表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/24

12話 始業式

 なんだか眩しい。窓から部屋に入ってくる光が俺の目を覚ます。

 掛け布団ごと身体を起こし、ベッドのマットレスから降りる。

 その時に、ボサボサになった髪の毛や女性用のパジャマが俺の視界に入る。

 昨日寝るときに、寝て起きたら全て元通りだったらいいのにな。とは思ったがやっぱり世の中はそこまで甘くはなかった。


 ああ、今日から俺も学校生活か。昨日寝る前に部屋に届いた新品の制服を見て改めてそう思い直す。

 ベージュのブレザーにブラウスと赤いリボン、そしてグレーのスカート。誰がどう見ても女子制服である。


 朝起きていきなりこれはやっぱりキツい。でも、たかだか一日では、女子としての立場や行動に慣れる訳はなかった。

 それに、今まで積み上げてきた人生とは全く違う道である。

 故に、一日で順応出来る人のほうがよっぽど凄いが、凄いを通り越して寧ろ怖いと俺は思うし、少なくとも俺に出来る芸当ではない。

 これからもまだ暫くは絶対慣れないままだろうな。


 いくら愚痴を言っていても何も変わりはしないので、戸惑いながらも着替えていると、部屋の扉がノックされる。中途半端な着替えを急いで終えて、ドアを開ける。

「サークラー、おはよう!一緒に朝ご飯行こう……って服も髪の毛も酷い事になってるよ!?」

「アハハ……ちょっと寝坊しちゃって……」

「もう、しょうがないなぁ。私も手伝うからバビっと朝の準備なんて終らせよう?」

「ありがとう……」


 正直別に俺は寝坊した訳じゃない。女の子の朝の身支度にかかる時間を読み間違えただけだ。

 ここら辺りの感覚も、男の時から切り替えていかないと駄目だな……

 その後はエレナの手伝いもあって俺の身支度は綺麗かつ迅速に終わった。幾ら俺の方が本来年上とはいえ、女の子の先輩には敵わない。


 その後は、夕食と同じようなビュッフェで食事をし、始業式の会場へと向かう。

 朝食も美味しかったが、夕食と比べてゆっくり食べている暇がないのは難点だ。明日からはもっと早く起きよう……


 エレナ曰く、始業式は講堂で行われるらしい。講堂までもが完備とは、やっぱり立派な学園だよな。

 相変わらずエレナに道案内をしてもらい、俺も無事講堂に辿り着けた。

 講堂は非常に広く長椅子がズラズラと並んでいる。また、生徒達が全員では無いにしろ、結構な人数が入っているにも関わらず、まだ余裕がある。

 

 学年毎に席の位置は決められていたものの、完全指定席ではなかった為、三年生の区間でエレナの隣の席に座った。

 暫く席にて待っていると、どんどん人が増えてくる。そして、多くの生徒でいっぱいになる頃に、始業式が始まる。

 この感覚、なんだか懐かしいな。開会の言葉からの、学園長が挨拶をして、校歌を歌い、閉会の言葉で終わる簡単な式だ。昔の俺の体験は、学園長じゃなくて校長先生だったけれど。


 そしてあっという間に始業式は終わり、そして、自分達の所属するクラスが書かれたプリントが配布される。

「私は3年2組だったよ。サクラは何処だった?」

 俺もプリントを読んで自分のクラスを探していると、隣のエレナから声をかけられた。

「えっと……ちょっと待って……あっ、私も3年2組みたい。」

「なら私達同じクラスじゃん!これからもよろしくね、サクラ!」

「うん、よろしく、エレナ。」

 そう言いつつ、エレナと教室に向かう。初めての学校あるある、道に迷うはエレナのお陰で回避出来た。地味な事ながら意外に面倒だから助かったな。


 教室に着くと、俺達よりも先に辿り着いていた人達が、いくつかグループを作って屯している。

「あら、エレナもこのクラスなのですか?」

「なんだぁ、二人も同じクラスだったんだ。」

 俺がエレナといると、二人の男女がやって来た。男の子の方は翠の瞳をした赤髪のショートヘアで活発そうな雰囲気だ。それと、女の子の方は金の瞳で、長めの銀髪の髪を編み込みカチューシャにしている、如何にも良いところのお嬢様っぽい雰囲気だ。

「あっ、イデアじゃん!それにえっ、何?リエトもいるの!?なんだぁ、二人とも今年もよろしくね!」

「ああ、よろしく!エレナ。ところでその隣にいる子は?」

「あ、紹介するね。この子はサクラ。昨日知り合って友達になったんだ!それで、この二人はイデアとリエト。昔からの幼馴染で去年も同じクラスだったんだ。」

(わたくし)はイデア・ヴァレーリと申します。これからよろしくお願い致しますね。」

「俺はリエト・ラディーチェっていうんだ。よろしくな、サクラ!」

「私はサクラ・オリーヴェ。昨日、この学園に転入しました。こちらこそ、よろしく。」


「よーし、皆クラスメイトと仲良くなりたいのは分かるが、全員席に着け。」

 四人で集まって挨拶をしていると、男の先生がやって来た。どうやらこのクラスの担任みたいだな。

 でも今日は、あくまで始業式がメインであって他には、クラスの皆が自己紹介とかをして、明日の授業予定を説明されて解散となった。


 さてと、学校初日も終わったし帰るか。と思っていると、エレナだけじゃなくリエトとイデアと一緒に昼食へ行く事になった。

 この世界の学校では、ボッチで孤立とかはしないで済みそうだな。でもエレナの社交性って本当高いな。俺も友人が増えるのは嬉しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ