目覚め
空が明るみ、小鳥が枝から飛び立った。アサヒが病室に朝日が差し込んでくる。椅子で寝こけているルナリアの顔が、照らされる。
「ぅん?」
目をこすりながら、ルナリアが目を開ける。そこには、変わらず眠り続ける誠と徹の姿あった。
「まだ起きないか……」
そう言って、廊下へ出る。まだ薄暗い廊下を、目をこすりながら出ていく。日が登り始め、里の住人の生活音がワイワイと響いてきた。
「だからごめんって」
「ルナリアさんも過労で倒れてるんですからね!勝手に部屋抜け出して!」
ルナリアは、診療所の職員に責められながら部屋へと戻ってきた。
「部屋に戻ってください!」
「もうちょっとだけだから……お願いよ」
縋るルナリアに、職員が強制的に部屋から追い出そうとした。その瞬間、徹と誠が勢いよく起き上がった。
「ここは……里か。なんかお前とベッド近くね?」
「ん?ルナリアとアリシアさんじゃないか。おはよう」
「おぉ、おはよう」
起き上がった拍子に掛け布団がめくれ上がり、鍛え上げられた上半身が日に照らされ神々しい。片手をあげ、あっけらかんと挨拶する二人。アリシアは先に我に返り、医師を呼びに部屋を出た。ルナリアは、駆けよって二人を抱きしめる。
「おかえりなさい」
涙のたまった瞳を二人に押し付けながら、抱きしめている腕にさらに力を籠めた。
「「ただいま」」
二人は屈託の無い笑顔でされるがまま抱きしめられる。三人を、窓から差す陽光が優しく包んでいた。
一週間後、二人は未だベッドの上にいた。
「暇だな」
「ほんとにな」
二人は、いまだ腕と足が欠損しているたベッドのの上から動けなかった。
「両腕無いのが本当に不便だな。飯も一人で食えない」
「足無いのも不便だぞ?トイレ一人でいけん」
「あ~それきついな」
二人は、隣り合ったベッドでただただ天井を見つめている。
「頭おかしくなりそうだ」
「俺につかまって抜け出すか?」
誠が、起き上がろうとするとジャランという音がする。
「ばか野郎。それやったから俺たち、今これなんだろ」
そういって。徹は、自分の体を見る。体が、鎖でベッドに縛り付けられている。
「治療と言う名の監禁だよな」
誠は、かろうじて動く首を起こして部屋を見渡す。無機質な部屋の入口を見ると、重厚な鉄の扉が鎮座していた。
「七中の脱獄王とは俺の事」
首しか動かないにも関わらず、キメ顔でのたまう誠。
「また繰り返す気か脱獄王。ルナリアに射ぬかれんのやだぞ俺」
「そうだよな。まさかお前が、吸盤付きの矢で一本釣りされるとは思わなかったよな」
「お前、俺の事見捨てたの忘れてないからな」
「必要な犠牲だったよ」
「その後、普通につかまってたけどな」
「もうルナリアに逆らえねぇよ」
脱走した時、追いかけてきたルナリアの気迫を思い出し二人は身震いする。
「誰が?なんだって?」
いつの間にか入ってきたルナリアが、二人をジト目で睨む。
「「なんでもありません!!」」
「ふーん……まぁいいけど」
ルナリアがベッドわきの椅子に腰を下ろす。
「解呪ってまだかかりそう?」
二人の欠損部位を見つめながら、ルナリアは心配そうに訊く。
「そろそろのはずなんだけどな……」
誠呟くと、二人の体が光を放ち始めた。
「うお!なんだこれ!」
「もしかして、これが解呪か!?」
誠と徹は、自分の体の蓋が開くような感覚を覚える。
「ルナリア、徹をこっちに!」
「分かったわ!」
ルナリアは、誠から受けた指示通り、徹の鎖を外し誠のベッドに放り投げた。徹が誠の肩に手を触れた瞬間。二人から放たれている光の光度が増す。ルナリアは、思わず目をつむった。さらに光が増し、部屋中に広がる。
「おおー!」
徹の歓喜の声と共に、光が収まっていく。ルナリアが、目を開ける。
「「生えたー!!」」
そこには、ベッドの上で立ち上がり、ガッツポーズする二人がいた。
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