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#22 極夜の森で素材集め

 魔王城の南西に位置する、漆黒の葉を持つ木が密集する森。ここは昼間であっても日の光が届かないほど暗いことから、一日中太陽が昇らない現象になぞらえて極夜の森と呼ばれている。

 ガルベナード、マリナ、そしてベルクはこの森で塗料の原料や材木を集めていた。


「ふんッ! やあッ!」


 ベルクは慣れた手つきで斧を振るい、黒々とした木々を切り倒していく。

 極夜の森の木々には時折ダークトレントという魔物が混じっており、伐採の際には間違ってダークトレントを切ったり、倒木を直撃させたりしないように注意しなければならない。周囲が暗いこともあって、この魔物と普通の木々とを見分けるのは素人には難しいのだが、ベルクはダークトレントの配置もわかっているのかスムーズに避けながら作業をしている。



 一方のガルベナードは塗料の原料となる樹液や、染め物に使う草を集めていた。こちらはこちらで草木を調べていると小動物や昆虫を模した魔物が飛び出してくることがあるので、やはり何の気なしに採集していると手痛い攻撃を食らってしまう。


「魔王様、私にできることはありますか?」

「マリナにはセイダン草の茎を束ねておいてもらおう。それが終わったらカゴの中に詰めておいてくれ」

「わかりました」


 そして魔族領でとれる素材の知識が乏しいマリナも、ガルベナードからの指示をこなすことで役に立っていた。ガルベナードも当初は荷物持ちくらいの役割しか期待していなかったが、彼女の機転と勤勉さは彼にとって嬉しい誤算だった。




「さて、そろそろ腹ごしらえと参りましょう」

「そうだな。この森はずっと暗いから時間の感覚も麻痺してくるが、それでも腹がすくことは避けられない」


 素材収集を始めてしばらく経った頃、ベルクが上司に提案する。ガルベナードも当たり障りのない言葉を返すが、


(飯の時間にするのはいいんだが、いかんせんベルクの奴が作る飯は俺の理解が及ばないような物ばっかりだからなぁ……かといって俺はその辺の食用になるやつを適当に焼くぐらいしかできないし)


 といったように、内心ではベルクの作る料理に不安を感じていた。


「マリナ、一旦休憩だ。飯にするぞ」

「食事は拙者が用意いたしました。折角ですので皆で揃って食べるとしましょう」


 ベルクはそう言い、マリナをテーブルへと案内する。切り株を利用したテーブルには、野菜スティックとカロリーバーが入った木製の皿が三人分並んでいた。カロリーバーなどというこの世界で流通していないものをどうやって調達したかは謎だが。


(やっぱりいつものやつじゃねぇか……! ベルクの作る飯だから嫌な予感はしていたが)


 テーブル上に出された食材を見て、ガルベナードは両手を顔に当てて絶望した。次代の魔王となるべく幼少期からテーブルマナーを教え込まれてきた彼にとって、このような食材はどうにも受け入れ難かった。しかし今更別の食材を探す余裕もなく、


「……いただきます」


 と、仕方なく野菜スティックとカロリーバーを口にするのだった。




「……ごちそうさまでした」

「うむ、やはり誰かと食事の時間を共にするというのは、気分が良いものですなあ……しかしマリナ殿は眠っていらっしゃるのですが、具合でも悪いのでしょうかな?」


 作業の合間の栄養補給を済ませた魔王一行。ベルクが携帯用のボトルに入った飲料(プロテイン?)を飲みながら辺りを見渡すと、横になって眠ってしまっているマリナの姿があった。


「マリナが寝てる理由は俺も知らん。人間の間じゃ食べてすぐ寝ると牛になるって言われてるらしいが……ってまさかお前、滋養強壮にいいからってさっきの飯にネプリの実を入れてないだろうな!? あれは魔族にとっては無害だが、人間には催眠効果のある成分が入ってるぞ」


 マリナが眠ってしまったことに何か心当たりを見つけたのか、ガルベナードはベルクに詰め寄り問いただす。


「そう言われましても、人間のマリナ殿と食事を共にすることは拙者も想定外でしたゆえ、有り物で済ませる結果となった次第でございます」

「まあ想定外なのは仕方ないんだが――どうやら人間以外の招かれざる客も来ちまったみたいだな」


 言い訳をするベルクに対し、ガルベナードがこみ上げる苛立ちを抑えながら言葉を返す。運の悪いことに、一行は匂いを嗅ぎつけてきた魔物によって囲まれてしまっていた。やってきたのはナイトグリズリーが四匹――夜の闇に紛れるような漆黒の体毛と、プレートアーマーの如く硬化した皮膚を持つ、極夜の森の支配者とも呼ばれる魔物だった。

読んで下さり有難うございます。

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