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いつか狂うその日まで。

拙い文ですがお暇にどうぞ。


『ねぇ、サイ……先生は何を貰ったら嬉しいかしら?』


「そりゃ、貴女じゃないですか?」言いたい言葉は飲み込んだ。


「先生でしたら、お嬢様が贈られた物でしたら全て喜んでくださいますよ。」


銀色に輝く髪に神秘的な紫の瞳綺麗な天使のような姿をした俺の主は困ったようにこっちを見てくる。


この主人に拾われたのは10年前……俺は別の国の王子だった。

18の時反逆が起こり王族が皆殺しにされた生き残ったのは俺だけだ。


魔力があった俺は逃げて逃げて逃げてこの森について化け物に殺されかけた。

それがこの主がいう先生だ。


「おや?暗殺者かとおもえば………隣国の王子とは…ま、どの道変わりませんね…」


こっちを見てないような瞳でただ作業のように殺そうとしてきたくせに後ろから駆け寄ってきた幼かった主が来るとすぱっと俺を地面に投げ捨てた。


『せんせい~?あれ、その人怪我しているのね!たいへん治療しなければ!』


治さなきゃ!と慌てる主に目を細めてあの男は言った。


「では、クロエ……この人間の治療をしてみなさい。治癒の魔法は教えたでしょう?」


『はい!せんせい!あ、貴方大丈夫ですか?すっごいぼろぼろ』


ボロボロにしたのはあんたの先生だよって心で悪態をつきながら話すことが出来ない。


もう治すの無理だろこれあの先生とやらのダメージは細胞から駄目にしていっている。


殺すなら早めにしてほしいこっちは痛みで死にそうだ。


ぼーっと近づいてくる幼かった主を見つめていた。

ある意味天使が迎えに来たみたいだなぁっとため息をついた。


近くに来ると血に濡れることなどいとわず手を握ってきた。

手が触れた瞬間にぶわっと世界が変わる。


キラキラと紫色をした魔力が舞う……

小さい妖精や精霊がくるくると悪戯に彼女の回りを遊ぶ。


美しかった今まで見たどんな世界よりも

今までみたどんな魔法よりも


「……………治りましたね…」


先生と呼ばれた男が残念そうにこっちを見ると


『治りました!!』


嬉しそうに幼かった主は言ったのだ。

不思議な関係らしい。


さて、このままではせっかく治ったがまた目の前の男に殺されるだろう。

ならば俺がすることは決まっていた。

膝まずいて握る手に口づけを。

どのみち王子の俺は死んだのだ。


きゃぁぁと可愛い声があがり目を白黒させる。


「小さなレディ?命を救っていただきありがとうございました。救って頂いた命を貴女に総てを捧げましょう。どうかお側に……。私の魔力は結界を得意とします。貴女を守る盾となりましょう」


『え、え!!え!あ、貴方側にいてくれるの?』


「主が望むのであれば」


『…居て!一緒にいて!嬉しいっ話し相手が増えたわ』


キラキラと嬉しそうに喜んでくるくる回る幼い主に嫌な顔をする先生とやら。


「……………はぁ……仕方ありませんね。まぁ、私相手に5分結界が持っただけでたいしたものです。いつも私が側にいるとはいえ盾はあっても困らない。ただし……」


ギロリとこちらを見て幼い主に聞こえないように呟く


「……余計なことをしたときは………殺しますよ?……」



おっかないなぁと薄く笑って幼い主に尋ねる。


「マイレディ?……よろしければお名前を教えてください。」


そしてくるくる回りながら綺麗に綺麗に笑って言った


『私は………アリス・ルビィクロエよ!』


それからこの主の世話をしている。

元々器用な方だ。困ったことは特に無かった。


困ると言えば何人追加のメイドや執事が来てもいつの間にか狂ってしまう事だろうか。


不思議な事にこの主人に仕えるとみんな狂ってしまう。


ある者は主人を手にいれようとある者は殺してしまおうと……狂うならもう最初から居ない方がいいと諦めてたそうだ。


強すぎる魔力のせいで彼女の周りは歪んでしまう。

だから、側にいれるのは魔力の高い妖精の加護を強く持つ人間だけだ。



『サイ?聞いてる?学園に行く前に決めなきゃなの!あ、もしかして体調良くないの?』


この優しい優しい主人の側に執事としていれるのは俺だけだろう。


魔力の相性が良かった。能力の相性も良かった。彼女の魔法で身体を治癒されたことも重なり俺は歪みにくくなった。


完璧に引き寄せられないわけじゃない。

たまに猛烈に激情にかられる時がある


手にいれたいと閉じ込めてしまいたいと殺してしまおうかと。

しかし、それらをすべて捩じ伏せて俺は彼女の側にいる。

幼い彼女とした小さな小さな約束


ただ俺はそれを護るためならなんでもしよう。


でも、この感情に名前をつけるのであればそれは……もう……



辿り着く先を解りながら抗う執事は苦笑する。


困ったお嬢様だ。

目を細めて笑うと笑い返してくる主人に呆れながら今日もサイは執事として世話をするのであった。















ありがとうございました。

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