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ばかしあい  作者: うさぎバチ
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狐とラーメンとばかしあい 真相編

 前話の【五条(ごじょう) (さとる)】の心情を書いた話です。


 途中、省いてある所は前話参照になります。


五条(ごじょう) (さとる)】は、スマホの電話に出る。


『もしもし、(さとる)君?』


「はい、そうです」


 掛けてきたのは、店内で電話を描けてきた【サラティ】だった。


『ごめんねぇ、今やっと冷蔵庫を捕まえたから、中身はきっと大丈夫よ』


「……それ、食べれるんですか……?」


『……多分』


「もう、実験もほどほどにしてくださいよ?」


『えぇー?』


「とにかく、無事でよかったです。僕も、もう帰りますので」


『うん、じゃあ私も帰るね。それじゃあ、またあとで』


 それだけ通話をして、スマホの電話が切れる。


 (さとる)はスマホをしまうと、フゥとため息をついた。


 (冷蔵庫が空を飛んでるのを見た時はビックリしたなぁ)



 ――一時間程前の、彼がラーメン屋に行く前。


 本来なら家に帰る途中に、上空を飛行する冷蔵庫と、それを空飛ぶ箒に股がって追いかける女性。


 その女性が(さとる)の保護者であり、【魔女】の【サラティ】だった。


 (魔術の実験は、いいんだけど日用品にやるのはちょっとなぁ……)


 どうやら彼女は、冷蔵庫に魔術を施して、【魔法生物(ゴーレム)】にしようとする。


 しかし、失敗し【冷蔵庫(ゴーレム)】は、暴走して逃走したようだった。


 (たまたま、帰り道で見かけたけど、そのまま帰ったら二度手間だったよ……)


 幸いにも他の人達には見えないように魔術を施していたが、彼には見えていたため、ラーメン屋に向かうことになった。


 その時、偶然にも曲がり角を曲がる、変身前の【孤山(こやま) 美歌(みか)】を目撃していた。


 (あっ、あの方向は……)


 彼女の曲がって行った先に、ラーメン屋があった。


 (孤山(こやま)さんも、ラーメン食べに来たのかな?)


 しかし、(さとる)が曲がり角を曲がったときに、店に入ったのはOL風の女性だった。

 

 (……ちがったかなぁ?)


 女性の後に店に入る。


 (やっぱりいないか……)


 店内を軽く見渡すが、美歌(みか)の姿は見えなかった。


 少し期待をしていた分、残念に思いながら、空いていたカウンター席に座る。


「あっ……」


 隣から、声を掛けられた気がした。


 隣を見ると、先ほどのOL風の女性だった。


「あっ、なんでもないです、失礼しました。」


 女性が謝ると、丁度――


「おまちどぅ!」


 粋な声を出して、店主のおじさんが、隣の席の女性にラーメンを出す。


「わー、どうもー」


 女性は嬉しそうに、割りばしを手に取る。


「……あれ?悟君かい?珍しいねぇ?」


 おじさんが彼に話しかける。


 (……そういえば、ここに来るのも久しぶりだったっけ。)


「ちょっと、トラブルがありまして、冷蔵庫が壊れたんですよ」


「もしかして、またサラティさんが何かをやらかしたのかい?」


 (前に来たときに、姉さんを口説こうとして、おじさん酷い目にあったっけ)


 前に家族で来たときの事を思い出しながら――、


「そんなところです、なのでラーメンひとつ」


「あいよっ!」


 おじさんに注文を頼んだあと――、


 (……あれ、何か変だなぁ……?)


 隣の女性を、おじさんが口説いていないことが気になった。


 (……まぁ、とりあえず姉さんに連絡しておかないと……。)


 連絡の為にスマホを取り出し、メールを打とうとした時、タイミング良くスマホが鳴り出した。


 (あ、姉さんからだ。)


 マナー違反とは思いながらも、丁度いいと思って電話に出る。


『あっ、(さとる)君ー?』


 風を切る音と共に、声が聞こえる。


 (あっ、これ、飛びながら電話してる!?)


 (さとる)は焦った。


 彼女が電話に集中して、危ない飛行をしていると思い、なるべく簡単に話して電話を切った。


 (……ふぅ、騒ぎにならなければいいけど。)


 ふと、隣が此方を気にしているような気がした。


 (……もしかして、この人、記者関連の人だったの?)


 だとしたらマズかった。魔女のサラティは、結構な有名人で、なるべく、騒ぎになるのは避けたがっていた。


 ふと、後ろの方ではたきを降るような音が聞こえて後ろを見ると、女性のおしりの辺りから、狐の尻尾が生えていた。


「……あの、狐のお姉さん?」


 何となく、(さとる)は隣の女性に声を掛ける。


 女性はドキッとして――、


「……あの、なぜ私が狐だと……?」


 焦りながら、聞き返すと彼は――、


「だって、それは……椅子から尻尾が飛び出してますよ?」


 (さとる)が伝えると、彼女は自分の尻尾を一目見て――、


「……あっ。すいません。」


 女性は慌てて、尻尾を見えなくして隠した。


「へい!お待ち!」


「ありがとうございます」


 丁度、悟の前にラーメンが置かれる。


「おっと、お嬢さん店内では尻尾は隠して置いてくれよ?」


「ごめんなさい、ラーメンが美味しくて、つい……」


 女性は照れながら、言葉を返した。


 (……もしかしてこのお姉さん、子供が化けてるのかな?)


 (さとる)はサラティの話を思い出す。


 狐の妖怪は、高校を卒業した後辺りに尻尾が二又に分かれて、歳を重ねる事に三本、四本となる。


 そして、最後には【九尾の狐】になるということを聞かされていた。


(うーん、でも中卒で就職した人もいるし……)


 (さとる)が考えていると、店主のおじさんから――、


「それと、悟君、久しぶりだから餃子、おまけするよ」


「ありがとうございます(ちょっと得したかな)」


 と思いつつ、彼は醤油を探す。隣の女性の所にあった為、声を掛けた。


「あっすいません、そこの醤油 取ってください」


 箸を止められて、女性は少しムッとしている様子ながらも彼に醤油を渡した。


「はい、どうぞ」


 (……あれ?もしかしてこの人に化けているのって……)


「ありがとうございます、【孤山(こやま)】さん」


 醤油差しを渡す女性の手が、ピタリと止まった。


「……誰の事ですか?」


 女性は、ジッと(さとる)を見る。


 (しまった!つい声に出しちゃった!?)


 焦った彼は――、


「あれ、【孤山(こやま) 美歌(みか)】さんでは?」


 (何で、聞き返すんだよ!?)


 自分の言動に、心の中で悪態を付く。


 その後は、彼女に【ばかしあい】を仕掛けられたと思われていたらしく――、


 (……この場から逃げたい……!)


 (さとる)は!一心で思っていた。



 ラーメンの味は覚えていながらも、どう食べたか解らずも、店主のおじさんに話しかけられる。


 そのお陰なのか、彼女から店の外に出るように促されて、支払いを済ませて店を後にする。


 彼女は辺りを見渡して、人がいない事を確認してから――、


「もういいかぁ」


 そう呟くと、彼女の体を煙が包む。煙が晴れると彼女の正体の、


孤山(こやま) 美歌(みか)】が現れた。


「なんで、バレちゃったかなあ?」


 (良かった、孤山(こやま)さんだ。)


 (さとる)は内心、ホッとして――、


「いいの、正体明かしちゃって?」


 悟さとるは、疑問を投げ掛ける。


「だって、他の人に話すつもりなかったでしょ?」


「まぁ、【ばかしあい】をやってみたかっただけだからね。それに正体を隠してラーメン食べてるのを話してもねぇ。」


 只の偶然だったのだが、誤魔化した。


 美歌(みか)は!少し顔が赤くなった。


「だって、ラーメン食べに来てるの、見られたら恥ずかしいもん」


 言ってから、今度はいたずらに笑うと――、


「でも、君の正体には気がついたよ!」


 (なんのことぉ?!)


 (さとる)は、ドキッとした。


「君の正体は、【さとり】ね!」


 美歌(みか)はビシッと、(さとる)に指を向けた。


 (はい!?)


 (さとる)は心の中で、声をあげる。


「電話に出た時の、先読みしたような会話!きっと、心が読める妖怪の【さとり】に違いないわ!」


 彼女は、キメ顔をした。


「……どうでしょうね?」


 (只の人間なんだけどぉ!?)


「ふふ、そういうことにしておく」


 彼は、そんな強烈な妖怪だと思われたらたまったものじゃないと、何とか誤魔化そうと、話を進めるが――、


「んーん、結構楽しかったからいいよ、でも……」


 彼女は、一呼吸おいてから、


「私、初めてだったんだ、だから次はしっかり化けるわ」


「…」


 (言い方ぁ!!)


 (さとる)が、どう答えようか考えていると、彼のスマホが鳴った。


「あっスマホ鳴ってるね……。じゃあ、丁度いいから私、帰るね。それじゃまたね」


「……またね」


 美歌(みか)は手を振って、帰路を歩き出す。


 (さとる)は彼女の後ろ姿を一目見てから、スマホを手に取る。


 ――そして今に至る。


五条(ごじょう) (さとる)】は帰路を歩きながら――、


 (それにしても、孤山(こやま)さん、僕の正体を言いふらさないかなぁ…。)


 彼は人間であるため、【さとり】などの心を読める妖怪だと思われると、


 それを確かめようと、【ばかしあい】を仕掛けてくる人が増えてしまうのである。


 あえて自分のことは、【人間】と正直に答えているものの、偶然や誤解が重なって信じてもらえないことが多いのである。


「この町に住み初めてから、ずいぶんたつけど……」


 彼は足を止めて、夕暮れ空を見上げる。


「静かに暮らすことは!難しいようだよ……」


 今は亡き両親を思い出しながら、物思いにふける。



 ―――続く。

『此方が、(さとる)君がメインとなります』


「ほとんど、偶然と誤解じゃないかぁ」


『それが彼の特性みたいなものです、まぁ始めに書いた時は前話の性格にしようとしましたが』


「でも、この遊びは、脅しに使われないかなぁ?」


『今後、そういう悪人のような登場人物も、出す予定ではあります』



 前話と、ほぼ同じ内容ではありますがいかがだったでしょうか? (此方から読んだ方には申し訳ない)


 では、ここで失礼します。


 最後まで、読んでいただきありがとう。

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