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ダンスジャンル ▶︎ヲタ芸


九石(さざらし)、ヲタ芸やってくれよ、久々に見たい」

「半年近くやってないから、キレ悪くなってそう」

「ハンターで鍛えてるんだから、いけるだろ」


 サイリウムったら、それっきゃないでしょ! って気分になるよね!

 ゴルーダさん、シルキーさん、モクレンさんは、首を傾げて私たちのやりとりを見ている。

 部屋の明かりを少し落として、サイリウム双棍をみやすくする。


 私は手拍子を始める。煽りではなく、音楽がないのでリズム取りのためだ。

 シルキーさんはわかっていないが、手拍子を一緒に始めてくれた。


 そして、踊り出す。

 筋力がついた分、キレッキレの動きだ。


 ゴルーダさんとモクレンさんが、目が落ちるんじゃ? というくらい目を見開いている。


「きゃー! すごいっ! ザラこんな特技あったのねぇ!」


 シルキーさん、大喜びだ。

 ザラとは、サザラシのことだ。間の二文字を取って呼ばれているあだ名。

 一通り、終わって九石(さざらし)はサイリウムを静かにおろした。


 私とシルキーさんは拍手いっぱい。ゴルーダさんとモクレンさん、まだ固まっている。


「いやぁ、久々に見たけど、キレッキレじゃん!」


 九石(さざらし)は、イケメンなので何をやっても絵になる。

 ドルヲタではなく、職場の宴会芸用に習得したらしい。コミュ王の努力すごいな!


 ヲタ芸としての認知はここにないので、光る棒でキレッキレに踊っただけだ。


「案外、いけるもんだな」

「今、アイドル来てるみたいだし、やってくれば?」

「やだよ、推しいねぇし」


 モクレンさんが私をつついて、訊ねる。


「いまの、何?」

「あれは、アイドルに贈る、ファンからの派手な合いの手みたいなもんだよ」


 雑な説明だが、これがきっとしっくりくる説明のはず。ふたりとも、なんとなく、納得している。


「リンディーのいた世界では、アイドルのファンになるのも苦労するものなのか…」


 ゴルーダさん、超誤解まっしぐら!


「熱狂的なファンがやるものだよ」


 九石(さざらし)は誤解がないように伝える。


「今の踊りをやる人はポジション的に言うと…ギルドの受付嬢のリリアンさん、ファンクラブあるじゃん? そのファンメンバーがやる感じ。ファンクラブに入ってない人でもファンはいるでしょ?」


 受付嬢が、受付をしているのをヲタ芸で応援。いやだ。


「異文化はすごいな…」


 真面目な男だ。ゴルーダさん。もっと軽く考えていいと思う。


「たっだいまー! 面接希望者連れてきたぞー!」


 アリーシャさん、元気に帰宅です。九石(さざらし)はゴルーダさんと面接を始める。


「リンディー、お買い物行こうニャ」


 夕方になっていたので、もう外に出れる。

 そんな時間によく、ルルルフは一緒に買い物に行きたがる。かわいい。


 シルキーさんが、ルルルフは緊急性のないお買い物を後回しにして、私を散歩に連れ出すようにしている、と言っていた。運動不足を気遣ってくれる、ルルルフ。ありがたい。


「僕も行く」


 モクレンさんが珍しくついてくる。


「うん? 何か買い忘れ?」

「アイドルのファンが、いっぱい街にいるから、用心棒でモクレン連れて行くといいわぁ」


 シルキーさんが、モクレンさんがついてくる意味を教えてくれる。


「はぁい、いってきまーす」

「いってくるニャ」


 落ち人で、国が把握している人には、腕輪が渡される。

 外出時はそれをつけていれば、保護済み落ち人だと証明してるので、王城に連れて行かれる事はない。

 あの、やる気のなさそうな王様には、もう会わなくていい。


「この腕輪、ビミョーにダサいんだよね」

「わかる」

「もうちょっと、センスよくして欲しいわ。ハッキリ言って、つけたくないもん」

「だよね」


 大人が女児向けアニメの変身グッズを、身につける情景を想像してほしい。

 一部は受け入れる強者もいるが、大半は受けつけない。年齢に合わないデザインのアクセサリーだ。そんなもん、つけたくないのだ。


 九石(さざらし)は、そのくっっっそダサい変身グッズみたいなのをつけたくないから、アルコールで髪を脱色した。

 私もやろうかなぁ…


 買い物が終わると、私はルルルフを抱っこして帰る。これがお散歩コースの定番だ。

 実家にいたメインクーンのぽてとくんに比べたら、ルルルフは軽い。


「ただいまー」

「ただいま」

「ただいまニャ」


チームハウスに帰ってきた。ドアを開けると、不機嫌全開の残りのメンバーがいた。

 なんか、ちょっと怪我してる…どうした。


「あぁ、おかえり」


 ゴルーダさんが、いつもの穏やかなイケボを返してくれる。


「なにがあったの?」

「聞いてくれよ、リンー!!」


 アリーシャさんが抱きついてくる。

 挟まれたくないルルルフはぴょいっと飛び降りた。そして私は大福(比喩)に潰される。


「チームに入りたいってやつ、またズル目的のやつで断ったら、暴れ出してさぁ」

「え、それで怪我したの?! 大丈夫?」

「こんなもん、怪我のうちに入らないから、大丈夫! リンが抱き返してくれりゃ治る!」


 んなわけ、ねぇだろ! と言いたいが、怪我人なので優しくしようと、ハグを返しておく。


「あーっ! あたしもー!」


 シルキーさんも飛びついてくる。アリーシャさんごと私を抱きしめる。苦しい。


「乱暴な人もいるんだね」


 大福(比喩)から逃れて、アリーシャさんとシルキーさんを撫でておく。


「しばらくは、面接もやめておくか」


 ため息混じりにゴルーダさんは、そう言った。リーダーの意見に同意します!

生ヲタ芸を見せてもらったけど、キレッキレですごかった

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― 新着の感想 ―
それ、断られたからって暴れて、どうにかなるもんでもないだろうに…………。 まさか、俺は強いぞアピール? むしろ、それがウワサにでもなれば、色んなギルドで面接前から断られる様になるよな。
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