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スペース・ワンダラー  作者: Dysuke
プロローグ
1/25

プロローグ(前編)

 みなさんは宇宙に憧れを抱いた事は無いだろうか?

 無限に広がる世界、無数にある星々、未知なる生物との出会い、ワープ航法にテラフォーミング、様々なトラブルに個性豊かなクルー達。

 これから始まる物語は、そういった人類の宇宙への挑戦が始まってから約1億年後の世界の話である。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 本作品は純粋なファンタジーです。

 当然の事ながら登場する星の名前やその位置関係等は全て架空のものであり、宇宙船の仕組みやその他諸々の設定などは作者の妄想の産物に過ぎませんので、ここで得た知識を学校や職場などで自慢されるとヒジョ~に恥ずかしい思いをされる事になると思われます。ご注意ください。(そんな人は居ないと思いますが……)


 その他、誤字脱字、文法の誤りや乱れなどが多々発生すると思われますが、そういった場合は脳内で補完をしながら、心の中で作者に「なんでやねん!」とつっこみを入れていただければ、より楽しんでいただけるものと存じます。


それでは本編をはじめたいと思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 今から6年前の宇宙暦1億2010年。

「うわぁ。父さん!これ宇宙船?」

「あぁそうだよ。うちの会社で使っていたものなんだけど、古くなってしまってね。廃棄処分するっていうから貰ってきたんだよ」

 当時まだ14歳だったシュウト・イングスターの家に、宇宙船がやってきた。中型の貨物船である。

 この宇宙船は、もともとはこの星の政府の軍隊が使用していたものだったが、古くなってしまったために民間企業に払い下げられたものらしい。それが更に古くなって廃棄されるって事は、もう本当に寿命が近いのだろう。父親曰く「100年物だぞぉー」との事。通常7,80年程で廃棄されると言われている宇宙船を、100年も使ってしまったのだ。……大丈夫だろうか。

 だが当時まだ宇宙船の知識に乏しかった彼にはそんな事はわからず、「すっごいねー」と、ただただ感動していた。


 彼の父親は若干42歳という若さで、この惑星系では最王手と言われている運送会社の技術部門のトップの座に上り詰めた、やり手の技術者である。

 運送会社の技術部門とは、つまり会社で使用している宇宙船の改良や修繕などを行う仕事だ。

 そんな彼が宇宙船の廃棄処分を行うと聞いた時に、「もったいない!あの宇宙船は十分に手入れをすれば、まだ10年は使える!捨てるくらいならオレにくれ!!」と社長に直談判をし、見事ゲットしてしまったのが今回の宇宙船である。

 通常、中型の貨物船というものは個人で所有出来る様な物では無いため、欲しいと言ったところで貰える物では無いのだが、今回は社長からの温情により特別に譲り受ける事が許可されたのだ。

 まぁ実際の所は、血相を変えて社長室に飛び込んできた彼にビビって、思わずうなずいてしまっただけ……というものではあったが。

 ちなみに会社が政府から買い取った時の価格は約10億コスクだったという。

コスクとは共通宇宙通貨(Common Space Currency)の略で、この世界で使用されている通貨の事であり、その価値は平たくいってしまえば1コスク1円と考えてほしい。

 とにかく、シュウト・イングスターの家に宇宙船がやってきた。


「よし、シュウト。とりあえず宇宙にいってみるか?」

「うん!行く!」

 シュウトと父親は宇宙船に乗り込むとコックピットへ向かう。父親は操縦席、シュウトは副操縦席に座った。

 父親がメイン動力のスイッチを入れ10秒位すると、今まで赤色に点灯していたランプが緑色に変わる。

 次に重力制御装置のスイッチを入れる。するとフワッと機体が軽く浮き上がった感じがして……あっ、なんかすごくドキドキしてきた。

 彼は父親の方を向くと、父親もシュウトを見返してきて軽く微笑む。

 下部スラスターのレバーを少しだけ引くと、ウゥゥゥゥゥゥゥゥ……と小さな音がして、……1m……2m……と、ゆっくりと機体が上昇していった。

 シュウトは次第に遠ざかる景色を目を丸くしてキョロキョロと眺める。

 そして高度が100mくらいまで上がった時に、父親はメインスラスターのレバーを引いた。


ヴゥィィィィーン……ヴォン!ヴォン!ヴォン!ヴォン!ヴォン!ヴォン!……


 すると軽い振動とかなり大きな音が聞こえてきて、宇宙船は一気に加速する。その速さは効果線が目に見えた様な気がするほどで、眼下の景色は次々と移り変わっていった。重力制御装置のおかげか、変な圧力とかは一切感じない。その景色と宇宙船の機械的な音に、ついにシュウトは感情を爆発させた。

「おぉぉぉー!すげぇー!!」

 目をキラッキラさせながら父親の方を見たが、父親は眉毛を軽く上げるとコックピットを見渡し、少しだけ首をかしげると不穏な事をボソリとつぶやいた。

「う”~ん……やっぱり早く整備しないと危ないかな……」


 父親が操縦桿を軽く引くと、機体の頭が持ち上がり、宇宙船はそのまま宇宙へと駆け上っていく。地上の景色がどんどん小さくなり、気づいた時には昼間のはずなのに辺りが暗くなっていた。

 宇宙空間だ。

 こちらも重力制御装置のおかげで、体が浮き上がったりすることはなかった。

 シュウトは立ち上がりフロントウィンドウにへばりつくようにして外の景色を眺める。足元には自分が住んでいる星が一面に広がり、前を向けば無数の星々が鮮明に輝いていた。彼は息を飲んでその景色を眺め続ける。


 どれくらいその景色を眺めていただろうか。

「シュウト。宇宙はどうだ?」

 不意に父親から声がかかる。

「……父さん。最高だよ」

 シュウトは噛みしめるように言った。

 それを聞いた父親は穏やかな笑みを浮かべながら宇宙船を軽く撫でる。

「そうか。じゃあこの宇宙船は大きくなったらシュウトにあげようかな」

 その言葉に目を見開いたシュウトは父親にこう返した。

「じゃあボクはこの宇宙船にのって宇宙中を旅して回るよ」

 軽くうなずいた父親は、シュウトの背中をポンポンと叩いた。

「じゃあシュウトがなるべく快適に旅が出来るように、整備はしっかりとしないとな!」


 この日から二人は宇宙船の整備、改造に没頭することとなる。



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