プロローグ
コロン様主宰の菊池祭り参加作品です。
R15です。
ゾンビものですので流血描写、暴力描写、残酷描写があります。
苦手な方はブラウザバックされるか、お気を付けてお読みください。
また、この作品はフィクションであり、実在する人物、地名、組織とは一切関係ありません。
また作中に出て来る医学用語、専門用語のようなものもフィクションですので、実在のそれらとは一切関係ありません。
お時間のあるときに読んで貰えると嬉しいです。
2XXXの2月22日。
「うっ……く、苦しい……」
とある都市のビル街の一角で、紺色のスーツを着た男が突然、胸を押さえながら崩れ落ちるように倒れた。
「大丈夫ですか!? え、と菊池さん? 菊池さん、大丈夫ですか?」
心ある若者が慌てて駆けつけ、倒れた男に駆け寄り、傍に屈んで声を掛ける。
男の首から下げられている社員証のような物に菊池と書かれており、若者は名前を呼びながら軽く身体を揺すった。
「……」
しかし、倒れた男――菊池――からは返答がなかった。
「失神してる? まずい、救急車、救急車……」
返事がないことに焦りながらも若者は懐からスマホを取り出し、救急へと電話を掛ける。
「う、ウゥ、アァァァ、キ、キ、キ……」
しかし、そこで失神していたと思われる菊池が呻き声を上げ始めた。
「あ、もしかして気が付きましたか!? 大丈夫です……か?」
呻き声を上げ始めたことに気付いた若者は菊池に声を掛けて、いったん電話を切る。
「ウ、ウ、ウァァァ! キ……ク……チ……キクチー!!」
呻き声を上げていた菊池が、奇声を上げて突如として若者に襲い掛かり、地面に押し倒して覆い被さっていく。
「ちょ、何するんですか! 辞めて下さ……いてぇぇぇぇぇぇ!」
覆い被さった菊池が、押し返そうとした若者の手首に噛み付きそこから血が滴っていく。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
周りで見ていた観衆の一人が悲鳴を上げ、その中から何人かの男性が掛け寄り、菊池と若者を引き離す。
「何やってるんだよ、辞めろよ! いてぇっ、こいつ噛み付いてきやがった!」
菊池を取り押さえようとした男性のうち、何人かが噛み付かれてしまい、血を流す。
「おい、あんた大丈夫か? 救急車呼ぶか?」
最初に手首を噛まれて、傷口を抑えて蹲っている若者に男性が声を掛ける。
「う、うぅぅぅゥゥゥゥ、キ、キ、キクチー!!」
呻き、奇声を上げて顔を上げた若者の顔を見てその場にいた観衆は凍り付く。
「な、なんで、噛み付いたおっさんと同じ顔になってるんだよ! ひ、来るな、来るなぁ、うぎゃぁぁぁぁぁ!」
そう、若者の顔は噛み付いた菊池と全く同じ顔になっていたのである。
白目を剥いてだらだらと涎を垂らしながら、腰が抜けて尻もちをついた男性にソレは襲い掛かっていった。
「キクチー! キクチー! キクチー!」
「キクーチ! キクーチ! キクーチ!」
「キークチ! キークチ! キークチ!」
観衆が気付いたときには、菊池を取り押さえようとして噛み付かれた男性達もまた菊池と同じ顔になり、白目を剥いてだらだらと涎を垂らし、キクチ、と叫びながら周囲の人間へと襲い掛かっていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
「助けてぇぇぇぇぇ!」
「痛い痛い、噛み付かないでぇ!」
襲われ、噛み付かれ、悲鳴を上げる人々。
そして暫く経てばその人々もまた菊池と同じ顔になり、周辺の人間へと襲い掛かっていく。
どんどんと増えていく菊池に観衆は逃げ惑い、パニックに陥っていった。
これが後に菊池ハザードと呼ばれる、人類を襲った未曽有の大災害の始まりであることを、この時の彼らはまだ知る由もなかった………………
続きは書け次第、上げていきます。
完結は菊池祭り期間が過ぎてしまうと思われますが、宜しくお願いします。