温泉に入りますか? ▶︎はい!!!!
ジャンル間違って登録していた事に気づく…orz
「明日に備えて眠ろう」
ゴルーダさんの言葉に一同は頷いて部屋を出て行った。
「おやすみ、リンディー。困った事があったらすぐ言ってくれ。俺に言いづらければ、同性であるシルキーやアリーシャを頼ってくれ」
「あ、ハイ」
何から何まで本当に面倒見がいいなぁ。逞しい背中を見送る。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
モクレンさんも部屋へ戻っていく。
シルキーさんとアリーシャさんはまだそこにいる。何かあるのかな?
「よし、風呂だ!」
「温泉よ、温泉!」
両腕は彼女らに拘束…組みつかれ連行された。
かぽーん なーんて言葉が似合いそうな露天風呂だ。
ケモハンにもあったなぁ、拠点に温泉があるシリーズ。
でもその村とは違うのよな。
そして貸切にしてくれたそうだ…黒髪のせいだよね、ごめんなさい。
仁王立ちでタオルを背中にかけて、ゴシゴシあらうアリーシャさん、豪快。
もこもこの泡を作ってやさしく洗うシルキーさん。
私も、もこもこ泡派だ。
「なんだよ、リン。ガッシガシ洗った方が気持ちいいだろー?」
「いえ、肌を擦りすぎると、皮膚が弱くなりそうなので…」
昔は硬めのタオルで洗っていて、汗をたくさんかいた日にゴッシゴシ洗ったら、背中が擦り切れていたようで、翌日のお日様ダメージが高かった。勿論服は着ているよ、でも夏は薄着なんだ!
怪我した箇所は、特に気をつけないと、いけないみたいなんだ。
体と髪を洗ったら温泉につかる。
あー…温泉なんて久しく行ってなかったなぁ。外に出るのが億劫だし、電車通勤で車を持っていなかったから、でかけるとしたら電車かバスだったもんなぁ。
なら家にいる事を選んじゃうよね!
満点の星空あふれる夜に、温泉を堪能とか初めてだ! 気分が上がる。
「やっと笑顔になってくれたわぁ」
シルキーさんがニッコリ笑った。
「ホントだな、まぁ無理もないだろうけど…だけどよかった!」
アリーシャさんも心配してくれていたようだ。
年下の子(でも色っぽい)に心配掛けるのも申し訳ないなぁ。
「それにしても、ホントに27で、あのゴリと同い年ぃ?」
疑うのはわかるよ、ゴルーダさんは27歳ながら、渋みもあるもの。あと、西洋系の彫りの深い顔立ちだもん。どこかの映画で平たい一族とか呼ばれる日本人だと、幼く見えるんだろうなぁ、ネットニュースとかテレビで外国行ったら未成年扱いされた、とか見たもんよ。
「はい、紛う事なき27歳です」
「まぁ、いいじゃんか! リンはまだこっちに来たばかりなんだしこっちの27歳と比べちゃいけないって!」
「それもそうよねぇ」
「成人したばかりのまだ子供、ってゴリが言ってたからビックリしちゃった」
まぁ、たしかに日本人でも成人したての人は、私の年齢から比べると若い子って感じがするし、成人イコール大人ってならないもんなぁ。
「まぁ、王都に行けば何とかなるだろ!」
カラカラとアリーシャさんは笑う。
「わざと歪みを持たせてるわけじゃない、双方とばっちりなのに、優しい国ですね」
「双方とばっちり…? 貴女は完全な被害者だし、歪みを直せないこの世界が悪いのに、そんな事言えちゃうなんて優しいのねぇ! リンちゃんいい子すぎっ!!」
シルキーさんが抱きついてくる。お湯と、胸部についてる大福が顔に当たる。女なのにラッキースケベをゲットした。が、口は水に浸かり、鼻は大福に埋もれていて息ができん!
「リンが沈んでるぞ!」
アリーシャさんが引き剥がしてくれた。助かった…。
ズン――
地鳴りのような音が鳴る。少し揺れる。
温泉町なら地震もあるのかな、と思ったらアリーシャさんは私を脇腹に抱えて出口…脱衣所に向かって走り出す。
シルキーさんも風呂からザバリと上がって出口へ。
脱衣所で着替えを渡されて、急いで着替える。
するとまたアリーシャさんに抱えられて、隣接する宿まで走る。部屋に入り下ろされて、ちょっと狩に行ってくるから留守番してろ、寝ててもいい。と言われ、ひとり残された。
町の方も騒がしくなっている。私は言われた通り留守番しか出来ないが、みんなが戻ってくるのを待っていた。
――が、寝落ちした。
翌朝の日が昇りかけてる頃に、声をかけられて起きた。
みんなが目の前にいた。
「リン、ベッドで寝てなきゃダメだろ?」
アリーシャさんが呆れたように言う。
「ふぇ? ……あっ! 寝落ちしちゃった?!!」
「待っててくれたの? ふふ、ありがとう」
シルキーさんが撫でる。あの、私27歳…。
「あ、え、えと、おかえりなさい」
「「「「ただいま」」」」
よく見るとみんな傷や泥で汚れている。
「まだ、朝まで時間あるから寝ているといい。俺たちは汚れを落としてくる」
「あ、はい」
ゴルーダさんがそう言うと、風呂に向かい出す。みんなを見送ったあと再び睡魔に負けた。
負け切る前にベッドへ向かったから、きっと私の勝ちだ…! 何の勝負かはわからないけど!