世界のカケラ
初めて誰かに語りかけるような口調で書きました。
あくまでも「ひとつの捉え方」として読んでいただけたらと思います。
あるところに、誰かに頼ることがうまくできない人が居ました。
その人の口癖は「大丈夫」でした。
満面の笑顔と元気いっぱいに振る舞う姿を見ているとみんなが安心でした。
さらにその人は自ら進んでいろんなことをやりたがりました。
いつしかたくさんの仲間を率いていろいろなことをするようになりました。
毎日が充実しているように見えました。
その人はどんな問題が起こっても投げ出すよりどうにかしようと動く人でした。
そのため、なにか困ったことがあるとその人を知る人はその人を頼るようになりました。
その人はたちどころに問題を解決することはできませんが、ヒントを見つけたり、人とは違う考え方で切り開いていく人でした。
その人は常に動いていました。
「大丈夫大丈夫」と笑いながら。
回りの人はいつも元気に動くその人を見て、本当に大丈夫なんだと安心しました。
でも、考えてみてください。
人が一人でできることには限りがあります。
同じように、一人の人が弱音を誰にも吐かずにずっと何かを続けられるでしょうか?
どこかで無理が来るのではないでしょうか?
その人も同じでした。
誰にも言えない悩みがありました。
友人や周りの人はもちろん、家族にさえ言えない。そんな悩みがありました。
泣くことも、頼ることも、甘えることもできませんでした。
だって、みんなのイメージを崩してしまうから。
みんなが頼れる場所を無くしてしまうから。
今まで造り上げた「その人」のイメージを今更崩すことはできない。
空っぽの自分を晒すのが恐かったのです。
一人になってしまうことが恐かったのです。
その人は多くの人の中に居ながらもいつも一人でした。
何故か距離を感じてしまうのです。
ただの被害妄想かもしれません。
それでも、便利に利用されていたとしても。
一人よりはましなんだろうなと思っていたのでした。
それでも、いつもどこかで感じる寂しさを堪えて生きていました。
いつしか、その人にとって「無理」「無茶」「無謀」は当然のことになりました。
自分のことは特に省みることはありません。
いつ壊れたってかまわないと思っていたからです。
そんなことを続けるうちにその人はみんなが理想とする「その人」として振る舞うことを覚えました。
相手にとって一番心地良いキャラでいることを習得しました。
自分の気持ちや身体は騙し騙し動かし、この先も続けていくんだと思っていました。
一人にならない、必要とされる存在で在るために。
ある日、そんな重い鎖でがんじ絡めになっているその人に手を差し伸ばす人物が現れました。
その人物も、実は寂しさや辛さを抱えていました。
それでも前を向き、必死に自分の在りかを作っていたのでした。
その人はその人物の手を取りました。
ありったけの勇気と覚悟をもって。
その人とその人物は一人ではなくなりました。
それでも寂しいときや辛いとき、悲しいときがありました。
それでも一人ではないのです。
一緒に笑ったり泣いたり支え合うことのできる人ができたのです。
「助けて」の一言はその人やその人物にはとてもとても重い一言です。
それでもお互いを信じ、覚悟を決めたからこそお互いのために頑張ることができました。
例え離れ離れになっても、また会えると信じ、頑張ることができるのでした。
貴方の人生はどうでしょう。
今幸せですか?
笑えていますか?
素直になれていますか?
助けの手を拒んでしまってはいませんか?
毎日を生きることに必死になることも大切だと思います。
だけど、それでも。
貴方のことを愛し、信じ、手を取るまで待ってくれている人が居ることを忘れないでください。
貴方は決して一人ではないのです。
その手を素直に取った時、貴方の世界はきっと今まで見たこともない煌めきを帯びることでしょう。
その変化をどうか恐れないでください。
拒まないでください。
一歩を踏み出してください。
世の中は決して甘くはありません。
その人やその人物が身を持って知っているように。
世界は誰にも平等に優しく、厳しいのです。
だからこそ、世界は尊く、脆く、輝くのです。
気付く前に逃げ出してしまわないで下さい。
貴方のことを必要とし、大切だと思ってくれている人は貴方が思うよりもたくさん居るのですから。
そして、周りを見渡してみてください。
この人たちのような人が近くに居ませんか?
その人を助けるのは貴方のたった一言です。
「どうしたの?」「手伝おうか?」「一人で抱え込まなくても大丈夫だよ」
この短い一言たちがどれだけ大きな意味を持っていることか。
貴方の少しの勇気で救われる人がいることを忘れないで下さい。
世界がどんな人にも平等に優しく、厳しいように。
貴方の勇気ひとつでこの世界を変えることもできることを忘れないで下さい。
貴方も、貴方の回りの人々も、大きなこの世界の大切なカケラなのですから。
fin.
自己投影している部分もあります。
でも、きっと誰もが思ったことあることではないでしょうか。
何かを考えるきっかけになればと思っています。