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16話 成すべき事

 なんて事だ。つまりこの世界の化学は発展する事をやめて、死んでしまったと言うことなのか?

 そうでないのなら、発展の「は」の字にすら辿り着いていないか、そのどっちかしか俺に思い浮かぶ答えはないな。


「でも、つまりそれってサクラの魔法は私の魔法とは別の方法で使ってるって事なんだよね。」

「うーん、根幹にあるのは皆と一緒でやっぱり想像なんだけど。過程を想像するのと、結果を想像する事の違いなのかな。」

 この世界の人達は、魔素があるからいきなり結果を持って来ることが出来る。それこそ、燃焼の三要素が無くたって、魔素さえあれば容易く火をつけられる位は。


 ただ、俺の過程から結果を再現する魔法がまともに使えたと言う事は、この世界も魔素さえ絡まなければ、ある程度なら普通に物理法則が働くと言う仮説が成り立つかも知れない。

 本当にそれが正しいのかは実験して証明するしかないが、今までと何もかも勝手が違うということは無さそうだ。

 少なくとも、俺がふわふわと何処かへ飛んでいかない時点で引力はあるみたいだし。


「ならさ、サクラの魔法は、実質サクラのオリジナル魔法って事だよな!サクラって魔法は今まで使った事も無いんだろ?だったらいきなりオリジナル魔法が使えたのか!」

「そう、なるのかな?でも、結局そのファイアブラスト?だっけ。それと大して変わらないみたいだけどね。でもそれ以前に、一般的な使い方が出来なかったら、いつか伸び悩みそうで怖いかな。先生にも、まずは普通の方法でも出来るようになってから、自分なりのやり方を極めた方がいいって言われたし。」

 正直、オリジナル魔法って言われると嬉しいが、あくまでも、これは、俺のオリジナル魔法と言うより、この世界に存在しない技術を使ったただの裏ワザにすぎない。


 多分このままこの方法に頼りっぱなしじゃいずれ圧倒的な魔法と対峙した時に負ける。

 それは、俺の成すべき事とその相手を想像すると簡単に予想がつくから。

 なにしろ相手は、この万能エネルギーを自由自在に使いこなす猛者達なのだ。

 そもそも別に、実際に戦わずに対話で解決するにしろ、工作をするにしろ、自分の実力が相手にとって少しは気を引かせるレベルじゃないと、そもそも相手にすらされる事はない。


 でも、一般大学生位の化学知識で出来る小細工じゃ何も成せない、成し得ない。

 チンピラが国家に喧嘩を吹っかけてるのと大して変わらない事だし。


 ただ、だからといって化学が無意味という事ではなく、かなり強いメリットであることには違いない。

 だから、普通に魔法が使いこなせる上で、そこに俺の持っている化学知識を合わせる事によって、優位をとっていくのが今の俺に出来る最適解だと思う。


「なるほどね。なら、サクラ!私達と一緒に魔法の練習しよ?私も先生みたいな魔法は使えないけど、イデアに教えてもらえばいいしね!」

「え、私達だけで?安全面とか大丈夫なの?ってイデアはそれで良いの?」

 まだ魔法使いたてほやほやの俺達が勝手に練習なんてして許されるものなのか?特に俺なんか今日爆発事故を起こした張本人だぞ?


「はい、大丈夫ですよ。魔法は今日の基礎授業を受けた後なら、訓練場の使用許可さえ取れば訓練場内に限り、何時でも使用できるので。私も、私に教えられる範囲なら何でも教えますので、安心して下さい。残念ですが今日は使用許可を得ていないので駄目なのですが……」

「明日の使用許可なら、もう取っておいたから大丈夫だぜ。俺はあまり魔法が上手く使えなかったからさ。元々特訓しようと思ってたんだ。でも、皆と出来て嬉しいよ!明日から皆で特訓頑張ろうな!」

 もう使用許可を貰ってきてたのか。やる事が早いなぁ、リエト。それにイデアも同い年の初心者三人が相手とはいえ、人に教えられる位は実力があるのか。


「良かったぁ、サクラは魔法得意そうだったからやらないって言われると思ってたから嬉しいな。よーし!じゃあ明日の放課後から皆で特訓だね!じゃあ、今日はどうしよっか?折角だし、皆で遊びに行く?」

「私は、別にどっちでもいいけど。」

「俺もいいよ?」

「私もこの後でしたら大丈夫です。」

 俺は、特にこの後にやりたい事とか考えていなかったので、その誘いに乗っても良かった。けれど……


「やったぁ!じゃあ喫茶店でも行って、色々話そう?私、サクラの事もっと知りたい!」

「え?」

「あ、サクラは喫茶店嫌だった……?」

「あ、ううん。全然そんな事ないけど。」

「そ、そっかぁ。なら良かった!じゃ、早く行こう!」

 そうか、一言で遊ぶと言ってもそう言う事か。

 なんでこの世界でも、スマブラとかマリカとかそう言ったゲームで遊ぶのかなとか考えたんだ、俺。

 実際に小学生だった時を思い出しながら生活しているのはあるが、その感覚と完全に一緒にしてはいけなかった。


 世界も性別も違うんだ。俺も変わらなきゃ駄目なんだろう。

 とりあえずせめて、サクラを演じている俺のままいては駄目だ。でも、身も心もサクラになって俺自身が消えるのは嫌だ。

 なら、サクラであり俺でもある。そういった人間を目指すべきなのか?

 ……まだ良くわからない。少しづつ俺のあるべき姿も探していくしかないか。


 魔法の事に俺自身の事。まだまだやらなきゃならない事が山積みだな。

リアルが多忙の為、明日は休刊します。

明後日は投稿する予定です!

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