仲間に入れますか? ▶︎いいえ
それから、さらに3ヶ月が過ぎた。
落ち人の報告をしたが、既にハンターの九石は国に取られることはなかった。
あいつ、文字を読むの苦手なことにして、ハンターギルドの職員に読んでもらったりして、何気に交流深めていた。
そんな感じで、文字の苦手なハンターとして、ギルドからも国に報告がいったようで、国の事務仕事要員になる事はなかった。
九石はまだ、ハンターをやっている。チームの人数が増えていないのだ。
ゴルーダさんのチームはトップクラスなので、その恩恵にあやかろうと言う、ハイエナ連中ばかりなのだ。
確かに、ゲームの時は、みんなでクエスト手伝ったりしたよ。装備整ってなくて、倒せないっていうのあったから。持ちつ持たれつってやつだね。
だけどな、ここのチームに入りたがるのは、向上心のない奴らが多くて多くて、お互い様にならないのだ。
うちのチームは、クエスト報酬の25%(更に稼ぐようになったので、チームのプール金アップした)が、チームの運営資金だ。
家の管理費や、共同アイテム、共同装備、食費、私やカーチェの給料がここから出ている。
残りの75%を、クエストに行ったメンバーで、同額分配なのだ。
誰かの欲しい素材集めの手伝いであろうとも、同額分配なのだ。
九石は寄生しているみたいだと、嫌がったけど、その分メキメキと弓の腕をあげた。
だが、楽ができるなら、全力でのっかる奴もいる。
そんな奴らに、うちのチームは狙われるのだ。他人を見る目があるゴルーダさん、九石がそんな奴らの加入を防いでいる。
「チーム人数多ければ、税金軽くなる恩恵もあるけど、寄生目的のやつばっかでダメだ」
加入希望者との面接を終えた九石が、ふーっと息を吐く。
今日もハンターギルドを通して、お祈りのお手紙を送る。
「もう、全員面接をするなよ! コピー機ないから、お祈りのお手紙、私が全部手書きしてるんだからな?!」
九石へ苦情を申し立てる。
その場で断っているけど、ギルドに手紙を検めてもらい、お祈りの手紙を送る事で証拠を残す。
チームというのは、新人の育成を行うところもある。
うちも手が空いたらやろうか、と話をしているが、手が空いたら、高額なクエストを受ける連中ばかりなのだ。
「とは言ってもよぉ、原石いたらって思うじゃん?」
「お祈りの手紙で、腱鞘炎になるかと思うくらいだよ! そんなにボコボコ面接をしないでくれ!」
苦情を言ってもどこ吹く風。
こんな奴、職場にいたなぁ、片っ端から面接して落として…って、ソレ、こいつだった。こいつが面接して採用する人はアタリしかいなかったから、人事部へヘルプに行く事あったもんなぁ。
「もどったぞ」
「お、おかえり」
ゴルーダさんが帰ってくる。
「あれ? シルキーは?」
ふたりでクエストに行ったのに、戻ってきたのはゴルーダさんだけ。九石が不思議に思って訊ねる。
「あぁ、新しい装備が出たから、鍛冶服飾ギルドに寄ってるぞ」
「本日の業務、終了しますっ!!!」
また、可愛い服を押しつけられる気がしたので、私は業務終了宣言だ。
屋根裏部屋に逃げて、鍵を掛けておかなきゃ!
「ざんねんでした」
モクレンさんの声と共に、肩に重みがかかる。
「何が?」
思いっきり顔がひきつってるよ、私!
モクレンさんが、装備一式を私に押し付ける。観念して、広げて見てみると、九石が笑い出した。
私の目は死んだ。
「ひゃっははっ、ははははははははははっ!!」
「ないわー、ないわー」
広げた服は、48人前後いるユニットの衣装みたいだった。制服っぽいけど、アイドルっぽい、あんなやつ。
アイドルはこの世界にもいる。
テレビやネットがないので、巡業という形だが、コンサートをしているそうだ。そのアイドルとハンターギルドのコラボ衣装らしい。
性能は、ちょっとだけ運が良くなるかもしれない、だそう。記念衣装みたいなものだ。
リアルでコラボすんのかよ!!!
それが、何で私に回ってくるんだよ!!!
「リンディー」
「ん? なに?」
真面目な顔をしたゴルーダさん。
「それを制服にするならば、給料2割上げるぞ?」
「ひゃははは、はひ、ゴルーダ、マジこいつの扱い、わかってる、ひひひひひひっ!!!」
九石はまだ笑っている。
「制服にします」
お金は大事。制服着るだけで、お給金アップなら、着るしかねぇ!
「ひゃははははははっ!!!」
腹を抱えて笑う九石だが、こんなもん何日か着てれば見慣れるんだよ、きっと!
「ただいまぁ」
シルキーさんが帰ってきた。
「はぁい、ルルルフ。リンちゃんとお揃いのやつよぉ」
カーチェ用の装備を作りに行っていたようだ。
「ニャっ?! ルルルフ貰ってもいいのかニャ?!」
「もちろんよぉ」
「ありがとうニャ、ありがとうニャ」
ハウスキーパーのカーチェ、ルルルフが貰った服に頬擦りしてる。かわいい
「ん? まさかっ…!」
お給金アップにも食い付かなかった場合を想定して、ルルルフとのお揃いまで、準備してきたのか?!
くっ、この人たち、どんどん私の扱いが巧くなっている…!
「よかったわねぇ、お・そ・ろ・い」
「嬉しいニャ! 嬉しいニャ!」
はぁあぁ、かぁあぁわえぇえぇえ! ルルルフって書いたうちわ持って、振りたい。
「あ、そういや武器はあるの?」
コラボ装備の時は、1、2種だけ武器がコラボされていたので、気になって聞いてみた。
「これよぉ」
シルキーさんが渡してきたものは、分類としては双棍だ。
「これ…」
「サイリウム…」
電池もない世界だが、なぜか光っている。
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残すところあと3話となりました。




