戻ってくる日常
木漏れ日の下、子供たちが広場へと駆けていく。ルナリアはその様子を微笑ましく見送った後、一つの建物に入る。中には、白衣に身を包むエルフたち。彼らはルナリアを見ると、笑顔を浮かべ一室へ誘導する。一つの部屋の前まで来ると、うめき声のような、押し殺した声が二つ、リズムを刻むように定期的に聞こえてくる。思わず額を抑えるルナリアに、白衣の男は苦笑しながら礼をしてその場から立ち去っていく。ルナリアが扉を開ける。
「「フッフッフッフッ」」
目の前には、見事にシンクロして腕立て伏せをする二人。
「何してんのよ?」
「おぉルナリアか」
「何って」
「「筋トレ」」
二人は立ち上がり、汗をぬぐう。滴る汗が朝日に照らされ煌めいている。
「『筋トレ』じゃないわよ!あんたたち数日前まで、両腕ボロボロだったんだから!安静にしてなさいよ!」
戦闘により、ボロボロというより、再起不能状態になっていた二人の腕は、エルフの治癒魔法と高い医療技術により、巻いた包帯の下に傷痕はあるものの腕立てできるほどには回復していた。
「医師は何も言わなかったぞ?」
「言えなかったのよ!!あんたたちが元気に腕立てなんて始めるから!!本来ならもっと時間かかるのに、彼らはどうなってるんだって、質問攻めにされたんだから!」
「それはすまなかったな。だが、直りが早いのは、エルフの治癒魔法と高い医療技術の賜物だろう」
「あぁ。正直腕は捨ててたからな。サイボーグ化して、どんな機能つけるかまで考えてたんだがな」
悪びれない二人に、ルナリアが肩を震わせながら叫ぶ。
「安静に!しろ!」
渋々二人が体を拭いて、ベッドへ戻る。
「今日はキッド君も後からくるし、ガルニさんとリアベルさんもお見舞いに来てくれるんだから、大人しくしててよ」
「そうか、そろそろか」
「騎士団が王都へ帰るんだよな?」
二人が窓の外へ視線を向ける。風の音に乗って子供たちの笑い声が聞こえる。空は青く澄んでいた。
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