第57話 昇化しました(6回目)。
食べて寝て起きました、おはよう、ござい……。ごめん、アンナさん、汚いからちょっと別のところ向いてて。
【天羽様?】
食欲がない、どころか食べたものを全部吐き出した。今いる葉っぱを汚したくないから地面に吐き捨てる。アリとかカマキリとかが寄ってきたらどうしよう、とか思わなくもないけど、本能的な行動は止められない。不思議と気持ち悪くはないし、吐き出したらすっきりしたけど、相変わらず食欲はない。
【条件を満たしました。昇化先に 妄猛毒蝶の蛹 が追加されます】
【鑑定中──、結果を表示します】
甘城 天羽 (アモウ・アマギ) の昇化先候補
夢毒蝶(蛹)
酩毒蝶(蛹)
妄猛毒蝶(蛹)
【検索中──、結果を表示します】
夢毒蝶(蛹)
魔法を操り、毒と幻覚の力を持つ美しいチョウ型の魔物の蛹。食べると不調になり、不味い。
酩毒蝶(蛹)
魔法を操り、毒と感覚異常の力を持つ美しいチョウ型の魔物の蛹。食べると不調になり、不味い。
妄猛毒蝶(蛹)
魔法を操り、強い毒と認識操作の力を持つ美しいチョウ型の魔物の蛹。食べると身体に異常を来し、大変に不味い。
──ああ、ついにその時が来てしまったらしい。
どうしよう、マンドラゴラはともかく、ローヤルゼリーがまだ残ってるんだけどなぁ。
【お喜び申し上げます、天羽様】
アンナさんにとってはそうだよねぇ、ボクも移動手段が手に入ることは嬉しいんだけどさ。
結局のところ、解決したい問題は全くを以て進展しないどころかアンナさんの愛情()を分からされるだけに終わった気がする。
【やはり最初から諦めていれば楽だったかと】
まだ、まだボクは諦めてないし終わってない、ここからが本番だよ。
【諦めない気質は尊敬しますが、この件ばかりは諦めていただいて】
ボクは絶対に諦めないから。……うーん、思考ですら言葉に覇気がない感じがする。
のたのた動き回って良い感じの場所を探す。あんまり頭も働いている感じがしないし元は人間だから、イモムシ的な感覚だけが頼りだ。茎らしきところにしがみついて、今まで出したこともない糸を吐く。体節を曲げて背中の方へ糸を回して身体を固定、……うん、大丈夫かな。
アンナさん、ごめんね、少しの間だけお喋り出来なくなるよ。
【いえ、いえ、羽化した後に睦み逢えることを楽しみにしておます】
うん。ボクも……。……本当に駄目だ、眠い、っていうか意識を保てない。
【蛹の期間の万事は全て私にお任せください、絶対にお守りします】
お願いね、──────────おやすみなさい。
【あ、天羽様、進化先は如何──……。間に合いませんでしたか】
【……勝手ながら上位種への進化で確定させていただきます】
【妄猛毒蝶(蛹)への昇化を開始します】
【転生者・甘城 天羽 が使用中の 結界 及び 付与 魔法の継続を転生者補助担当・アンナが引き継ぎます】
【転生者・甘城 天羽 の蛹化を確認しました】
【──────────解呪を開始します】




