くか、元の姿で」
片腕を歪な異形に変えながら他の2人を見やるグレイス
その表情の大半は目隠しで隠れてる筈だが何故か殺気を込めた目が見える
「えぇ…私はパスよ、元の姿になったら不器用になるもの」
片手でチョコを摘みながら手をひらひらさせ嫌がった表情を見せるグレイア、不器用になるという些細な事だがグレイアにとって人間の手は便利で好みなのだ
「あら、私は良いわよ?久しぶりに外を見てみたいし」
グレイサはピクニックにでも行く感覚で乗り気だ、しかし側から見ると空腹だから食べ歩きでもする気のように見える
「はぁ…分かったよならこのままで行こうぜ、3人で行かないと面白く無いしよ」
「なら良いかな、私も外見てみたいし」
「んじゃどう行くよ、ゲートでも使うか?便利だし」
「…グレイス、貴女前よりも使えるの?」
「そうねぇ、グレイスは昔ゲートをめんどくさがって徒歩で移動してたものね」
「つ、使えるし…昔よりは」
と言いながらいつの間にか元に戻った片腕を横にかざす
5秒後に深淵のような影で出来たゲートが出来た
「お、後は繋ぐだけか」
空間移動魔法『ゲート』
第五位階級世界から使用出来る様になる上位魔法
起点のゲートを設置した後自分が行きたい場所に座標を合わせゲートを繋げたら起点から行き来が出来るようになる魔法
説明だけ聞くと簡単だが元々ある魔力を払い除けて空間を自分の魔力で塗り替えなければならない少し使いづらい魔法である、別名『ゴリ押し転移門』と影で言われている
一方その頃天界では
「隊長!時空に亀裂が発生!緊急自体だと思われます、どう致しますか!」
「なに?!ここは第一位階級世界だぞ!そんな高位魔法を使える奴がいる筈がない!」
「まずいな…神々に連絡をしろ、少し嫌な予感がする」
ドロッ…ベチャ…
「な、なんだ…?」
「お、着いたかぁ丁度目の前じゃん」
その見た目を見た瞬間今この場にいる者達は感じた事もない
恐怖を感じてしまう、目の前の少女は自分達を容赦なく惨殺するという事を感じる
「おい走れここは俺達がどうにかする、神々に報告をしろ」
「第二騎司団か…すまない…」
「第一騎司団の増援もくる、どうにか耐えてるから神々から増援を頼むように言ってくれ」
「分かった、第4騎司団の隊長として必ず報告してみせる」
「おー…なんか眩しくねぇなぁ…」
と少し残念がっているグレイスはふと前に向き直る
「ねぇあれって天使だよね?」
目の前の遠くに進行してくる鎧達を見ながらグレイアは懐かしそうに目を細める
「そうねぇ、この階級世界にしては結構上の方ねぇ」
グレイサは静観し、敵の強さを見ていた
(あれは…成る程、この階級世界の第二騎司団なのね)
「この階級世界での第二騎司団だわ、少しは美味しいかしら」
「お、なら少しはマシな味はするのか」
(あの鎧は不味そうだな質が悪いからな仕方ない、剥いで食うか)
「じゃあ私から手を出して良いかな?」
「まぁ良いんじゃね?鎧剥ぐの担当になるし」
「そうね、なら私は一応結界でも張っておくわ」
カチャ
「アルバレス、標的を綺麗な状態で殺しなさい」
そう言ってグレイアはいつの間にか手にしてた禍々しい銃で遠くに見える騎司団に向けて発砲する、一発だけ
「ゲヒャヒャヒャヒャ!」と撃った後気色悪い声と共に銃口から煙が出てくる、その煙はやがて密集していきトランプに変わる
「よし、6か…殺せないけどまぁ妥当なライン」
とハートの6のカードを手にした瞬間背後に魔法陣が出現し鉄棒が出てくる、その鉄棒は目に見えて高速回転しており
鉄棒は6本同時に音速で飛んで行った