レベルの差
「では、今回のデュエルのルールを説明します。武器は何を使ってもOK。しかし、自分の装備しているものとします。まいったなどの降参を意味する言葉を言わせるか、残りHPが10%になった時点で勝者を決めます。制限時間はありません。そして〜今回の目玉・・・勝った方は、ファナ・エンドレアさん、彼女をパーティに加える権利をもつことができま~す。」
デュエルの審判がルールを言った途端、先程まで黙っていた人たちが、一斉に歓喜を上げ、会場は騒がしくなった。
「それでは、お二方・・・準備はよろしいでしょうか」
「できてるぜ」「当たり前だろぉー」
「それでは準備が出来たので、試合を始めたいと思います。レディー・・・・ファイト」
審判がデュエル開始の合図を出したとたん、いきなりバッカスよりが挑発をしてきた。
「お前にハンデをやるぜぇ。俺は一切武器を使わねぇ。レベル1のお前にはそれで十分だからよぉ」
しかしグランはその挑発を聞き、鞘からぬこうとしていた石の剣から手を離した。さらにバッカスに挑発をし返した。
「あんたが素手で戦うってのなら俺も素手でいい。お前が負けたとき言い訳されたくないからな」
グランは言い終えると、武器を体から外し、戦闘態勢に入った。そして挑発し返されたバッカスは、ブチ切れた。
「あーそうかい。お前がそれでいいんならそうしろよ。負けて後悔するのはお前なんだからな。ならハンデなしの全力で行くぜぇー。我が手に火をともせ・・・格闘術、ファイヤ・ナックル」
バッカスが詠唱を唱え終わると、彼の右手には火か現れた。バッカスの攻撃を考えると、役職が何かはっきりする。バッカスは最初からグランに手加減するつもりなどなかったのだ。
バッカスは腰を低く下ろし、グランに殴りかかっていく。
「くっ」
役職の違いによってステータス補正が変わってくる。そのため戦士のグランは格闘家のバッカスのスピードにはついてこれないと観衆の全員が思っている。だが、グランは役職に就く前から体を動かすのが得意で、バッカスの技を紙一重で全て避けている。しかし、レベル差を考えると、一発攻撃が当たるだけでかなりのHPを失い負けとなってしまう。
「お前結構やんじゃねか。この俺のスピードについてこれるとはな。」
「これくらいかわせて当然だ。それくらいの実力で神童とかいってつけあがってんじゃねーよ!!」
グランはギリギリかわせているのを悟られないように挑発をする。しかし当然ながらバッカスも、まだまだ本気を出していない・・・