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15話 魔法と化学

「サクラお疲れ〜、爆発の怪我とか先生の呼び出しとか大変だったけど大丈夫だったの?」

「あ、エレナ。ありがと。私なら大丈夫。」

「良かったぁ!それに、サクラが大丈夫なら話が心置きなく聞けるし!」

「あ……はは……まぁ、教えるのはいいんだけど。」

「お、何だ?サクラの爆発の話か?格好良かったよなぁ、あれ!俺、たまたま見れたし!」

「あぁ、サクラさん。お怪我は無さそうで良かったです。」


 午後の授業が終わり、帰りのホームルームも終えると同時にエレナに絡まれた。

 そしてエレナを皮切りに、リエトとイデアもやって来る。この三人って寮以外なら、いつでも一緒にいるな。完全に仲良し三人組じゃん。

 でも、この二日間は俺もずっと一緒だったから仲良し四人組?いや、流石にたかだか二日仲良しなだけで今までずっと一緒にいた友人のグループに完璧に馴染めたと思い込んでいるって失礼か。


 と考えていると、なんだか周囲から視線を感じる。

 あたりを見回すと教室に残ってる人らと目が合った。目が合うと直ぐに逸らされたが。

 でも、なんか男子が多いな。

 ……ははーん、さてはエレナかイデア狙いだろ?

 二人とも、可愛いからなぁ。エレナは取っ付きやすい性格してるし、俺にも優しいんだよなぁ。

 イデアは、お淑やかだし、絶対何処か良いところのお嬢様だろうと俺は踏んでる。

 俺は、まずないな。絶対にありえない。もしも仮に、俺目当てだとしたら、それは単純にあの爆発の話が聞きたいだけだろう。


 大丈夫、別にチクったり逃げたりしないから。っていう意味を込めて彼等にアイサインを送ると、残ってた人らが急にグループで集まって縮こまった。別に気付いて無い三人には言わないっていうのに、皆赤くなっちゃって。年頃の男子だなぁ。


「もうっ、サクラ!私、凄く気になってるんだからね?ボーッとしてないで早く話してよ!気になっちゃって仕方ないんだから。」

「ごめんごめん。」

 別にボーッとしてた訳じゃないんだけど……まぁいいか。


「分かってると思うけど、先生に呼び出されたのは当然あの爆発のせいだったよ。」

「まぁ、普通ファイアボールが爆発したなんて聞かないしな!俺だって近くに爆発物があるならそれに着火くらいなら出来るけど、訓練場に爆発物なんてないし、サクラの場合は火がないところからいきなり爆発させてたし!」

 体を乗り出すかのように、リエトが目を輝かせてに聞いてくる。爆発に興味津々なんて、まさに年相応の男の子らしい。


「うん、それでなんでファイアボールの練習中にファイアブラストの練習をしたんだ。って先生に怒られた訳。」

「サクラさん、魔法は初めてとおっしゃっておられたのに、ファイアブラストを使えたのですね。あの魔法はファイアボールよりはかなり難しいのですけれども。」

「いや、あれはファイアブラストというよりも……もどき?それにイデアのファイアボール私のなんかよりずっと綺麗だったよ。」

 どうやら、イデアは魔法が得意なようで、あの後いきなり綺麗なファイアボールを完成させていた勢の一人だ。


「ありがとうございます。私はもう少し小さい頃から勉強していましたから。でも、ファイアブラストもどき?とはどういう事なのですか?」

「いや……私がファイアボールを上手く出来なかったから、可燃性の気体と酸素を混ぜて着火したらファイアボールが出来るんじゃないか?と思ったんだけども、別にそうはならなくて、私の目の前で爆発したって事。まあ、良く考えればそうなるのは当たり前の事なんだけど。」


「私にはサクラが何言ってるのか全然分かんないんだけど、それってつまりサクラ自身で作った魔法って事!?それって、かなり凄くない!?」

「えっと……皆はこの方法で魔法とか使わないの?こっちの方が簡単じゃない?今日はちょっと爆発したけど……」

「そうですね。全く使う人がいないという訳では無いと思いますけれども、かなり珍しい魔法の使い方だとは思います。ファイアブラストもサクラさんの方法より、爆発そのものを想像する方が簡単と感じている方々が多数派ですので、サクラさんの方法は、滅多に使われていないかと……」


 なんてこった。ファイアボールもまともに使えない俺からしたら、よっぽど爆発するシーンを想像する方が難しいんだけど。

 魔法が発展すると、その代償に化学は発展しないってよく聞く話だけどこういう事なの?

 それとも全てに代わる万能エネルギーを手に入れた人間は、探求心を失うって事なの?

 でも、哲学的な事は、幾ら俺の中身が大学生でも、正直これっぽっちも分からない。

 だから、そんな事よりこの世界に化学は無いのかを確かめないと。


「私、今回の魔法で水素を使ったんだけど。水素って分かるよね?」

「私は知らないよ?」

「私も聞いたことはありませんね。」

「俺はわかるぞ!水の素って事だから……えっと、うーん、水の一部の事だろ?でもサクラのあれは水魔法じゃなかったし、やっぱり違うのか?」


 やっぱり皆知らないのか……リエトの答えはあながち間違いではないのだけれど、この反応は、多分水素という言葉そのものから意味を予想したんだろうな。


 でも、良く考えたら、小学生位の年齢だから、水素を知らなかっただけ?でも、三人もいて誰も分からないって事はないだろう。エレナとリエトは置いておいても、イデアはかなり賢そうだしなぁ。

おまけ


 世界一軽い元素で有名な水素は、1766年にイギリスの化学者ヘンリー・キャベンディシュと言う人が発見しました。

 その後、研究が進み、酸素と燃焼して水になる事が分かり、1783年に水素と言う名前がつけられました。


 意外と、水素って、近代になってから発見された元素なんです。

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