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1話 目覚め

 ふぁーあ……よく寝た……もう朝かぁ……そう思いながら、俺は目を覚ました。

 静かな青空の下、心地良い風や日の光を体に浴びていると、頭もまともに動き出すようになって来る。


 ……ん、なんで俺は朝起きていきなり太陽の下にいるんだ?というより寝室じゃなくて外じゃないか、ここ。布団は何処に行った?そう思った俺は、周囲を見回してみた。

 そこは野原の様な場所だった。だが、周囲の様子をしっかりと認識する前に、何か違和感を覚えた。

 まず何だか視界が低い。それに頭が重い。そこに気がつくと連鎖反応の如く、大量の違和感を一気に感じ始めた。


 ちょっと左右を確認しようと、頭を揺らすと視界に入ってくる髪の毛。そして肩や背中にも髪の毛が当たっている感覚が確かにある。そこに気がつくと頭が重い理由が、髪の毛であったと気づく。だが、どうしてだ?当然、俺の髪の毛はこんな長かったはずがない。


 それに来ている服もおかしい。なんだかきめ細やかな触り心地。レースがあてがわれた純白のワンピース見たいなデザイン。これって所謂ネグリジェっていう服じゃないのか?でも、俺ネグリジェなんて当然ながら生まれてこの方一度も来たことがないぞ。

「おい……俺は今、どうなってるんだ?」

 困惑のあまり思わず声が出てしまった……がその声もおかしい。とりあえず声が高い。俺はこんなにも声は高くなかったはずだ。それになんと言うか、子供っぽい感じの声がする。


 そこまで気が付くと、もう気が付きたく無いところまでわかってきてしまう。ないんだ、ないんだよ!太ももの付け根くらいにある、男ならば誰でもついているアレがない!いつもは下腹部に当たっている筈のアレが当たっている感覚が全く無い!

 恐る恐る触ってみようと、手を当ててみたが、確かにそこにあって然るべきはずのものが無い……


 俺……女になっているのか……

 なら、胸もあるのかを確かめては見たものの、少しだけあるのか、無いのかよく分からない位で、特に何も感じなかった。

 何にしろ、この視界の低さに、それと対象的な声の高さ。それは、俺をただそのまま女にしたというわけではない……どう考えても子供の体だ。

 すなわち、俺は女の子になってしまったと言うことに他ならない。

 俺は、断じて女体化願望があったわけでも、ロリコンだったわけでもない。そんな俺がどうしてこんな目に……ただただ純粋に不幸だ……


 なんだか夢っぽい感覚は全くしていないんだが、こんな事が現実であるはずが無い。今まで生きてきた中でも、フィクション以外でそんな前例は聞いたこともない。つまりこれは夢なんだって事だろう。

 なんだ、夢だと気付いてしまえば起きるのは凄く簡単だ。ただ起きろって念じるだけでいい。今までもそれで起きた経験はある。


 なんだか全然起きる気配がない。逆にこの世界の俺の眼がぱっちりと冴えてくる。これだけ念じても起きないなんて…ちょっといくらなんでも俺の睡眠深すぎやしないか?

「おい、俺、早く起きろよっ!何やってんだ!」

 ああ、もう、やっぱり声が高いのに慣れないな!

 ……しつこく起きようとし続けたが、結局駄目だった。そもそも正直言って、今俺の感覚は全く夢っぽくない。もうこれ以上現実逃避しても何も生まないので認めるしかない。

 悲しいが、これは現実だ。現実なんだ……


 なら、どうして俺がこんな事になってしまったのか、考えてみよう。

 ……間違いなく昨日のあの夢だ。いや、もうあの時点で夢かどうか怪しかった。もしあれが夢ならあのタイミングで起きられるか試しておくべきだった……楽しそうな夢だったから覚めたくなかったって思ったのが運のつきだったのか。

 例え夢でも、安請け合いなんてするものじゃないな……


 人生最大の選択ミスだと強く思いながらも、いつまでも悩んでいたってこの結果は変わらない。

 その上、このままここで女の子のまま戦争に巻き込まれて死ぬのはごめんだ。ならとりあえず現状を受け入れるだけで諦めては駄目だ。ボーッとするだけで、何もしなくたって時間が経過するだけでしかない。


 あそこで言われた事を覚えている間に、俺がすべき事を考えないと。

 俺の最終目的。それは核戦争のような最終戦争で起こる世界の滅びを防ぐ事だ。そうすれば迎えに来てくれると言っていた。でも、自分で言っていてそんなの出来る訳ないじゃん、馬鹿じゃないの?としか思えないし……

 それでも、無視してやらなければ、ただ戦火に蹂躙されて死ぬしかない。仮に、核シェルターを開発して生き延びられたとしても、結局この女の子の体のまま、生命が絶滅したか、辛うじて生きているかという荒廃した世界に永住だ。それが嫌ならやるしかないんだ。


 仕方ないが、女の子になって世界を救うなどと考えれば考える程辛い…せめて、俺の精神を落ち着かせる為にも、俺にとってのメリットを考えるとしよう。


 そう、それは魔法だ。俺は魔法を使えるようになっているはずだ。あのよくわからない人も魔法を使える体にしておくって言っていたし。

 魔法を使える体にするって言う発言は、まさか体そのものを別のものに変えるって意味じゃないよな……そんなまさか……あり得ないよな……


 まぁ、嫌な想像から気を取り直して、それじゃあ、早速魔法をやってみようか!

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