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「ん、普通」

「胃袋をぶっ壊しに、掛かってるようにしか見えません…」


 シェア飯では無さそうだよな、この人たちなら。

 空いてるテーブルがあったのでそこに着くと、カーチェがやってくる。相変わらず可愛い。


「ご注文は、ニャんですかニャ?」

「オススメ5人分!」

「承りましたニャ!」


 アリーシャさんはメニューを見ずにおすすめを頼む。そのくらいオススメの期待度が高いのだろうか…気になる。


「この子の分は、4分の1くらいの量でお願い」

「え、お姉さん具合悪いのニャ?」


 モクレンさんが予め少なめに注文すると、カーチェがめちゃくちゃ心配してくる。可愛い。


「ただの少食」

「わかったニャ」


 これで、普通盛ご飯が食べれそうだ。


「いつもすみません」

「気にしない」

「リンディーは何故そんなに謝るんだ? 何も悪い事をしていないだろうに」


 ゴルーダさんは訊ねてくるが、私は反射的に謝ってしまうのは日本人の性と思っている。

 中には謝ったら死ぬんじゃないか、ってくらい頑なに謝らない人もいるけど。


「いやぁ、ホント、いるだけで迷惑かけてる自覚はあるんですよ…。ご飯も服も宿も全部面倒見て頂いているし、今までの行程も私がいなければ、もっと早かったでしょうし…」

「リン…お前虐待でもされていたのか?」


 アリーシャさんがマジトーンで聞いてくる。

 私は首をブンブン振る。


「いえ、貧乏気味ではありましたが、そんな複雑な家庭環境では無かったと思っています」


 虐待は…多分ないと思う。子供の頃なら、説教と共に平手が飛んでくるとかはあった。現代なら虐待かもだけど。父ちゃん母ちゃんは、ゲンコツと平手で育ってきてるから、それが当たり前と思ってる節がある。田舎だったし尚更。


「じゃあ、なーんでそんなに、他人行儀がぬけないのよぉ。何も取って食おうなんて思ってないわよぉ!」


 シルキーさんが頬を膨らませる。


「が、寝相で殺せる」


 モクレンさぁあぁぁあぁぁあぁん!!! やめてぇえぇ!!!


 そして鬼盛りメシと対面する。


「よんぶんのいちでこれ?」


 私的に3人前の皿が、4つ私の前にある。


「多分、増量サービス」

「気持ちだけでお腹いっぱい…」


 また皿をもらい取り分ける。でじゃぶ。

 くそう、洗い物増やしてる…とはいえ、無理して食べる事は絶対にしない。そんな事をしたらマシュマロボディまっしぐらだ…。


「リンちゃん、本当に足りてる?」


 シルキーさんが心配してくれる。


「えぇ、本当に足りてますし、一皿を食べる事は私には絶対に出来ません…!」

「いつもより少ない」


 モクレンさんガチおかん…いつもの量を把握してんのかよ、どんだけ私の面倒見たいんだ…。

 食欲ははっきり言ってあるんだよ、すごくすごく美味しいし…! だけど、食べる事が今ものすごく億劫なんだ…。多分風邪引いた。風邪を引くと私は食べれなくなるから。

 今日はさっさと寝てしまおう。

 目深に被っているフードのお陰で顔色は見られてない。…具合悪いのに気づくと途端に症状がすすむの、何だろうねアレ。


「お姉さん大丈夫ニャ?」


 カーチェが心配してか、そばにきて服を握る。

 あぁ! 可愛くて鼻血出そうな気持ち…!!!!


「あ、大丈夫です。すみません。とっても美味しいんですけど、もう食べれそうもなくて…」

「食欲ない日もあるニャ。残りはお包みするニャ」


 残ったご飯はテイクアウト品として、紙? 葉っぱ? の容器に入れてくれる。一旦みんなで部屋に戻り、テイクアウトご飯はテーブルに置く。


「リンディーは休んでいろ。疲れが溜まっているはずだ。熱はないか?」


 ゴルーダさんがフードを外して、頬や額に触ると残念そうな顔をした。だが、そんな事に気づかないほど私はぼーっとしている。


「シルキー、リンディーを寝間着に着替えさせてくれ」

「え? リンちゃん熱でも出てる?」


 何やらみんなで、変わるがわる私を触っていく。

 そしてアリーシャさんに服を剥かれた。視界の端で慌てて男性陣が出て行く。


「さ、さ、さ、さ、さ、さ、ぶ、い」

「何で熱出てんのに、言わねぇんだ!」

「ちゃんと言ってくれなきゃだめよぉ〜!」


 テキパキと着替えさせられる。モコモコの部屋着みたいな物が存在したのか…インナーで眠るかと思ってた。


「い、いえ、一気に、きまして。ついさっきまで何ともなかったんですよ」


 と、言ったつもりだが、喉も掠れてきたのか声がガサガサのようだ。

 ベッドにぶち込まれて毛布を掛けられる。男性陣も戻ってきた。


「すみません…」(ガサガサ声)

「いや、すまない旅慣れしてないのに、無理をさせてしまって」


 ゴルーダさんが撫でる。いや、撫でるな、同い年だっつてんだろ!


「とりあえず1人残ればいいか」


 そういやクエストに行くって言ってたな。撫でてる手を避けろ! もう節々痛くて振り払えないんだから!


「あたしが!」

「わたしだ!」

「僕」

「俺が」


 何の立候補だ…。ってこの状況だとお世話係だよな…。何でみんな立候補してんだよ…。


「寝るだけなので、放置で構いません」(ガサガサ声)

「……聞こえないな…喉も調子が悪いようだ、これを飲みなさい」


 敢えて聞こえないフリしてんだろ、ゴリ!!

 飲み物にハチミツを入れて渡してくれる。そっと起こしてくれて背中を支えてくれる。ゴルーダさん紳士だぁ。


「女同士の方が、困った時、対処しやすいわよぉ」

「そうだ、そうだ!!」


 プレゼンが始まった。まずは女性側。同性ゆえの優位性を押し出してきた!


「お前らは荒いからダメだ」


 ゴルーダ却下が飛び出す。荒い人は病人に近づけちゃ行けない。


「リンの体調変化よくわかる」


 モクレンさんがプレゼンしてきたぁ! この人短めにしか喋らないからアピールが少ない気がする。

 今まで世話してきたノウハウがありますアピールっぽい。


「リンディーは俺が見つけたから、何かあれば俺が責任を持つものだ」


 1番最初アピールをするぞ、ゴルーダさん!責任を持つとかリーダーらしいプレゼンだ!


「「誰がいい?!」」


 私に選べと…何かデジャブ。


「ひとりで大人しく寝ておくので大丈夫です」

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「キツいんや、もうひとりで寝せといてえな……」そんな心の声が聞こえた気がする。
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