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プロローグ
「・・・あと少しで・・・てめ―――
勇者が力尽きる前に魔王に投げかけるはずの言葉は、言い終える前に魔王が放った特大の魔法によってかきけされてしまった。
「グレーイム・メトロローム」
魔王が温かみのない声で呪文を唱えると、魔王の前に巨大な黒いエネルギーができ、勇者めがけて放たれた。
「くそぉぉぉぉぉ!!魔王―――」
勇者の断末魔が魔王城に響き渡った・・・
この勇者が死んだことにより人間界にいる勇者と呼ぶにふさわしい人間が誰一人としていなくなってしまった。