悪魔はオネェ様?(後編)
拙い物語ですがお暇にどうぞ。
「ふふっ良いわぁ。……貴方………アタシと契約しなさい」
赤い悪魔に囁かれて背筋がひやっとする。
この悪魔と眼があった瞬間にわたしの中に眠る……いや閉じ込めている感情が暴れそうで張り裂けそうで怖い。
悪魔との契約をできるほどヒロインに魔力は無かったでも魔宝石を使っているなら納得だ。
願いはなんだろう?そもそも原作でこんなルートあったんだろうか?
解らない……どうしようと泣き出しそうな私をわたしが押し止める。
″ワタクシの根本であり始まりで有りながら終わりの貴方が無様な態度をとることが許されると思って?″
どんな時でも気高く美しく情熱の赤のように咲くのがアリスなのだと胸を張る。
『お断りするわ。わたし、願いなら自分で叶える主義ですもの』
微笑みを絶やすな隙を見せるな私は今この瞬間アリス・ルビィクロエなのだから。
「……可愛くない。可愛くないわぁ。」
悪魔は不服そうに顔をしかめるとため息をついて笑う。
「でも、アタシが気に入ったのはあなたのその強がりね……そして貪欲な愛への飢え。愛してくれているのに愛に怯えて愛を受け入れないあなたの愚かさ滑稽さ愛しい可愛い馬鹿な子。とっても好きよ?」
ツカツカと近づき頬に黒くて長い爪が滑る。
「あなたがアタシに落ちて堕ちてすがってくるまで待ってあげる…」
だってあなたの願いは…………
呟く言葉に目を見張ると悪魔は笑う。
可愛い子供をあやすように目元にキスをする。
「またね。ご主人サマ?仮契約ってことにしてあげるわ」
『何を勝手なことを…』
「ヒドイわぁ。だって、アタシ…貴方に呼ばれたようなものですもの。」
クスクス笑う悪魔は踊るようにまわって消える。
「またね、愛しいアリス。」
じわじわと毒がまわるように甘い甘い言葉だけが残っていた。
ありがとうございました。