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外に出ますか? ▶︎いいえ


『なぁ、オフミほんとに行かねーの? 相変わらずwww』


 家にいる時の狩ゲーム中は、グループメンバーと遊ぶ時、通話アプリを使って会話してるのだ。

 なので世間話も飛び交っている。何気にこういう会話は好きだ。


『マジっすかー? オフミ楽しっすよ! っつか、オフミのお陰でグループに入れて貰えたの、オレっすもんね!』

「行かないよー」


 オフラインミーティングという名の、狩イベントにメンバーが誘ってくれるが、私は行くと返事ができない。

 確約できないのだ。


『えー、会議室で遊んでくれたじゃないっすか、あんなノリっすよ』

『あー、こいつ顔合わせが嫌なんじゃなくて、外に出るのが体質的にしんどいんだよ』

『ひひっ、前世はドラキュラってかwww』

「うるせっ! 紫外線アレルギーになってみろ、ドラキュラの気持ちがわかるから」

『え、そんなアレルギーあるんすか?!』


 そう、私は紫外線アレルギーで外に出たくないのだ。

 生きる為に仕方なく働く。

 生活費の為に外に出るしかないが、日焼け止めは年中塗らないといけないし、日傘も年中…雨の日以外さしている。


 テレビでやっていたような、宇宙服を着てじゃないと外に出れないような感じではないけども、紫外線カット効果のあるフード付きポンチョを着て、日傘をさして、サングラスをかけて職質よろしくスタイル(された事ないけど)をしないと外に出れないし、地面からの反射による紫外線にですらアレルギー症状が出るのだ。


 特に晴れた日だと、10分くらい外を歩けば、職質よろしくスタイルで防備したとしても、頭痛と吐き気がもの凄い事になる。

 ならば、遮光カーテンに守られた1Kのアパートに引きこもる。


『まぁまぁ、当日が土砂降りだったら来てくれるから、雨に期待しよう』

『でも、こいつ、晴れ女wwww』

「雨降ったら行くねー」


 よくある 行けたら行く=行かない の断り文句ではない事を、グループメンバーは知っている。

 実際2回はオフ会に出てるのだ。雨の日だった時に。

あと、日が沈んでからなら問題はない。

 めんどくさい体質なので、外に出るのは控えてる。


「んで、今日はどうするよ」

『あ、俺ほしい装備あるから手伝ってー』

『オッケーっすよ、何ほしいんすか?』

『超純金ー』

「『『ひとりで掘れよ!』www』」

『ガチガチの炭鉱夫装備で掘るんだから、護衛がいるんだって!』

「え? 炭鉱夫装備一式で来る気?」

『それじゃないと超純金の確率あがんないじゃん?』

『しかも、あのマップ、大型モンス3体いるっすよね』

『ガチ護衛wwww』


 今日も元気にゲームだ。とはいえ、22時半には終わる。

 明日の仕事に支障は出さないよ。


 このゲームは、まだ中盤と言ったところだ。

 大型アップデートでモンスターやマップが増えるので、次のアップデートに備えて、現時点での最強装備を整える。

 操作キャラクターが使う武器が10種類あって、その武器の性能を伸ばすスキルが付いた防具を揃えなければ、モンスターとの戦闘は楽にならない。

 全員が攻撃特化スタイルになって総攻撃をしたり、1人がモンスターを引きつける役割・2人が攻撃・残りは回復役…と様々なプレイスタイルを実現する為に、装備のバラエティは豊富に揃えておきたい。

 その為に防具を作る素材集めも、みんなで手伝い合う。


『でたよー! 超純金!!』

「『『おめでとー』』」


 素材は簡単に出る人もいれば、粘って粘って納豆が負けを認めるくらい粘りきって、やっとこ出る人もいる。

 私たち全員、割と後者寄りなのだ。


「ってか、早くない?! いつもなら3日くらいかかるじゃん!」

『俺の日頃の行い?』

『wwww』

『マジっすかー! シルキーさんかっけーっす!』


 シルキーとは、イケメンが操作してるキャラクターの名前だ。


「汁木よ、次は私の番だ、ヒヒイロカネを取りに行こう!」

『汁木言うなし、ゴリー田!』

「ゴリじゃねぇよ、ゴルーダだっつてんだろ、つか、体は筋肉質でゴリっぽくても、顔はイケメンに作ってんだからゴリじゃねぇ!」


 ゴルーダという名で、私はゲームキャラを操作している。ちょっとだけ筋肉質なキャラメイクにしたせいで、ゴリ呼ばわりだ、解せぬ。


『汁ゴリ、もっくん、おれもヒヒイロカネ欲しいからよろしくwwww』

「『汁ゴリで一纏めにすんなし!!』」

『アリーシャさんも素材っすね、オッケーっす!』


 アリーシャというゲームネームで呼ばれてる、語尾に草が生えてる奴は会社の先輩だ。こうやって遊ぶ時に敬語は使うなと厳しく言われた。

 ゲームネームを呼び捨てにしている。

 仕事中はちゃんと先輩として扱っている。


 もっくん(ゲームネームのあだ名)は、今日の打ち合わせをしに、来社してきた他社の人だ。

 もともと取引先の人で、うちの会社に出入りしていたのは知っていたが、オフ会で私たち3人とバッタリ出会ってそこから狩仲間になった。


『よし、22時回ったしこれ終わったら落ちるか!』

『うっす!』

『明日も元気に働いて、元気に定時退社だwwww』

「おー!」


 今日も楽しく遊んだので、明日への充電はバッチリだ。

 おやすみなさーい!

紫外線アレルギーの度合いは人によって異なります。作者の体質をもとに記載してあるので、存在しない症状ではありません。

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― 新着の感想 ―
リアルにそんなアレルギーだと大変だな。 かつてのヴァンパイアはそんなアレルギー体質の人間がそう言われるようになっただけなのかも知れない。
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