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スペース・ワンダラー  作者: Dysuke
惑星スパトクオ
15/25

TK-0141-4(前編)

 宇宙暦1億2016年4月19日。

 宇宙船コメットは現在惑星スパトクオの宇宙港に停泊していた。


 恒星TK-0141の第4惑星TK-0141-4

 通称:スパトクオ

 大きさ:0.5倍/地球

 公転周期:432.3日

 自転周期:22時間

 人口:1000万人


 所持金:約570万コスク(配達完了報酬も含める)


 【次の依頼の内容】

 報酬額:1万コスク/1コンテナ

 積み荷:食料(海産物)

 積載数:72コンテナ

 届け先:IK-GA84187-7

 距離 :約7光年

 期限 :6日後


 今回の積み荷は海産物だ。

 積載数が72というのは宇宙船コメットの積むことの出来るコンテナの最大積載数である。

 この72個という数は、この数を運んでくださいという指定があった訳ではない。とにかく積めるだけ積んで運んで欲しいという依頼だ。食料品だからきっといくらでも売れるのだろう。


 ちなみに惑星スパトクオの大きさは地球の0.5倍。それに伴い惑星の質量も地球より小さいため、普通であれば地球よりも重力が軽くなってしまう。月の重力は地球の6分の1で、もしジャンプをしたら地球上でジャンプをするよりも6倍も高く飛べてしまうというあれだ。

 しかし星によって重力が変わってしまうと、星から星への移動に制限がかかってしまう場合がある。

 例えば地球から月へ行った場合を考えてみよう。

 月にたどり着いた直後はスパイダーマンみたいにビョンビョンそこらじゅうを跳ねまわることが出来るかもしれない。だが月で何ヶ月も生活を送ってしまうと徐々に月の重力になれ、その人の筋力は衰えてしまう。そしてその筋力が衰えた人が地球に戻った場合、しばらくは通常の生活を送れなくなってしまうのだ。

 つまり地球上の生物は、地球で生きているだけで、地球で生きられるだけの筋トレを毎日しているようなものなのだ。

 その辺について詳しく説明をしている宇○兄弟とかいうアニメ化された漫画があるため、気になる人は読んでみると良いかもしれない。


 この世界では人間が住むことの出来ない惑星を人間の住める状態に改造する”テラフォーミング”というものがある。一つの惑星を改造するのにかかる時間は、一般的には数百年から数千年と言われており、その星の現在の状況により時間が異なる。

 その工程の中に重力制御装置の設置というものがある。これは惑星規模で影響を及ぼす事ができる超巨大な重力制御装置を、その惑星に複数箇所設置するというものだ。これでその惑星の重力を地球と同じにしてしまうのである。当然、維持もメンテナンスもその惑星の人間が、文字通り命をかけて行うことになる。この惑星の重力を無理矢理に地球と同じにしてしまうというという方法はかなりの力技に思われるかもしれないが、実際にやってみたら出来てしまったのだから問題無いだろう。


 業務上の手続きを一通り済ませたシュウトは、宇宙港直通の高速鉄道の駅から電車に乗る。もちろんミルも一緒だ。

 実は今回はこの惑星に到着する前に、観光名所や名物などをあらかじめ船内でいろいろ下調べをしておいたのだ。


 この惑星の特徴はいくつかあるが、その一つに星全体が海になっており陸地が存在しないというものがある。

 その為、宇宙港や人が住む所などは、全て人口の浮島になっているのだ。

 浮島の形は円形で、大きさは直径5km。全てがドーム状の強化ガラスで覆われている。浮島ごとに役割があり、農業の浮島や工業用の浮島、商業用の浮島など様々なものがある。その浮島が何千個もあって、近い浮島同士が高速鉄道でつながっているのだ。


 宇宙船からこの惑星を見た時には、本当に未来的な星だと思ったものだ。

 だが別にこの星の科学技術がそこまで優れているという訳でもない。単にテラフォーミングした際にそうなっただけで、そこに住んでいるのは普通の人間だ。陸地が存在しない惑星は、大体こんな感じになっている。


 シュウトとミルは電車に乗ると、ボックスシートの座席にミルを窓側にして並んで座った。対面にしなかったのは、ミルがシュウトの左腕を掴んでしまったからだ。

 シュウトは隣のボックスシートに座っていたおばあさんと目が合った。おばあさんは和やかな笑みを浮かべている。

 ……ちょっと恥ずかしい。


 ルルルルルルル……

 発射のベルが鳴ると、プシッ……っとドアが閉まる。

 シュウトは軽く興奮していた。実は電車に乗るのは初めてだったからである。シュウトの住んでいた星では、目的地を入力すると全自動で目的地まで運んでくれる車がメインの移動手段だったのだ。

 横を見るとミルも目を輝かせながら辺りをキョロキョロと見渡している。もしかしてミルも初めてなのかもしれない。


 電車は音もなく、フー……っと進みだした。

 この電車はガタンゴトンと線路の上を走るタイプではなく、真空管の中をビャっと進むタイプだ。

 駅は浮島の内部にあったので、今は窓の外は真っ暗で景色は見えない。だがスピードが上がっているのはなんとなくわかった。

 そして……ファっと視界が開ける。

 シュウトは一瞬ここがどこだかわからなかった。

 だが、身を乗り出して窓から上を覗いて理解する。


 ここは水の中だ。遥か上の方で水面から光が差し込みゆらゆらときらめいている。

 キレイだ……。

 隣で一緒に上を見ていたミルも同じ事を思ったのだろう。掴まれた左手にギュッ……っと力が加わる。


 二人はしばらくその景色を見続けていた。



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