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少女救命

 メカ狼は、森の中を全力で駆け抜ける。誠がその後ろを、離されず追いかける。暗闇の中、木々の間を縫うように駆ける二人。


「ガウ!」

「そろそろなんだな?」


狼の呼びかけに、誠が答える。しばらく走ると狼が、ひと際大きな木の前に立ち止まる。そして、その根元にある洞に向かって吠えている。まるで、呼びかけるような吠え方だ。


「この中か?」


誠が狼に確認すると、大きく頷く。すぐに、入り口の中を確認する。誠は、小さい入り口口に入るため、ためらうことなく衣服を脱いだ。脱いだ衣服が、狼の顔にかぶさる。


「聞こえるか!狼に呼ばれてここまで来た!返事はできるか!」

「……ぃ」


返ってきたか細い返事を聞いた誠は、即座に入り口に体を滑りこませる。中は、幸いにも広く誠の上半身が余裕で入った。しかし、中が暗く見通すことができない。


「クソッ見えない。聞こえるか!聞こえたら何か音を立ててくれ!」


少し待つも、なんの反応もない。暗闇の中、手探りで探る。そこで突如、洞の中が明るくなる。狼が目を光らせ、中を照らしてくれた。


「助かる!」


お礼と共に中を探すと、奥の方にうっすらと少女の輪郭が見える。誠が強引に体を押し込み、その手を掴んだ。ゆっくりと引き寄せ、狼へと引き渡す。誠も洞から出てきて、少女様子を見る。少女の腹部から出血している。流れる血は、傷口を隠すほど多い。顔は青ざめ、体から力が抜けたようにだらりと手足を投げ出している。脱いだ服を、少女の体に巻き付けきつく縛る。少女が痛みに顔を顰める


「狼!すぐに戻るぞ!」

「ガウ!」


二人は、来た時よりも早く風のように戻る。


 徹は、火をボーっと眺めていた。時折飛びそうになる意識を、頬を叩いて引き戻す。去っていった誠たちの姿をおぼろげに思い出す。


「なんか胸熱な物を見た気がするんだよなぁ」


思い出そうとするも、脳裏の映像はピンボケして鮮明にならない。また、意識が闇に引きずられて行く。そこに、一陣の風が吹く。徹は、すぐに立ち上がる。そこには、機械の狼がいた。一瞬目を輝かせるも、その後ろから来た誠が抱える少女をみてすぐに真剣な顔に戻る。


「意識はあるか?」

「無い。出血がひどすぎる。ルナリアを起こしてくれ。あとポーションをありったけ持ってきてくれ」

「分かった」


徹はすぐに動き出し、ルナリアを起こして連れてきた。ルナリアは、狼を見て一瞬警戒するも、横たわる少女を見るとすぐに頭を切り替える。


「ルナリア!血が止まらないんだ!」

「誠、ロープをもってきて。私の荷物に入ってるから。徹は、水で傷口を洗い流して。傷が見えたらそこに直接ポーションをかけ続けて。ありったけでいいわ」

「「おう!」」


二人はそれぞれ行動をはじめ、ルナリアは、少女の横に移動しその体に手をかざす。魔法陣が広がり、少女の体が薄い琥珀色の光に包まれる。心配そうに少女を見守る狼に、ルナリアは額に汗を浮かべながらほほ笑む。


「全力を尽くすわ」

「持ってきたぞ!」


誠がロープの束を持ってくる。


「傷を挟むように縛って。まずは血を止めないと」


誠は、素早く傷の左右を少女の肌に食い込むほどきつく縛り上げる。その横で、徹がひたすらに水で出血を洗い流す。そしてようやく傷口が見えた。何かによって、切り裂かれたような傷が痛々しく刻み込まれている。


「ルナリア!見えたぞ!」

「ポーションかけまくって!」


誠と徹は、傷口にポーションをかけていく。傷口が徐々に、ふさがっていった。


「魔法で彼女の造血を促し続ける。二人は、祈ってて」

「「おうよ!着装!」」


二人の姿が光に包まれ、荘厳な礼服で現れる。二人は合掌し、少女へと祈りをささげる。すると少女の体を包む光が、一層強くなった。狼の心配そうな声を鳴らす。


「「この子は俺たちが全力尽くす!」」


合掌する手にさらに力を籠める。月は、中天でランランと輝きその場を照らしだした。


最後まで読んでいただきありがとうございます!!

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