ゆるやかな結び目
季節をいくつか捲り
あなたが遠くなった頃
ふと、訪れた便り
短い挨拶
あなたとわたし
歩んできた
それぞれの道が
ここにまた交わること
それが
偶然でも
気まぐれでも
すこしも構わなくて
ぎゅっと固められた
角砂糖が
熱い紅茶のなかで
ほろほろとほぐれるように
わたし達の時間は溶けだし
道すがら集めた景色を
取り出しては
語りあい
ねぎらいあう
まるで同じ旅をしてきたかのように
行く道の
ひと時の邂逅
並んだ足下に広がる別れに
再会の約束よりも 確かな
優しいさようならを
交わそう
あなたとわたし
互いに帯びた
緩やかな思い出に
いつか 誘われたなら
砂山のトンネルを
掘り進めて
触れた手のように
喜びのなかで
あなたと
また 結びつくだろう