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23話 校外学習

 綺麗な青と白のコントラストで飾られたキャンパスのような美しい青空だ。

 まるで今日のために晴れてくれたかのようだ。

 俺は今日も空を見上げながらそう感じた。


 あれから、準備しているとあっという間に一週間が経過して、校外学習の日となった。

 どっちにしろ雨天中止になることはなかったが、雨の中服も靴もぐちゃぐちゃになりながら進んでいくよりもはるかに楽なので喜ばしい限りだ。


「あ、サクラ!こっちこっち!」

「あ、エレナ達もう集まってたの?」

 そう俺を呼ぶ声が聞こえたのでそちらを向くとそこにはエレナとリエトとイデアが食堂の入口のに立っていた。

 最近の待ち合わせ場所は、専ら食堂の中になっていたが、今日はたまたま食堂の入り口の前で出会えた。


 最初の頃は、女子寮の中でエレナとイデアとは待ち合わせてから、外でリエトと合流するパターンが主だった。

 けれども、最近は二度手間になるので基本的に、全員食道内で待ち合わせてから、一緒にご飯を食べるというスタイルになっていた。


「今日は皆と早く会えたし幸先いいかも!校外学習のこの調子で進めたいね!!」

「エレナは、気合十分だな!昨日ちゃんと寝れたのか?」

 エレナがそう言うと、リエトにからかわれてい

た。


「なっ!リエト、私の事馬鹿にしてるでしょ。そんな子供じゃないから!それに私よりサクラの方が前日からずっと気合入ってるじゃない!」

「そういえばそうかもしれませんね。サクラさんも昨日はよく眠れましたか?」

 エレナが言われっぱなしじゃ終われない性格なのでそう反応すると、イデアも微笑みながらもこの流れに乗ってきた。


「わ、私は大丈夫だから。」

 俺の中身はもう小学生じゃないからな……

 正直馬鹿にされているような感じまでがしてきてしまう。

 流石に彼女らは俺の中身のことなんて知ったことではないので、当然といえば当然の反応ではあるのだが。

 でも、楽しみで眠れなかったという訳ではないが、相手は魔物とはいえ命のやり取りを行うかもしれないのが今日の校外学習だ。

 その緊張のせいで、正直寝つきは悪かったのは事実なんだけど。


「でも皆、学園の外って怖くないの?私たちの命を狙う魔物とかがいっぱいいるのに。」

 あまりにも皆死への恐怖なんてまるで感じていないような素振りばかりなので、なんだかそれが気になったから聞いてみた。


「そっか。サクラは、学園に来てから初めての外出なんだ。私たちは全員一緒の行動だったけれども、ニ年生の時に学園の外に出て魔物も見てるから!」

「魔物とは言っても、まだまだ低級の魔物ばかりでしたし、いつでも先生が側にいてくださったので、今回と比べるととても安全でした。」

「そうだな。それにニ年の頃は戦闘行為は完全に禁止されてたからな。ついに本当に腕試しができるから楽しみだ!」

 なるほどな。皆一度は外に出たこともあるし、魔物も見たこともあるし、割と恐怖している子よりも楽しみにしている子達の方が圧倒的に多数を占めているのか。

 その証拠に今食堂にいる3年生と思わしき人達は、みんな楽しそうに班員の子達と楽しそうに話している。

 このくらいの歳の子なら初めて体験したことでもないし、恐怖するよりも無邪気な好奇心の方が強いみたいだ。


 そんなことを考えつつも、俺たちは今後の方針を改めて確認した。

 その後は食事も終えて、皆一度自分の部屋に戻った。さすがに食堂に武器を持ってくるなんて常識外れな行動はできないからな。

 それに俺のアストライアーバスタードソードなんて、仮に持ち込めたとしてもどこに置けばいいかわからない、というよりもあまりにも邪魔すぎるし。


 というわけで一度部屋に戻って武器を持ち出した後は、普段と違って教室には行かず直接グラウンドのような広場へ集合した。

 当然いつもの三人と一緒にだ。

 そこに三年生全員が集まると、今日と明日の校外学習について再度簡単な説明を受けて、皆解散となった。


 一番狙っているのだろうか我先にと飛び出していったいくつかの班。それを追いかけるようにしていく班も続き、それ以外の班も皆学園の外へ通ずる門へ向かい歩き始めた。

 当然俺達もそれに続くかのように進みだした。


 そして俺は、いや俺たちは普段は閉鎖されている学園の門から外へ一歩踏み出す。

 門の外にはあの日クロエとアランと歩いた、綺麗に舗装されているあの街道が長く続いていた。

 その景色を見ると懐かしさと共に想いが満ちてくる。必ず無事に戻ってくると。この世界での俺の人生はまだまだ始まったばかりだ。

 こんなところでつまづいている場合じゃない。


 決意を新たにし、俺たちは街道へ進みだした。

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