学園へ旅立ち
拙い文ですが、お暇にどうぞ。
『行って参りますわ!先生!!』
ベル先生に挨拶をするとにこやかに頭を撫でてくれる。
「何時でも嫌になったら帰ってきていいですからね」
そんな風に言われたらいきたくなくなりますっと呟くと行かなくても良いですよと続けられる。
「困りますよ。ベル先生…アリスが来るのを僕は楽しみにしてるんですから」
にこやかに爽やかに声をかけてくるのは王子さまだ。
この前誘拐未遂事件があってから久しぶりに会うからどきりとする。
顔に出さずににこやかに笑う、あの時の事は記憶のゴミ箱に捨てよう。
これから行く学園で私はこの王子様に捨てられる。そしたら私は自由に旅にでる!よしっ完璧だ!!
『私も殿下と学園でお会いできるのは楽しみですわっ、でも、先生に会えないのが悲しくて……。』
何でもないように何も覚えてないようにいつもどおりに。
「殿下…………ね。酷いなぁアリス」
捨てるくせに悲しそうな顔をした王子さまは笑うのだ。
『酷くなんてありませんわ…殿下?』
にっこりとお互いに笑う。気温が5度下がった気がするが負けはしない。
「……あの気狂い女から……絶対護るからね…」
不意に王子さまが何かを呟いてどきってする最近この人は危険だ。
今の私が引きづられてしまうような顔をする。
なんと言ったのは解らないが良いことではないんだろう。
気が変わったように急にベル先生に話があると王子さまはベル先生と内緒話に行ってしまった。
凄い疎外感だ……まぁ仕方ない。私はベル先生離れも幼なじみ離れもしなければいけないのだから。
「お嬢様?なんかありました?」
サイが心配するような目で見てくる。
そりゃそうだ今まであんな態度王子さまにとったことないもんね。
『……何でもないの!ごめんなさい。』
苦笑いして首を傾げるとため息をつかれる。
主にため息とはちょっと酷いなぁなんて我が儘だろうか。
我が儘か。すみませんって落ち込む情緒不安定すぎてヤバイなぁ私。思わず下を向いてしまう。
「……あんまり心配させないで下さいよ。マイレディ」
マイレディはサイが私を甘やかすときに使う呼び方だ。
嬉しくなって顔をあげるとデコピンされて文句を言おうとすると額にキスされる。
『え、え?』
目を白黒させるとサイは困ったようにいつもの笑いかたをする。
「申し訳ありません。お嬢様…守りの加護をつけるのにこれが一番いいんです。」
『あ、そうなんだ……吃驚した……守りの加護…なるほどありがとう?』
感謝を伝えるとまた困ったように笑う。
私はサイのこの笑いかたが好きだと思う。
深い翠色の目は見つめられると落ち着くし灰色の髪は本人は嫌いだそうだけど私は好きだ。
サイは私が王子さまの婚約者じゃ無くなっても側に居てくれるかな?
あぁ、最近の私は駄目だ。
前世を思い出してから決めたはずなのに一人で生きていくと。
弱虫だなぁって私が私を嗤う。
私は一人で生きなければいけないのに……。
「お嬢様?聞いてます?」
『え、なに?』
ぼーっとしてると怒られた。どうやら学園の説明で重要なことがあるらしい……
「今グレイ様とベル様がお話しされていることです。学園には今異世界からの客人がいますが……ちょっと厄介な人間らしく……いえ、はっきり言いましょう。勘違いの激しい気狂い女がいるらしいんです。」
『はい?』
「こちらに召喚されたその日にグレイ様に求婚。もちろんグレイ様は断られておりますが……しつこいらしく。また、何故かベル先生の事もご存じのようだと。先に学園に入られておりますが……色んな男性に声をかけては言いがかりをつけたり勝手に家で待ってあり愛していることわかってるんだから!と話も聞かないようで……正気の人間では無いようです。詳しくはですね……」
速報:ヒロイン気狂い判定されているようです
学園に行ったらすぐにフラれるとばかり思っていた私はヒロインのこれから語られる狂気にくらくらするのだった。
ありがとうございました。