表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24

20話 星空の大剣

「鍛冶士の想いが籠もった武器は、武器も使用者を選ぶ。多分不思議な感覚って言っていたのはそれ。それを感じられたんなら名付け親になるには十分過ぎる理由だと思うけど?」

「分かりました。つけます。大事な命名権をたらい回しにしたらこの大剣に悪いですから。」


 そうは言ったものの、うーん、名前、名前かぁ……

 そう思い、あらためて超大剣を眺める。夜空の様に暗い刀身の中で輝く、星の様な煌めき。

 なら……

「アストライアーバスタードソード。」

「アストライアー?聞いたことないけど、どういう意味?」

 ああ、そもそも世界が違うんだ。地球の神話が原典ならば、まず通じる訳がなかった。けれども、それならそれで別に良い気がする。

「私の知っているお話に出て来る名前で、意味は星の様に輝くものです。」

「なるほどね、星か……ふーん、中々いいんじゃない?魔素に反応して煌めくこいつにピッタリかもね。それじゃ。」

 そう言うと同時に彼が大剣に触ると、名前が刻印された。なんでこんな一瞬で刻印出来るんだと思ったが、魔法か。

 後、あの煌めきって魔素が反応して起こってたのか。ならレゾニウムまでは行かなくとも、魔法との相性は悪いものでは無いだろう。


「これで今日からこいつはアストライアーバスタードソード。まあ、これから仲良くしてあげて。」

「はい。これからよろしくね。」

 ルインに返事だけすると、後はそうアストライアーバスタードソードに向かって話しかけた。

 でも、自分自身が名付け親になって、他の人に呼ばれると何だかむず痒い。良いネーミングセンス、欲しいなぁ……


「またそいつの改修とか必要になったら持ってくればいいよ。安くはしとくから。」

「そうですね、必要になればまた是非。」

 そう言って、俺はルインに金貨を一枚払う。

「はい、これで契約成立。レゾニウムの短刀は3日後位に取りに来れば直してるはずだから。」

「分かりました。ではお願いします。今日は、ありがとうございました。では。」

 俺は、アストライアーバスタードソードを……自分で名付けたは良いものの、やっぱり名前長いな。また今度略称でも考える事にしよう。


 それはそれとして、とりあえず大剣を持って店を出ようとした。

 が、やっぱり重い。相変わらず取っ手側を持ち上げるだけで精一杯だ。

 いずれ傷は絶対に避けられないものだが、新品の傑作武器を特に何もない時に引きずって傷つけるのはなんだか嫌だし。せめて傷つけるのは、訓練の時位にはしておきたいところなんだけどな……


 うーん、どうやって寮まで持って帰ろうか……

「それ……えっと、名前アストライアーバスタードソードで合ってたよね?部屋まで持って帰るのは私達も手伝うよ!」

 とエレナが俺のすぐ近くに来て、それを支えてくれた。


「もちろん私も手伝わせて下さい。私はこのような武器に対する知識には疎く、今回はただいるだけで役に立てませんでしたから。でも、これくらいなら私にも出来ます。」

 イデアもエレナと一緒に支え始めた。どうやら彼女は、魔法の才能は秀でているが、あまり剣術の類は得意分野ではないらしい。

 でも、得手不得手なんて誰にだってあるんだから、そんなに気にしなくてもいいのに。


「当然、俺も手伝うぜ!女子三人だけに持たせて、俺だけが持たない訳にはいかないよな!」

 リエトはそう言って剣先の方を持ち上げて、アストライアーバスタードソードは完全に宙に浮いた。

 いや、傍から見たら……いや、傍から見なくても怖すぎる。

「リエト、そこ持ったら駄目だって。危ないから!」

「大丈夫だって。俺、流石にこんな大きい剣を持った事はないけど、俺男だし、皆よりは剣を多く握って来たから平気平気!それに、こっちを持ち上げる人がいなきゃ結局引きずって帰ることになるじゃん。」

「でも……」

「それに放せって言われても放さないよ。俺もここじゃ対して役に立てなかったから、少し位役立たせてよ。」

 この四人の中で一番剣に詳しいはずなのに、結局、俺が一人で自己完結したせいで、このまま何もしないままなら、男としてのプライドが傷つくんだろう。俺も精神は男だから良くわかる。


「ごめん、じゃあお願いしていい?」

 すると、リエトの顔がパァっと明るくなった。

「もちろん!任せといて!」

 うん、やっぱり男子だなぁ。俺だって自分に自信のあることでお荷物になるのは御免だ。

 でも、俺も本当なら名実ともにそっち側の人間なんだけどなぁ……


「気をつけて帰りなよ。」

「はい、ありがとうございました。また3日後に来ます。」

 そうルインに別れの挨拶を告げて、俺達は皆で、俺の部屋へと向かった。

 なんとなく子供の頃に祭りで担いでいた御神輿を思い出しながら。


 そして無事三人の協力もあり、俺の部屋に搬入する事に成功した。

 まぁ、女子寮前まで辿り着いたのに、そこから先へ、リエトが入れないというハプニングもあったが、最後はイデアが魔法を使ってくれたのもあって、何とか部屋まで運びきる事が出来た。


 そして、その後は皆で晩御飯を食べて、女子二人との悪夢の風呂時間を終えて解散となった。

 皆と別れた後、俺はアストライアーバスタードソードを見ながらずっと考えていた。

 どうやればこの超大剣を使えるようになるのか。それと、この超長い名前の略称をどうしようかを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ