選んでください。 ▶︎いいえ
「ん、普通」
「胃袋をぶっ壊しに、掛かってるようにしか見えません…」
シェア飯では無さそうだよな、この人たちなら。
空いてるテーブルがあったのでそこに着くと、カーチェがやってくる。相変わらず可愛い。
「ご注文は、ニャんですかニャ?」
「オススメ5人分!」
「承りましたニャ!」
アリーシャさんはメニューを見ずにおすすめを頼む。そのくらいオススメの期待度が高いのだろうか…気になる。
「この子の分は、4分の1くらいの量でお願い」
「え、お姉さん具合悪いのニャ?」
モクレンさんが予め少なめに注文すると、カーチェがめちゃくちゃ心配してくる。可愛い。
「ただの少食」
「わかったニャ」
これで、普通盛ご飯が食べれそうだ。
「いつもすみません」
「気にしない」
「リンディーは何故そんなに謝るんだ? 何も悪い事をしていないだろうに」
ゴルーダさんは訊ねてくるが、私は反射的に謝ってしまうのは日本人の性と思っている。
中には謝ったら死ぬんじゃないか、ってくらい頑なに謝らない人もいるけど。
「いやぁ、ホント、いるだけで迷惑かけてる自覚はあるんですよ…。ご飯も服も宿も全部面倒見て頂いているし、今までの行程も私がいなければ、もっと早かったでしょうし…」
「リン…お前虐待でもされていたのか?」
アリーシャさんがマジトーンで聞いてくる。
私は首をブンブン振る。
「いえ、貧乏気味ではありましたが、そんな複雑な家庭環境では無かったと思っています」
虐待は…多分ないと思う。子供の頃なら、説教と共に平手が飛んでくるとかはあった。現代なら虐待かもだけど。父ちゃん母ちゃんは、ゲンコツと平手で育ってきてるから、それが当たり前と思ってる節がある。田舎だったし尚更。
「じゃあ、なーんでそんなに、他人行儀がぬけないのよぉ。何も取って食おうなんて思ってないわよぉ!」
シルキーさんが頬を膨らませる。
「が、寝相で殺せる」
モクレンさぁあぁぁあぁぁあぁん!!! やめてぇえぇ!!!
そして鬼盛りメシと対面する。
「よんぶんのいちでこれ?」
私的に3人前の皿が、4つ私の前にある。
「多分、増量サービス」
「気持ちだけでお腹いっぱい…」
また皿をもらい取り分ける。でじゃぶ。
くそう、洗い物増やしてる…とはいえ、無理して食べる事は絶対にしない。そんな事をしたらマシュマロボディまっしぐらだ…。
「リンちゃん、本当に足りてる?」
シルキーさんが心配してくれる。
「えぇ、本当に足りてますし、一皿を食べる事は私には絶対に出来ません…!」
「いつもより少ない」
モクレンさんガチおかん…いつもの量を把握してんのかよ、どんだけ私の面倒見たいんだ…。
食欲ははっきり言ってあるんだよ、すごくすごく美味しいし…! だけど、食べる事が今ものすごく億劫なんだ…。多分風邪引いた。風邪を引くと私は食べれなくなるから。
今日はさっさと寝てしまおう。
目深に被っているフードのお陰で顔色は見られてない。…具合悪いのに気づくと途端に症状がすすむの、何だろうねアレ。
「お姉さん大丈夫ニャ?」
カーチェが心配してか、そばにきて服を握る。
あぁ! 可愛くて鼻血出そうな気持ち…!!!!
「あ、大丈夫です。すみません。とっても美味しいんですけど、もう食べれそうもなくて…」
「食欲ない日もあるニャ。残りはお包みするニャ」
残ったご飯はテイクアウト品として、紙? 葉っぱ? の容器に入れてくれる。一旦みんなで部屋に戻り、テイクアウトご飯はテーブルに置く。
「リンディーは休んでいろ。疲れが溜まっているはずだ。熱はないか?」
ゴルーダさんがフードを外して、頬や額に触ると残念そうな顔をした。だが、そんな事に気づかないほど私はぼーっとしている。
「シルキー、リンディーを寝間着に着替えさせてくれ」
「え? リンちゃん熱でも出てる?」
何やらみんなで、変わるがわる私を触っていく。
そしてアリーシャさんに服を剥かれた。視界の端で慌てて男性陣が出て行く。
「さ、さ、さ、さ、さ、さ、ぶ、い」
「何で熱出てんのに、言わねぇんだ!」
「ちゃんと言ってくれなきゃだめよぉ〜!」
テキパキと着替えさせられる。モコモコの部屋着みたいな物が存在したのか…インナーで眠るかと思ってた。
「い、いえ、一気に、きまして。ついさっきまで何ともなかったんですよ」
と、言ったつもりだが、喉も掠れてきたのか声がガサガサのようだ。
ベッドにぶち込まれて毛布を掛けられる。男性陣も戻ってきた。
「すみません…」(ガサガサ声)
「いや、すまない旅慣れしてないのに、無理をさせてしまって」
ゴルーダさんが撫でる。いや、撫でるな、同い年だっつてんだろ!
「とりあえず1人残ればいいか」
そういやクエストに行くって言ってたな。撫でてる手を避けろ! もう節々痛くて振り払えないんだから!
「あたしが!」
「わたしだ!」
「僕」
「俺が」
何の立候補だ…。ってこの状況だとお世話係だよな…。何でみんな立候補してんだよ…。
「寝るだけなので、放置で構いません」(ガサガサ声)
「……聞こえないな…喉も調子が悪いようだ、これを飲みなさい」
敢えて聞こえないフリしてんだろ、ゴリ!!
飲み物にハチミツを入れて渡してくれる。そっと起こしてくれて背中を支えてくれる。ゴルーダさん紳士だぁ。
「女同士の方が、困った時、対処しやすいわよぉ」
「そうだ、そうだ!!」
プレゼンが始まった。まずは女性側。同性ゆえの優位性を押し出してきた!
「お前らは荒いからダメだ」
ゴルーダ却下が飛び出す。荒い人は病人に近づけちゃ行けない。
「リンの体調変化よくわかる」
モクレンさんがプレゼンしてきたぁ! この人短めにしか喋らないからアピールが少ない気がする。
今まで世話してきたノウハウがありますアピールっぽい。
「リンディーは俺が見つけたから、何かあれば俺が責任を持つものだ」
1番最初アピールをするぞ、ゴルーダさん!責任を持つとかリーダーらしいプレゼンだ!
「「誰がいい?!」」
私に選べと…何かデジャブ。
「ひとりで大人しく寝ておくので大丈夫です」




