襲撃者の正体
誠と赤い瞳の視線が交わる。焚火の木が、乾いてパチッ弾けた。振り下ろされた巨大な腕を、誠は片腕で受け止める。ズンという音が響いた。
「火の番なんだ。さすがに消させるわけにはいかないな」
「グゥゥゥ」
低い唸り声と共に、焚火が襲撃者の正体を照らす。そこにはバスのように大きな狼がいた。
「獣避けは、焚いてたと思うんだがな」
誠は、首をかしげながら敵を観察する。見た目は狼。しかし、どこか違和感があった。
「とりあえず、つぶれてくれ」
誠の言葉と同時に、誠の体がかすかに光る。すると、狼は地面に勢いよく突っ伏した。まるで崩れ落ちたような形で、地面にへばりついている。体が、ギシギシと音を立てている。
「ん?」
ここで誠が、何かに気づく。
「お前本当に狼か?獣の臭いが全くしないぞ?」
誠が、狼にかけた魔法を解く。起き上がろうとする狼に、素早くまたがった。そして、狼の体をまさぐり
始める。
「グオ!?」
「おいおいおいお前まさか!」
誠が興奮したように鼻息を荒くしている。はたから見ると変態の様相だ。
「お前マジか!マジならテンション上がりマクリングだな!」
必死に暴れる狼の毛皮を思いっきり引っ張る。ブチブチという引きちぎれる音と共に、テーブルクロスのように狼の毛皮が剥がれ取れる。その中から現れたのは、真っ赤に血肉でも、堅牢な白い骨でもなかった。無骨な金属による骨格が、鈍く光っている。中心部には赤く輝く意思が組み込まれている。
「お前!ZO●●Sじゃないか!」
その姿が、誠の少年時代に見ていたメカ生体と重なる。誠は、童心に返ってはしゃいでいる。
「ガァ!」
狼は、いい加減にしろと言わんばかりに体を震わせた。誠は、振り落とされるもしっかりと着地する。
「コックピットは無いっぽいな。乗れたらお前は俺の相棒だったのに……」
誠は、ガッカリと肩を落とす。狼は、おびえたように体を震わせた。
「去るなら追わん。来るなら潰す。どうする?」
狼は、地面に伏せた。そして、爪で器用に地面をひっかき始めた。
「なんだ?」
誠が地面に注目していると、何を書いているのかが分かった。
『タスケ モトム』
ルナリアに習った文字で、そう書かれていた。誠は、それを見ると同時に徹を叩き起こした。
「火の番変わってくれ。俺はこいつといってくる」
「うぃー……」
徹は眠気眼をこすりながら、半分眠った頭で返事する。
「案内頼むぞ」
誠の言葉にうなずいた狼が、颯爽と走り出す。その後をぴったりとついて行く。二つの影は夜の闇へと消えていった。
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